こんにちは、アルです。
今回は物語作りにおいて、幸福ホルモンであるオキシトシンを活用する試みです。
タイトルのように「葬送のフリーレン」の冒頭のストーリーがなぜ面白いのかを、幸福ホルモンを使って考えます。
これまでいくつか幸福ホルモンとストーリー作りを掛け合わせた記事を書いてまして、今回はその続きです。
一連の記事はこちらになります。
オキシトシンと対にして考えているドーパミンとともに、ChatGPTから引用した概要も貼っておきます。
今回はより詳細にオキシトシンの使い方について深掘りしていこうと思います。
この記事はこんな方に向けて書いています。
▶︎AIをストーリー作りに役立てたい方
(特に感動のシーンづくりに再現性を持たせたい方)
▶︎AIに興味がある方
オキシトシンがどのように活かされているか
オキシトシンが分泌されるシーンについてGPTに聞いてみる
まず、そもそもどんなシーンを観た時、人の脳はオキシトシンを分泌するのか、GPTに聞いてみました。
教えてくれたものを羅列します。
このようなシーンを観たときにオキシトシンが分泌されるようです。
「長期間離れていた後の再会」もありましたね。
続いてこれらのシーンを面白く見せるための「前準備」について考えます。
物語が始まってすぐ「やあフリーレン、50年振りだね」といきなり言われたとしても当然感動は生まれないですよね。
「勇者のパーティーとして苦楽を共にし、エーラ流星をまた一緒に見ようと約束し、その後50年会っていない」
という前提を知っているから感動出来ます。この前提が重要です。
ここで料理に例えさせてください。料理と物語はとても良く似ていますので。
さきほどの羅列されたシーンは「具材」でしかないと言えます。生のお肉や野菜だと思っていただけるとわかりやすいかと思います。野菜はともかくお肉はそのままじゃ食べられないですよね。
なのでその前提シーンを「調理」としましょう。
具材(シーン)の調理方法をGPTに教えてもらう
以下が、それぞれのシーンの調理の一例です。
助走→調理 と変換して読んでください。
長期間離れていた後の再会のところは太字にしました。
後で抜き出してありますので、ここは飛ばしていただいても大丈夫です。
長期間離れていた後の再会:
キャラクターが離れていた期間中に経験したことや、再会を望む心情を詳しく描写します。再会の瞬間には、喜びや驚き、時には複雑な感情が交錯する様子を表現し、その深い感情を引き出します。
とあります。
確かにそうだなと思いますよね、一般の作品では。
ここがまさに「葬送のフリーレン」の特徴で、
仲間にはこの様子が見えたものの、
フリーレンはこの50年間、魔法収集をしていたりでとりたてて特別なことはしておらず特に強く再会を望んだわけでもないですよね。再会したときも複雑な感情などは抱いていません。
しかしヒンメルの死後、人間の寿命の短さを実感し、過去を後悔し旅に出るのですね。
繰り返しますが、再会したときには特別な感情は抱いていません。老いぼれたね、なんて軽口をきいてしまうくらいです。ですがヒンメル死後にそれが過ちだったと気づきます。ここがすごく面白いですよね。
これはつまり的確な設定(ジャンル)選びが具材・調理の成果を引き上げていると言えると思います。
この設定・ジャンルを「調味料」としましょう。
50年来の再会、というシーンに
長寿のエルフという調味料が最高に効いているというわけです。
まとめると、
①オキシトシンを分泌させるシーン(具材)があり
②それを美味しく食べられるように調理(前提シーン)するために
③よく合う調味料(設定・ジャンル)を使う
と言えると思います。
調味料を変えるとどう物語は変化するのか
これは③→①→②としても上手くいきそうですね。
なので今度はこの調味料を変えた場合どうなるか、ずっと料理に例えてきたので、また料理を例にしてみようと思います。
今たまたま冷蔵庫に豚バラ肉と大根がありますので、これを料理するとします。
まずは和食である「豚バラ大根」の作り方です。
見てるとなんだかホっとするレシピです。食べたときの味を想像できるからでしょうか。
今度はこの調味料を変えてみます。調理はほとんど変わっていません。
このように具材と調理方法はあまり変わっていないのに、全く別の料理になりますね。さきほどの豚バラ大根はホっとする味ですが、豚バラ大根キムチ煮込みはきっとビールが飲みたくなるような刺激的な味をしていることでしょう。
