対談:えひめこどもの城ってどんなところ?
えひめこどもの城 園長 敷村一元さん × NPO法人とべ子育て支援団体「ぽっかぽか」 代表理事 村上明子さん
すべての人が自由に集える
敷地面積日本一の大型児童館
―2023年に開館25周年を迎えた、えひめこどもの城(以下、こどもの城)ですが、今一度、なりたちとどのような施設なのか教えてください。
敷村:全国に18カ所ある大型児童館のうちの一つで、児童の健全な遊び場の確保、健康増進、情操を高めることを目的とした事業を行う施設です。中四国で大型児童館があるのは香川とえひめこどもの城だけ。なんと敷地面積は日本一を誇ります。
―どのような人たちが利用されていますか。
敷村:児童館は児童福祉という観点で0~18 歳の子どもの地域における育ちを支える場であると定められていますが、18歳以上のボランティアさんであったり、高齢者の方であったり、すべての人が楽しめる場所でもあります。
村上:幼稚園や小学校の遠足から、ご年配の方の散歩まで様々な方が利用されていますね。これだけ敷地が広く自然豊かな環境で、さらに遊具や遊び場も豊富なのに、入場料が無料(駐車料金300円)なのもありがたいです。
―様々な施設がありますね。
敷村:あいあい児童館のあるこどものまちゾーン、ハーブ園や木工・陶芸ができる創作工房のある創作の丘ゾーン、愛媛県体験型環境学習センター(えひめエコ・ハウス)や森のとりでがあるふれあいの森ゾーン、他にボブスレーやてんとう虫のモノレールがあるアクティビティゾーン、話題のとべもりZIP LINEや大型木製アスレチックKOSHIRO ADVENTUREなどがあるアクティビティゾーン-NEXT-など、約34.6haの敷地には丸1日楽しんでいただける、様々な施設があります。
全国的に珍しいのは、とべもりZIP LINEでしょうか。ZIP LINE自体は様々な場所で展開されていますが、管轄の異なる施設を結んでいる、というのは聞いたことがありません。私たちは、「とべもり+(プラス)」といって、えひめこどもの城・とべ動物園・愛媛県総合運動公園・えひめ森林公園の4施設が一体となって情報発信や観光資源を作り出しています。
―村上さんはこどもの城にどのような印象をもっていますか。
村上:赤ちゃんから幼児、小学生と成長の過程で遊び方も変わっていきますし、例えば年の離れた兄弟を遊ばせたいという場合でも、それぞれの世代にフィットする遊びがえひめこどもの城に来たらできる、というのが大きな魅力だと思います。「家族で遊びに行こう!」という時に真っ先に候補に上がる施設です。
―それぞれ、こどもの城ではどのような役割、活動をされていますか。
敷村:私は保育士、児童館、障がい児施設、保育園園長など様々な児童福祉に関わる仕事をしてきましたが、職歴の中で児童館に関わる仕事がもっとも長いんです。園長として、利用者さんや職員、ボランティアスタッフ、地域の方など様々な人の声を聞き、誰もが安心して遊びに取り組めるサポートをしています。
村上:私はこどもの城ができた時から利用させていただいています。一番上の子どもが今26歳で、9月生まれなのですが、その年の10月にこどもの城がオープンしました。子どもが4カ月ぐらいの時に初めてのお出かけとして、こどもの城に来ました。そこから子どもが園児、小学生になってからもクラブ活動に参加させてもらい、毎週末ぐらい来ていましたね。今は砥部町にある子育て支援団体として、親子遠足やイベントなどに利用させています。近隣だと平日利用がしやすいというのも良いところです。
子どもの笑顔と成長が
なによりのやりがい
―村上さんは、お子さんの成長とともにこどもの城があるんですね。
村上:本当にそう思います。子育てをしていると、お母さんが「しんどいな」と思うことは少なからずあります。私たちはお母さんが笑顔だと子どもも笑顔になってくれると思っているので、少しでも子育てが楽しいと思えるようなきっかけ作りをしていきたいです。
―しんどいを乗り越えるような幸せとは具体的にどのようなことだと思いますか。また、この仕事をやっていてよかったな、と思うのはどんな時でしょう。
村上:やはり、子どもの笑顔と彼ら彼女らの成長を見た時ではないでしょうか。子どもが笑うと親もうれしくなる、親が笑うと子どももうれしい。そういった相互関係が健やかな育児につながると思います。
敷村:私も、子どもの笑顔を見た時ですね。こどもの城の素晴らしいところは、小さい時に遊んでいた子どもたちが、また大きくなってからこの場所に戻って来てくれるんです。例えばボランティアスタッフとして、またアルバイトとして。家庭をもち、子育てが始まってからは子どもさんを連れて来てくれるなど、関わってくれた皆さんが、当時の思い出いっぱいにまた、帰って来てくれています。
―今後、この施設がどうなっていけばよいと思っていますか。
村上:特に中高生がもっと足を運んでくれたらいいなと感じています。車がないと松山市内からのアクセスが難しいと思うので、公共交通機関の利便性の面など課題はありますが、ぜひ来てほしいです。
敷村:デートや友だち同士でも足を運んでもらいたいです。例年、イルミネーションのイベントはやっていたのですが、今年から関西最大級の光のフェスティバル「フェスタ・ルーチェ」を行います。愛媛で、また来たいなと心から思えて、楽しめて、集える場所になりたいと思っています
村上:この施設の素晴らしいところは、運営委員会などで意見したことがすぐに取組みとして実行されることです。利用者の意見、子どもの様子をつぶさに職員さんが見ていて、それがすぐ形になっていくという機動力の高さが、こどもの城のいつ来ても魅力的な施設である理由の一つだと思います。
敷村一元
えひめこどもの城園長。児童健全育成指導士、保育士、社会福祉主事。子どもと保護者の声に耳を傾け、自然環境を生かした体験、イベント等を通して、子どもが安心して様々な遊びに取り組めるようなサポートを続けている。
村上明子
元幼稚園教論。子育て中のお母さんを応援したいと、2005年にとべ子育て支援団体ぽっかぽかを立ち上げ、2009年にNPO法人格を取得し、子育て支援を通じた地域の活性化に尽力している。
【インタビュアー】ひめラー:首藤喬一、藤内伸二