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内は外 外は内

サンドイッチの上に添えられていた、 展示の案内
「これは、 」 と見上げると プチさんの笑顔
「好きそうと思って」 と、 その言葉もあったのか
植物が描かれている葉書は、 なんだかチケットのように思えて

京都市長選が行われている日曜日 明るい風が吹き込むことを願いながら
静かな気持ちでギャラリーへ向かう

北林みなみさん個展 『小箱のはなし
会場の NEW PURE+ 地下への階段を降り、 左手にならぶふたつの絵
じっと腰をおろして見つめ
そこから目にする作品すべて 体験になる

描かれる、 植物に空に水に地
ともにそこにあるのをわかる、 音に光 風と匂い
そこにいる 肌色の ひとの姿

葉に緑に茎 人間以外の存在が 人間の存在により 圧倒的に、 立ち上がる
五感すべてで 全身に 野に丘に木に湖 その圧倒的な存在を感じとるとき
人間の その存在の意味を 人間以外の すべての存在達が知る
  
人間がいて 人間以外の存在がいる

もしそこに人間がいなければ
そこに人間以外の命がなければ
バイオリンと弦は離れたまま 音がうまれることはない

人間は 体とこころを通して 世界をわかり
人間以外の存在は 人間がいて 自分たちを知る

そのとき起こる交流を 
飛行機に乗ることなしに わたしは地下の空間で
たゆたいざわめく 抱かれる、 鼓動のような 命の響きに
全身につつまれて 目をあけているのに、 同時につぶる
そこで見るのは 広大な、 立体世界
それはどこか深い懐かしさをともないながら
自分という存在は ともに水に浮かぶよう そこにいる

その振動に バリで見た濃くて眩しい極彩色の緑の景色を思い出しながら
なんてなにも見えてなかったのかを思った

バリは自分のために行った
自分のために緑や海や空を見た
そのときは こんなには 見えてなかった
見ていないもいっしょだった

白い部屋で 自分ではなく ただ緑に 水に 命に触れたとき
あのとき 20歳のとき このように 裸でそこにいれたなら
でもいま 飛行機乗らずとも いま それをいま 体験できている
そのことが それを可能にするのが芸術なことが 感無量になった

作者のかたが作られた本も そこにある言葉も 写真も
流れるものは あるものは 存在への慈しみ

いまいるはずの空間は みつめる先の その場所に置き換わる

そこにいて 自分を包む 命ある存在を 全身にわかるとき
そのとき同時に そうして ひとを通して 世界を体験するかみさまを
そのかみさまのここちを 感じること 知ることをできる
その衝撃も
窓からだけでなく 天井からも その意思が注ぐのを感じるように
もう、 なんだかもう、 ただただ、 ものすごかった


旅にゆかれたいと思っているけど 時間やもろもろで難しい
そんな求めあるかたは ぜひ、 この貴重な機会
わたしは、 旅の何日間をもこえる体験が
ほんとうは、 得られたかもしれない大切が この場所にありました

展示は今月12日まで
飛行機乗らずとも コートきたまま 気付けば裸に

北林みなみ 個展 | 小箱のはなし
THERE IS A SMALL BOX IN YOUR HANDS
2024. 1.27 Sat - 2.12 Mon 13:00 – 19:00 
https://newpureplus.com/16187


ひとは、 ほんとうには孤独にはなれない
ひとが目にする存在が どれだけそのひとを見ているかということを
目にする存在は そうして自身を知ることを
ひとがあってかみさまは 世界を、 自分を知ることができるということを
作品のなかにいる、 その一瞬で それを知る

かみさまの勤めを 自分にわかり 外への階段を上がる
それはみんなであることを ひとにわかる
そうしての いまを   裸のままで ただわたしを



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