きみとかみひこうきと。 #リライト金曜トワイライト
「どこまで行くんだよ、都葉。」
「いいからついて来て!もうすぐだから!」
小高い丘の頂上には小さな公園があった。
高い建物などない、この町の全てが見渡せるこの場所は
僕にとって、忘れられない場所になった。
「來人はここで待ってて。」
言いながら、都葉は公園までの階段を登っていく。
「ちえっ、早くお祭りに行って焼きそば食べたいのに、、、 。」
あ、それからりんご飴も買わなくちゃ。そんなことを思いながらぼうっとお祭りの明かりを見ていた。
「いくよ!來人!」
振り返ると都葉は、木でできた柵から身を乗り出し
右手を空高く上げている。
「ちゃんと見ててね!」
都葉の右手から離れた”それ”を見ている余裕は、僕にはなかった。
危ない!
僕が思うのと同時に都葉は空を舞った。
なんだか、藍色の浴衣が空の色に溶け込んで、都葉がいなくなってしまったようだった。
赤い鼻緒だけを残して。
とても怖くなって
「都葉!都葉!」
僕は都葉の姿を探した。
「アハハハハハハ」
都葉の声が植え込みの中から聞こえてきた。
「何やってるんだよ!」
とても心配だった。
けれど、僕はこう思ってしまったんだ。
都葉の声
それと、少しだけ顔を覗かせた赤い鼻緒が
とてもキレイだなって。
「大丈夫?」
僕がそう言うと都葉は
「來人、あのね、私引っ越すんだ。」
と言った。
「え........そう..なんだ。」
「うん。明日ね...」
なんだよ、なんなんだよ。どうして早く言ってくれなかったんだよ。都葉。何もしてあげられないじゃないか。
「私、來人のこと好きだよ。」
植え込みから起き上がりながら、都葉はそんなことを言う。
「そんなこと言ったって今日でおしまいじゃないか。」
「そんなことないよ。私は忘れない。來人のこと。」
僕は泣きながら
「バカだよ。都葉は.....」
僕の足元にはかみひこうきが落ちていた。
~~~~~
あれから何年経ったろう。
あの日から一度も会うことはなかったけれど、
それでも僕はこう思うんだ。
都葉は都葉のまま、変わらず元気でいるんだろうなって。
僕は公園からそっと、かみひこうきを飛ばした。
畏れながら、参加させていただきました。
正直に言いますが
こちらをリライトしたマリナ油森さんの
こちらをリライトしたものです。
リライトというのがどういうことなのか、イマイチ分かっていないのでこれがリライトといえるのかどうか?それと、直接でないところは反則のような気がしますが。
もちろん池松さんの
淡く”青く”小さく”マシュマロ”のように柔らかい
も何度も読ませていただきました。
僕はどちらの作品にも”色”を感じました。
夕暮れと宵闇の混じりあった空の色。
お祭りの光。
それと、”淡く染まったマシュマロのよう”に
赤い色を。
上手く表現できているかは分かりませんが、
そんな”色”を表現できればいいなぁ。
それと、都葉(とわ)と來人(らいと)
少女と少年の物語にしてみたらどうかな。
そんなことを考えながら作ってみました。
人物や、背景の描写が拙く、とても想像できるようなお話ではないと思いますが、少しだけ調子にのって参加させていただきました。
(マリナさんの作品に調子にのってコメントしてしまったんですが、マリナさんからのリコメにバッチーーーンと背中を叩かれたような気がして参加させていただいたのは内緒で。)