とべ動物園がもっと好きになる! アニマルキーパー・インタビュー_里永 萌さん
愛媛県立とべ動物園 類人猿担当 里永 萌さん
憧れのステージで動物と向き合う時間
“可愛い”だけじゃない魅力を伝えたい
―担当されているお仕事について教えてください。
現在はオランウータン、チンパンジー、テナガザルなどがいる類人猿舎を担当しています。
―類人猿と猿は違うんですか?
私が声を大にして言いたいのはそこなんです。同類にされがちですが、実は大きく違っていて、猿はいわゆるMONKEY(モンキー)に、類人猿はAPE(エイプ)に分類されるんです。類人猿はDNA的には人間に近く、知能も高くとても賢いです。見た目の特徴としては、猿には尻尾がありますが類人猿には尻尾がないというところが分かりやすい点ですね。
―それは知らない人が多いと思います! とべ動物園で働くことになった経緯を教えてください。
実家が近所で、小さな頃から慣れ親しんでいたのがとべ動物園です。サマースクールに何度も参加しましたし、物心がついた頃には動物園で働きたいと思うようになりました。高校生の職場体験や、大学のインターンシップなど、動物園に来られる機会があれば全て参加しましたし、大学は畜産学部に進学し、ギリギリのタイミングで運良くとべ動物園に就職することができました。動物園飼育係の仕事は人気ですごく狭き門だったんです。
―実際働くようになって意識や見方は変わりましたか。
以前は“可愛い”が先行していましたが、今では動物たちについてもっと知ってほしい、もっと伝えたいという意識が強くなりました。檻の前にあるラミネートしたPOPは、手描きのイラストや写真を使って、担当者がみなさんに伝えたい情報をまとめたものです。また、来園者から動物について質問をされるのもうれしいですね。
―里永さんのお話から動物への愛を感じますが、勤務する10年の中で、最も印象に残っている出来事はありますか。
2024年12月30日で2歳になるチンパンジーの男の子スカイがいるのですが、その出産に立ち会えたことは、かけがえのない経験でした。モニター越しではありましたが、この仕事をしていても生まれた瞬間を目撃できる機会はほとんどありません。実は動物園のあらゆる動物は日本全体で血統の管理をされていて、繁殖に関しても計画的に実行されているんです。チンパンジーもそのひとつで、今回の繁殖も計画を立てて行いました。
―生粋の動物好きで、数々の動物園を見てきた中でとべ動物園の魅力はどこにあると思いますか。
いろいろな動物を比較しながら世界を一周できるようなコンセプトは魅力のひとつだと思います。最近は檻を使わず堀を使った展示も増えていて見た目も良く見えますが、とべ動物園の類人猿舎のような檻式は空間を最大限活用でき、動物の行動範囲も広がりますし、いろいろな方向から動物を観察することができます。私たちはアミューズメントパークではなく、博物館だと伝えるようにしています。そんな命の学びの場が、こことべ動物園なんです。
里永 萌
砥部に生まれ、砥部で育つ。幼少期から幾度となく足を運ぶ中でとべ動物園で働きたいという確固たる気持ちをもつようになり、それを叶えた。2024年で入園10年、現在までにカンガルーなど担当経験あり。
【インタビュー】ひめラー:加藤 翔、難波江 任、早川晶子