或る音楽会の進化 〜生まれ故郷で脱ぎ捨てた鋼のプライド〜
地チャレとは?
昨年9月半ば、コミュニティ塾が終わって数日が経った後、私は高松市のとある会議室内にいました。
「高松市地域づくりチャレンジ塾」に参加するためでした。
今回はこの“地チャレ”の事について記していきます。
地チャレは「高松市まちづくり学校」というNPO法人が主催する“起業しない塾”であり、地域課題を捉えて何かをしたい気持ちがある人の気持ちを育て、自らの“マイプラン”を作り出す事を目的としています。
地チャレ参加のきっかけは、昨年の夏Facebookでフォローされた記事を見た事から始まりました。
コミュニティ塾で作った理念を作りっぱなしにしたくないという思いや、“実践”といったグランドルールを続けたい思いでした。
この街の素晴らしい方々
コミュニティ塾同様、私を含めた6人の塾生と共に学びました。
自らが当事者の“グリーフケア”を啓発する坊守(住職の妻。教会で言う所の牧師婦人)、子ども達の事にしっかり向き合うスクールソーシャルワーカー、子育て関連の地域の縁側を作ろうとしている社会福祉士、“嚥下スイーツ”を開発し地域貢献しようとする訪問看護の専門家、自身が経営する保育園でロックフェスを行う園長先生といった方々が今年の地チャレ8期生の参加者でした。
高松の街にこんな素晴らしい人達がいる事に私は只々驚かされるばかりでした。
コミュニティ塾とは違い、オンラインと対面でのハイブリッド開催で、コロナ禍のオンライン活動に慣れきった私は久しぶりの対面活動に緊張しました。
地チャレは月に一度集まり、講師の方々の実践経験による講義の学びの後、月に一度課された宿題をこなした上でのプレゼン形式の発表という流れで進められました。
講師の方々の話はとてもワクワクするものばかりで、いつまでも聞いていたい気持ちもありました。
しかし、毎月の宿題と発表にはとても苦労しました。
重たい鋼のプライド
宿題の発表では、自らの自己紹介や考えているマイプランについて語る事を行いましたが、実は私は一番最初から躓きました。
自分のやりたい事を上手く語れないどころか、着飾ろうしていた為、コミュニティ塾で初めて作った理念が上手く語れずにいました。
「なぜ或る音楽会をしたいのか」「主役になれる日とは何なのか」「具体的に何をするのか」…諸々上手く語れず早い話、“迷子”になってしまいました。
廣瀬さんから教えられた“客観的理由”は、本気で或る音楽会を浸透させていく為にはまだまだ不十分だった事に気付かされました。
一番大きな欠点は、「或る音楽会を自分のアイデンティティ」にしたいという、自ら纏っている鋼のプライドが脱ぎ捨てられずにいた事でした。
気持ち的にも段々と落ち込んでいく事が多かったですが、そんな時に支えてくれたのは、地チャレも含め、この一年の間で出会ってきた人達でした。
コロナ禍で人と会えない日が続いていましたが、実はアイルランド留学の時に比べるとコロナ禍の時に出会った人達は留学時より数多くいました。
古楽祭や川本町でのコンサート、前述の園長先生主催の保育園ロックフェスの手伝いから始まり、リラックスする時間も作り始め、段々と私はある事に気づきました。
低いハードル
「或る音楽会自体が今の私にとって高いハードルなのでは?」
講義の中で“高いハードル”と“低いハードル”についての話があり、「歩いてでも跨げるハードルの設定」の話があった事を思い出しました。
「誰もを主役にする日をつくる事自体今の私に出来ない」と気付かされました。
そして私は“或る音楽会に向うため”の低いハードルを設定しました。そしてその低いハードルの客観的理由は、私自身と、私が仕事で関わった二人の利用者の話へと繋がりました。
年末年始に佐和子さんに相談した事も経た1月末、荒削りながらようやく或る音楽会プロジェクトに繋がる客観的理由が出来ました。
集大成の学縁祭
地チャレでの最終発表は、毎年2月中頃に“学縁祭”という名前で市民向けの公開講座で開催されます。
今年はオンラインと対面(20名限定)のハイブリッド開催でした。
本番までに時間やプレゼン内容を精査する事に時間がかかりました。練習に廣瀬さんや佐和子さんも巻き込みながら、最終的にプレゼン資料が出来上がったのは本番前日という慌ただしさでした。
大きな会議室の中で(歌わずに)7分の間でプレゼン発表を行う…私にとってはこの一年の集大成であり、自らの未来に向けての意思表明でもありました。
鋼のプライドではなく、或る音楽会で着ているいつもの黒スーツとコサージュを纏い、今の私がこれから行いたい取り組みを伝えました。
そのタイトルは「音楽の都、高松で障がい者の方が輝ける場を 〜誰もが主役になれるその日まで〜」
そしてこれから…
地チャレが終わり現在に至りますが、発表を終えて私は自分の景色が昨年とは全く違ったものに見えました。
地チャレやコミュニティ塾の仲間、この国で取り組む先輩方、出会ってきた人達に或る音楽会の事を語り、まだまだ荒削りながらですが、理念と今後行いたい事を伝える事が出来たからです。
そして私のこれからは…「①出会う事、②伝える事、③動く事」に取り組んでいきます。
私が考えた理念とは、地チャレで発表した事とは、そして今後の或る音楽会プロジェクトで何をしていきたいのか、近日中にお伝えしていきます。
参考リンク
高松市まちづくり学校公式サイト