とべ動物園がもっと好きになる! アニマルキーパー・インタビュー_宮越 聡さん
愛媛県立とべ動物園 教育普及課 宮越 聡さん
動物が豊かに過ごすために
僕たちができること
― 現在のお仕事は。
2024年4月、飼育展示課から教育普及課に異動しました。飼育業務をしながら、園外の人に向けて、動物や動物にまつわる環境について伝える仕事をしています。この前は地元の小学生の特別授業も担当しました。
― お話をすると、どういう反応が返ってきますか。
「これは知っているかな?」と思っていてもみなさん意外と知らないことが多くて、お話しする内容に驚かれることがあります。僕自身が立ち会った、キリンが生まれた時の話など、命の誕生についてはとても興味をもって聞いてくれます。
― これまで長く飼育員をされていたからこそできるお話ですね。そもそも、なぜ飼育員になったのでしょう。
小学生の時、家族で大分のサファリパークに行って、そこで働く人を見て憧れを抱いたのがきっかけです。自然の中で動物を相手に立ち振る舞う姿がかっこいいな、と。
― 以前はどんな動物を担当されていたのでしょう。
さまざまな動物を担当しましたが、異動前はキリンを担当していました。キリンは背が高くてアンバランスな体をしているので、些細なことが命に関わる事故につながってしまう。常に難しさとやりがいが隣り合わせでした。
― 飼育員のお仕事を教えてください。
やることがたくさんあります。動物の部屋を掃除したり、エサを与えたりするだけではありません。どうすれば健康で長生きできるか、工夫しています。キリンの場合だと、どうやったら長く食事の時間をとれるか、大事な足をいかに健康に保てるか、など様々なことを考えながら接していました。毎日のルーティンはほぼ一緒ですが、いかに動物に豊かな時間を過ごしてもらえるかを意識していましたね。
― 動物の側に立って接しているのですね。
たとえば注射をする際、人間が無理やり固定するのではなく、動物が自主的に注射を受ける体勢になってくれるように訓練する「ハズバンダリートレーニング」を行っています。それ以外にも、日によってエサを与える時間を少しずらすなど、日常に変化をつけることも取り入れていました。決まりきった生活では窮屈すぎますから。
― 動物園で働くやりがいを教えてください。
動物に対しても来園者に対しても、何ができるか考えます。やれることに限りはなく、自分がやりたいこと、やろうとすることができます。僕の場合は動物園で起こった出来事を漫画にして紹介しています。自分がおもしろいと思ったことを多くの方に知っていただける。そこにもやりがいを感じます。
― 動物園に来られる方へメッセージを。
人気の動物だけではなく、いろんな動物のそれぞれのことを知ってほしいです。性格も習性もまったく違うので、つぶさに観察して少しでもいろんな動物に興味をもってもらえたらうれしいですね!
宮越 聡
1999年から愛媛県立とべ動物園に勤務。飼育員として働きながら、動物園の日常を描いた漫画も制作。園内などで掲示し人気に。2024年4月、教育普及課に異動。好きな動物はキリン。本人いわく「かわいいポイントは無口なところ」。
【インタビュー】ひめラー:加藤 翔、早川晶子、難波江 任