見出し画像

北九州市、青山真治監督、『青山真治クロニクルズ展』

こんにちは、アーツトンネルのタカキです。今回は、先日行った展覧会『青山真治クロニクルズ展』のレポートです。


北九州市門司区出身の映画監督青山真治

青山真治さんは映画『Helpress』や『ユリイカ』、『サッドヴァケイション』など、北九州を題材とした「北九州サーガ」と称される三部作映画の制作や、第146回芥川賞を受賞した田中慎弥さんの『共食い』を映画化した映画監督です。

僕は青山真治の大ファンで、中でも『サッドヴァケイション』は、自分が死ぬまでにあと10回以上は観ると決めているほど、大好きな作品です。

先日、北九州市立美術館分館で開催されていた『青山真治クロニクルズ展』に行ってきました。

リバーウォーク北九州内にある北九州市立美術館分館

この展覧会は「青山真治監督の企画展を北九州で開催する会」が主催となり2023年12月2日から12月17日にかけて開催され、青山真治監督の遺品やロケ地マップのほか、『共食い』に出演した菅田将暉さんが着用した衣装などが展示されていました。

2022年3月21日、青山真治監督は亡くなってしまいました。この展覧会は青山監督が残した貴重な資料とともにその軌跡を辿るものです。

数々の名作を残し57歳でこの世を去る

2001年に公開された『ユリイカ』は数々の映画賞を受賞。青山監督の代表作となります。

家族や血の繋がり、また、血の繋がりがない人たちとの心の繋がり、そして、母性や父性など、青山監督の作品の多くは重厚なテーマを持っています。

そして、それらのテーマと絶妙に絡んだ北九州やその他の地域の風景の映像がとても印象的です。

それらは、いつまでも記憶と心に残る風景であり、これが青山監督の映画の最大の魅力だと僕は考えています。

『ユリイカ』では熊本県阿蘇エリアがロケ地となった

メモが書き込まれた台本や「AOYAMA」と書かれた監督椅子

展覧会では、共演した俳優やスタッフからのメッセージの他、台本や脚本の原稿、また、舞台を作る前のイメージ画などが展示されていました。

貴重な資料ばかり、、、

セリフ、衣装、ロケ地、小道具など、様々な要素が複雑に絡まり合うことで、一つの映画作品が完成します。

この展覧会を観て、映画をつくることの果てしなさを感じました。

俳優、スタッフ、制作、ロケ地に暮らす人達、関係者などが心を一つにし、一つの映画を作る。それは、奇跡のようなことです。

中でも、ロケ地マップは特に感動しました。

マップには、監督や撮影スタッフが求める風景にたどり着くまでのエピソードなどが書かれていて「いつまでも記憶と心に残る風景」がどのように撮影されたのか知って、泣きそうでした。

映画を観るたび、そこを通るたびに感じることができる

青山監督は亡くなってしまいましたが、映画を観るたびに、僕は青山監督の存在を感じることができます。

映画には、そのような特性がある、僕はそう思います。

監督が感じたこと、監督が描きたかったこと、それらがすべてのシーンに描き出され、一つの物語を構成します。

例えば、多くの漫画家は、その物語を自分一人で作り上げます。ネームを描き、登場人物を作り上げ、風景も、部屋も、そのすべてをペンで描き上げていきます。

しかし、映画は違います。監督の描きたい世界を関係者全員で作り上げていきます。

監督の想いを受け継いだ他人が映画を作り、そのロケ地となった地域が映画になっていくのです。

だからこそ、その想いは観た人に伝わっていきます。そして、ロケ地の近くを通るたびに、その映画を思い出し、その映画を観るたびに、その地域を思い出します。

そして、そこに青山監督の存在を感じることができるのです。

みなさんから『サッドヴァケイション』の感想を聞きたいので、観た方は是非、コメントやDMで教えてください!


いいなと思ったら応援しよう!