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筑豊でartするここには炭坑があったのだ

こんにちは!アーツトンネルのタカキです。

今回は、現在、田川市美術館で開催中の展覧会「コールマイン未来構想 記憶を紡ぐー炭坑文化の未来を考える」について書いていきます。

「コールマイン未来構想 記憶を紡ぐー炭坑文化の未来を考える」

藤堂さんの作品

明治時代以降、石炭資源を背景に筑前国と豊前国の頭文字をとって生まれた「筑豊」。本展は、この炭坑文化をテーマに、炭坑記録画に代表される記憶から生まれた作品が、次第に石炭やボタといった素材に注目した表現に移り変わる過程を展示します。資源を中心にめぐる人々の仕事と生活は、時代や地域を超えて共有される価値を有しています。本企画を通じて、近代化を支えた「筑豊」の姿を提示できれば幸いです。

田川市美術館HPより

この展覧会では、炭坑文化をテーマに、山本作兵衛を代表とする炭坑を記録した作品や、炭鉱労働者のための月刊紙「サークル村」を発行した上野英信など、この筑豊の地に炭坑があったからこそ誕生した稀有な表現者たちの作品と、

閉山後、かなりの時を経て、炭坑での「文化」や「労働」ではなく、「石炭」という素材と、その素材の持つ背景に着目した、現代作家の作品を観ることができます。

偉大すぎる作家たちの痕跡

千田梅ニさんの作品

率直で安易な感想を述べると、現代作家の藤堂さんと国盛さんの作品が、ある意味で、相対的に軽く感じてしまうほど、上野英信さんの言葉や千田梅二さんの作品が重く、尊く、素晴らし過ぎました。

田川市の炭鉱住宅の廃材を使った国盛さんの作品

また、会場には1996年から始まった、世界的なアーティスト川俣正さんによるプロジェクト「コールマイン田川」の記録も展示されていていました。

川俣正さんの作品

展示を思い返すと、会場内の作品には異なる3つの視点があるなあと感じました。

異なる3つの視点について

まず、1つ目の視点は圧倒的な当事者たちの視点です。

上野英信さんや千田梅二さんが炭坑労働者として働きながら、同じ炭坑で働く仲間のために作品。それらの作品は苦しくて暗い炭坑の現場に必要な娯楽であったのだそうです。

作品に当事者の視点があったからこそ、炭坑労働者である当事者たちに響いたのだと思います。

上野英信さんの言葉

2つ目の視点は過去と現在を俯瞰する視点です。

藤堂さん、国盛さん、そして、川俣さんが試みていたのは、炭坑について、それに関わる様々な意味や背景を、現代の視点から再構築することだと思います。

国盛さんの作品

3つ目の視点は、当事者が俯瞰する視点です。

これは山本作兵衛さんの作品の特徴でもあります。当事者だからこそ、描けるディテールと、その絵を補助する言葉は、俯瞰して炭坑を見つつも、当事者であったことがなせる表現だと思います。

過去から現在を経て未来に

山本作兵衛さん、上野英信さん、千田梅二さんが残した作品たち、そして、彼らが生きた炭坑を現代の視点から再構築しようと試みた現代の作家たちの作品。

実は、それらと同じ場所に、アーツトンネルのメンバーである市村ドラゴンくんが創刊したフリーペーパー『炭坑夫の寝言』も展示して頂いています。

炭坑夫の寝言コーナー

「コールマイン未来構想 記憶を紡ぐー炭坑文化の未来を考える」

期間
2024年11月2日(土)~11月24日(日)

時間
9:30〜17:30(入館 17:00まで)
最終日 9:30〜16:30(入館 16:00まで)

かなり見ごたえのある展示だと思いますので、是非、お出かけください!

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