物語づくりに活用する
すいません、余談っぽくなりました。
ではこれを物語に活かしてみましょう。
フリーレンと仲間たちの50年来の再開のシーンを、
調味料を大きく、調理を少々変えてみます。
まず
①具材は「50年来の盟友との再会」
②調理は「会っていない間色々なことがあった」
これらはそのままで、
③調味料はまずジャンルをSFにします。
そして設定を
・異星人の襲来により人口が大きく減少した近未来。激動の時代を潜り抜けた主人公と仲間たち。
最高の戦士だった主人公は本人の要望もあり、次の襲来までコールドスリープすることに。
そして50年後、新たな襲来。目覚めた主人公はかつての仲間を訪れるが、みな年老いており、その弟子たちを仲間とし、ふたたび異星人と戦うことになる。
としてみます。
フリーレンと久しぶりにあった仲間たちは様々に複雑な反応を示します。
でもやっぱり久しぶりに仲間と会えてうれしい、というのが一番感じられますよね。
このSF物語ではどうでしょう。再会を当然喜ぶでしょう。年老いた仲間の姿に驚いたり、からかったり。
仲間はどうか。当然喜びはすると思いますが、
コールドスリープで若いままの姿を保った主人公に対し、こんなことを思う仲間がいそうです。
「(俺たちは50年間平和な世界を享受した。結婚し、子どもが生まれ、孫もこの手で抱いた。けどお前はまたあいつらと命を懸けて戦うんだな。あのときの姿のままで…)」
こんな風に、作品のテイストがだいぶ変わってきます。主人公への哀れみ、平和を享受した罪悪感、自分の子孫や弟子たちの未来を託す気持ち、などなど。使う調味料とほんの少し調理を変えるだけで全く別の作品になりますね。
平和を生きた仲間と、平和な世の中を見ることなくまた命をかけて戦う主人公の対比ですが、このどちらに対しても視聴者は感情移入できるでしょう。仲間の気持ちの方がわかりやすく、主人公のことは思わず応援したくなります。
このように、シーンを3つの要素に分解し、再結合することで自分オリジナルの情緒豊かなシーンを再現性高く作ることが可能です。
もしよかったらリストを用いて、ぜひこの方法使ってみてくださいね。
さいごに、オキシトシンの重要性をもう一度
おまけにオキシトシンの大事さについてもう一度お話しておこうと思います。
私が子どもの頃と比べ、世の中は本当に変わったなと感じます。
芸能人・有名人はかつて憧れの感情でみていましたが、現代人は親近感をより重要視します。
育児チャンネルやペットチャンネルが本当に増えました。これらのジャンルはいわゆるレッドオーシャンで、新規参入はオススメされないほどだそうです。かくいう私もいつも楽しみに見させていただいています。
これからの時代、ますます需要は上がるでしょう。生涯独身率、子なし率は間違いなく上がっていきますよね。
ネットやAIが進化すればするほどリモートワークやフリーランサーが増えます。会社でしていた他者との交流が減る可能性が高いといえます。
オキシトシンの持つ「愛情ホルモン」や「抱擁ホルモン」とも呼ばれ、親子の絆、恋愛感情、友情など、社会的結びつきや信頼感を強化する役割。
これはますます大きな役割を持ちます。
オキシトシンが足りないと健康を司る「セロトニン」が分泌されづらくなるそうです。つまり他者との結びつきを感じないと健康を害するということです。また、逆もしかりです。
私はGPTを使ったショートショート小説というのを作ったことがあるのですが、オキシトシン優位のストーリーがやはり好まれるようでした。スキの数が増えたんです。
これは元旦に大きな災害があったことをうけて、なるべく心温まるようなストーリーにしようと思って作りました。
いつもは皮肉なストーリーばかりでしたが、やはり時代は今「大オキシトシン時代」と言っていいと思うくらい反応が違いました。
みなさんもストーリー作りの際はオキシトシンを意識してみてください。
ということで、今回のお話はこれで終わろうと思います。
次回はたぶん「ドーパミン」を主題にした記事になるかな?と思います。
エモは最高ですが、やはり熱い展開も観たいですよね。
では、ここまで長らくお読みいただきありがとうございました。
もし記事が面白いと感じていただけていたら、スキやフォローしていただけると嬉しいです。ありがとうございました。