不思議な感情
たまたま訪れたカフェで1人本を読んでいた。
この時期のせいか、人は全くいなく、予約席が一組分確保されている他は、お客さんは自分1人だった。
夜はディナーもやっているお店で雰囲気もとてもいい。
本を読みながらゆったりしていると、席を予約していた方々がやってきた。どうやら家族での外食のようだ。
コロナ禍で周りに人気がない他は、何気ない話をしながら食事をしているごく普通の光景だ。
しばらくして帰ろうかと思い、準備を始めた。
すると自分の中で、一つの感情が湧いてきた。
「このまま帰っていいのかな?」
という感情だ。
なんでそう思ったかというと、
・ここで帰ったら、この家族1組がお店にいることになる。
・まったく人気のなくなった広い店内で、この家族は1組で寂しい思いをしないだろうか?
不思議とそういう感情が湧いてきた。
自分から出てきた感情に対してなんだが、相手からすると
全くもって余計なお世話だと思う。
何故そう思ったのかは、完全に自分の持っている価値観から生まれてきたものだと思う。
自分だったら、場所にもよるが全く人のいないところで、自分たち家族だけが食事をするというのに、虚しさを感じてしまうからだ。
相手からすると、逆に貸切状態になるので、より気兼ねなく話せるかもしれないし、自分の存在なんて気にも止めてもいないかと思う。
改めて思っても、いらないお節介だと思う。
これが普通の大衆食堂なら気にも止めなかっただろうが、自分にとって家族が特別な時に訪れる外食の場所に思える、この空間がこういう気持ちにさせたのだと思う。
こういうことを考えながら、少し止まってはみたが、自分がここに止まることに意味はないと改めて思い、そのまま帰ることにした。
自分の中の新たな価値観に気づいた瞬間だった。
我ながら、落ち着いて考えてみても「なんだその感情」と思った出来事だった。