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不透明な時代に必要とされる「創造力」を身につける方法


「創造力」とは?


「創造力」、これほど抽象的で多くの人の頭を悩ませるものはないでしょう。
特に「創造」、という部分が何を指しているのかわかりずらいです。
何だか、「創造」というとどこか天才的で非凡な才能をさしていそうじゃないですか?
クリエイティブって言葉ってなんかおしゃれなクリエイターとか、ある分野に秀でた一部のセンスある人だけとかが使っていそうじゃないですか?
一方で、これからの時代は論理的な思考力だけでなく、誰にとっても創造力が必要だと叫ばれ続けているわけです。
身近なのに全然自分ごとにならない、この矛盾をはらむ言葉が「創造力」。
しかも、その創造力はどこで必要で、どんなものなのか、そして一番気になる「どうやってその創造力を身につけることができるのか」がさっぱりわからないことが現状なのではないでしょうか。

今回の記事では、「創造力」とは何なのか、一旦これまでの常識を捨てていただけるような新しい視点を紹介します。そしてその「創造力」を身につけるための考察をしていきます。

まず、「創造力」とは何なのか。
ここは少し複雑になるので2分だけお付き合いください。
これ、実は定義がさまざまにあります。
そうなんです、こういうフワッとした抽象的なワードはどの側面から見るかによって言葉の意味するところが変わってくるんですね。
だからこういう言葉がマジックワード化してしまうんです。

なのでここでは、多くの心理学者や辞書的な定義をまとめるというより、これからの時代にとって必要となってくる「創造力」にフォーカスを当てて、これからの残酷な競争社会を生き抜く上で大切、かつ教育的に重要な定義をあててみようと思います。

アメリカの心理学者 A.H.マズローの創造性に関する研究を紹介します。
マズローは創造性を「特別な才能の創造性」と「自己実現の創造性」に分けています。心理学者の創造性に関する第一人者である恩田彰氏によると、「特別な才能の創造性」は「天才と科学者、発明家、芸術家などの特別な人たちにみられる創造性」であると述べています。そして、「自己実現の創造性」については、「誰でももっているもので、必ずしも社会的に高く評価されるものでなくとも、その人にとって新しい価値あるものを創り出す経験を創造活動という」としています。さらに、「両者には連続性があり、自己実現の創造性を専門的に深めることによって、特別な才能に転化していく。」としているんですね。

その人にとって価値あるものを創り出す経験のことを創造というようです。
これならハードルが低い。
誰にとってもとても身近な現象であり、誰もが必要とされてくる感覚が出てくるのではないでしょうか。
しかも、自分に関する未来を切り開いていくと、特別な才能に転化していくというのですからやらない手はないですね。
いますぐに他のほとんどの人がやっていない創造性を磨き上げ、その創造性でたくさんの人の役に立てば嬉しいし、お金持ちです。

「創造力」を養うための理論と考察:「Krebs Cycle of Creativity」


では、どうやって上記の「創造力」を養っていけばよいのでしょうか。
数学を学ぶことでしょうか?デザイン思考を学ぶことでしょうか?
それともプログラミング?
こういったスキルや知識の部分ではなく、ここではもっと根っこの部分にある思考様式にアプローチしてみましょう。
そこで、マサチューセッツ工科大学メディアラボ(MIT Media Lab)のNeri Oxman氏が発表した「Krebs Cycle of Creativity(以下KKC)」と呼ばれている理論を主軸に考察していきます。
ここでは、今の社会はアート・サイエンス・エンジニアリング(テクノロジー)・デザインの4つの要素が創造性を養うためには重要な要素であることが示されています。
簡単にまとめると下記です。
【Science 】世界を説明・予測することで、Engineering で活用できる知識を生み出す
【Engineering】課題解決にサイエンスの知識を応用することで実用性を生み出す
【Design】実用性を最大化することで行動変容を生み出す
【Art】我々の行動変容を批評し、新たな認識を世界に生み出す

ぶっちゃけ下記の図は理解する必要ないです。
ですが、全体像として紹介します。

(画像引用:Krebs Cycle for CreativityとSEDAモデルで考えるアート思考の役割

ここで重要になってくるのが、これらの要素をバランスよく育てつつ、得意領域を特化させていくことだと私は考えています。
なぜなら、人にはよくできることとできないことがあるからです。
特に日本の教育ではできないことに焦点を当てがちです。
ですが、得意なことを伸ばし切って苦手をカバーすることだってできるはずです。
私は、不得意なことについては赤点を避けるようにしています。(ここの赤点の線引きは、日常で困らない、他人や社会に迷惑がかからない、学校や職場で必要とされる最低水準のもの、などなんでもいいです。)

創造性を養うためには、得意領域を特化させつつ、共同する力を養うことが必要です。
共同することで、自分にとって不得意とする領域をカバーしてもらう必要があるからです。そうすることで、日常で解決できなかった課題を解決することができます。
そして、そのなかで自分に足りない能力やスキル、思ってもみなかった考え方を身近で感じることができます。
そこです、そこに得意領域を進化させるエッセンスを取り出すことが大切です。それができればあなたの創造力が進化します。
たとえ息をするように得意なことにならなくても、少しでもできるようになることやわかることが増えたり、他領域や苦手領域にフックがかけられるようになればいいです。
そうやっていつでも知識や道具を引き出したり、協力してもらえる環境を構築できればいいんです。


創造力を養うステップ一案


では、このポイントを元に、KKCサイクルで創造力を養うことを考えていきます。
KKCサイクルでは特に、アートとサイエンスは隣同士で親和性のある関係を見いだせそうですが、サイエンスとデザインは結構対局だと思います。思考性も実装性も対局です。たとえば、物事の原理・原則や仕組み、法則を考えることがサイエンスだとすると、デザインはエンジニアリングが先にあって生み出されるからです。(もちろん、サイエンス→デザイン→エンジニアリングということもあると思います。)

まずはご自身の好きな領域、得意そうな領域、興味が1番持てる領域からトライしてみることがいいと思います。
迷う方は、まずは既にある知識や法則を活用するエンジニアリング、そして開発されたものを実用的にするデザインが取り組みやす領域になるかと思います。
中高生の人はとにかく学校の好きな教科、分野、領域を誰にも負けないくらい学んでみてください。先人の知識をとにかく吸収し切るんです。
その点が必ず線になる時がきます。
大学生の人は、研究です。サイエンスを学び自分だけの知識や理論を発見してください。下記参照です。


そして、その道の基礎的な本や思考を学び、身近なところから問いを立ててみることをおすすめします。
まずは基軸となる領域を決められれば、そこから共同に結びつけてサイクル全体を回していくことで課題を解決できるようになります。
そして、領域を横断したり他領域での共同ができると解決発想の幅が一気に広がります。
その好循環が新たな創造力の発現や発想に寄与することになりえます。

いかがでしたでしょうか。
自分自身のかかえる難題、誰かのもつ困り事や悲しみ、それらに立ち向かえるようになるかもしれません。
あなたや周囲の人の未来を変えることができるかもしれません。

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