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フランシス真悟「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」

現在、茅ケ崎市美術館で開催されているのは、

“フランシス真悟「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」”という展覧会。

ロサンゼルスと鎌倉を拠点に活動する国際的な美術家、フランシス真悟さんの国内では初となる大規模な個展です。


展覧会の冒頭を飾るのは、近作の「Infinite Space」シリーズ。

色彩そのものを絵画の主題としたシリーズです。


パッと見は、ただ一色の絵の具が塗られているだけに思えるかもしれません。

しかし、近づいてよく観てみると、

そう単純に作られた絵画でないことがわかります。


実は、このキャンバスの表面には、

半透明の油絵の具が15~20層ほど重ねられているのだとか。

それゆえ、絶妙で繊細な色彩が生まれているのです。


一見すると、シンプルな作品なので、

パッと見て、パッと素通りしてしまいそうになりますが。

作品とじーっと向かい合っていると、不思議なことに、

平面作品なのに、だんだんと奥行きのようなものが感じられてきました。


続いて紹介されていたのは、最新の「Interference」シリーズ。

光干渉顔料という特殊な顔料で描かれているため、

観る角度によって、表情が変化するのが特徴のシリーズです。

なお、一般的に絵画を展示する場合、自然光はNGですが、

「Interference」シリーズは光によっても、表情が変化をするため、

本展に関しては、天井の天窓から自然光が取り入れられています。

観る時間や天候によっても、印象は変わることでしょう。

そういう意味でも、会期中に何度も足を運びたくなる展覧会です。
⭐️

ちなみに。

「Interference」シリーズの作品は、

昨年の銀座メゾンエルメスでの展覧会でも観ていますが。

今回改めて観たところ、茅ケ崎という土地柄もプラスしたのでしょう、

画面の煌めきから、夕焼けに照らされた湘南の海を連想してしまいました。

脳内で『真夏の果実』が再生されたのは言うまでもありません。

さらに、新型コロナウイルスの流行により、

ロックダウンされた中で描かれたドローイング群も紹介されていました。

個人的に一番惹かれたのは、「Blue's Silence」シリーズ。

文字通り、青色に特化したシンプルなシリーズです。

こちらの「Blue's Silence」シリーズも、

冒頭の「Infinite Space」シリーズと同様に、

やはり薄い半透明の絵の具が何層にも塗り重ねられているそう。


また、画面の底辺は僅かばかりですが、

全体とあえてトーンが変えられているそうです。

言われてみれば、確かに、微妙に違いました。

肉眼ではそのわずかな差異に気が付けましたが、

こうして画像で観てみると、ほとんど判別がつきません。

人間の眼って、スゴいんですね。



なお、展覧会では、約100点の絵画だけでなく、

スケッチブックなどの資料も一部展示されていました。

それらの中に、父である画家サム・フランシスから貰ったという詩がありました。


自分は普通の親子なので、

人生で一度も父から詩が贈られたことはなし。

さすがは芸術家親子だなァと、妙なところで感心してしまいました。



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