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ブランクーシ 本質を象る
この春、アーティゾン美術館で開催されているのは、“ブランクーシ 本質を象る”。
抽象彫刻の祖ともされるルーマニア出身の彫刻家、
コンスタンティン・ブランクーシの大規模な展覧会です。
アーティゾン美術館が所蔵する《接吻》や、
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横浜美術館も所蔵する《空間の鳥》、
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そして、本展のキービジュアルの一つで、
豊田市美術館が所蔵する《雄鶏》を筆頭に、
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国内の美術館や展覧会などで、
その作品を目にする機会が少なくないため、
ブランクーシの個展はこれまで何度も開催されている印象がありましたが。
実は意外にも、日本でのブランクーシの本格的な個展は本展が初めてとのこと。
それは、決してブランクーシの人気がなかったわけではなく。
ブランクーシの作品は国内外に散らばって、
収蔵されているため、数を集めるのが至難の業なのだとか。
しかし、本展では、国内外の美術館より、
初期から晩年まで、約20点の彫刻作品の借り受けに成功!
日本初にして、日本最大級のブランクーシの個展を実現させています。
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ブランクーシといえば、抽象彫刻、
抽象彫刻といえば、ブランクーシですが。
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最初からこのような作風だったわけでなく、
キャリアの始めは、やはり伝統的なブロンズ像を制作していたようです。
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さてさて、本展のハイライトともいえるのが、
ブランクーシのアトリエをイメージした空間です。
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彫刻作品こそ、ゴールドに光り輝く印象がありますが、
実は、ブランクーシ自身は、白に強いこだわりがあったようで。
アトリエは壁も床も白一色で統一されていたそうです。
しかも、愛犬に着せる衣服も白色だったとのこと。
ブランクーシは、ペットに服を着せるタイプだったのですね。
と、それはさておき。
そんなブランクーシはのアトリエをイメージして、
こちらの展示空間は、白一色で統一されています。
それに加えて、アトリエの天窓から降り注ぐ陽の光の再現。
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しかも、この照明は、リアルタイムの時間と同期しているそうで。
朝から昼、夕方にかけて、光り方が変化するのだそうです。
また、出展作品に関して補足しますと、
ブランクーシの彫刻作品は約20点ですが、
テンペラやフレスコで描かれた平面作品も出展されています。
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さらに、ブランクーシ自身が撮影した写真に関しては、53点も出展されていました。
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ブランクーシは、写真をただの記録媒体とは捉えていなかったようで、
自らの彫刻作品を「イメージ」として再解釈するための「第二の創作」と考えていたそう。
おそらく写真に撮られた姿が、ブランクーシ本人的にはベストアングルなのでしょう。
写真と併せて、彫刻作品の鑑賞を楽しみたいところです。
なお、併せて楽しみたいと言えば、
一つ下の階で開催されているコレクション展も。
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アーティゾン美術館が所蔵する彫刻作品の、
ベストメンバーが一室に勢ぞろいしています。
アーティゾン美術館、春の彫刻まつり。
彫刻が好きな人はもちろん、
そうでもない人でも見逃せない展覧会ですよ。
⭐️⭐️
ちなみに、どうでもいいことですが、
本展を通じて個人的に一番驚いたのが、ブランクーシの容貌。
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想像していたのと違って、髭面でした。
勝手に、ツルっとした顔立ちを想像していました。
しかも、目鼻がハッキリしてないほどの。
アートサロン新メンバー大募集中!
是非美術館行った報告やみんなで展覧会に行ったりアートを楽しみましょう!