横浜市芸術創造特別支援 リーディング・プログラム YokohamArtLifeヨコハマートライフ
「ようこそアート。わたしのまちへ。」(2019)「アートはぼくらのそばにある。」(2020)。これらは、2019~2020年度に横浜の街を舞台に“芸術をもっと身近に、もっと気軽に”を目指して開催された“YokohamArtLife”(ヨコハマートライフ)のキャッチコピーです。このnoteを書いているアーツコミッション・ヨコハマが、この仕組みづくりを担当しました。
外から見た横浜は、近代以降の都市として異国情緒あふれる港町や、みなとみらいの風景のイメージが強いですが、約378万人が住む各地域には古墳や鎌倉時代の文化、江戸時代の宿場町などがあり、豊かな自然があり、住宅地が広がっています。YokohamArtLifeでは、こうした横浜ならではの地域を舞台にアートプロジェクトが展開されていきました。
しかし、この間に新型コロナウイルスの時代がやってきます。多くの芸術活動が、美術館や劇場、コンサートホール、ライブハウスなどで中止を余儀なくされる中、YokohamArtLifeの各活動は感染症対策を行いつつ、柔軟に形を変えながら地域に溶け込み継続されました。その結果、住まいの身近な場所で様々な芸術表現が生まれ、いくつかの場所ではそれは続けられ、今も多くの人が楽しんでいます。
どうして、このようなことが起きたのでしょうか?
2020年 左近山散歩フェスティバル! 撮影:菅原康太
横浜では、美術館やコンサートホールなどが都市部に集中しているので、同じ横浜市内でも、そこに行くためには遠いところでは自宅から会場まで1時間半くらいかかってしまう地域もあります。同じ区内に文化センターがあっても、駅前にしかないのでバスを乗り継いでなんてこともあります。例えば、そんなに時間をかけて、高齢者や車椅子の方がそこへ気軽に行くことができるでしょうか?アーツコミッション・ヨコハマでは、そんな素朴な疑問からYokohamArtLifeの計画をはじめました。
YokohamArtLifeの取り組みの結果、様々な実践を通じて、住まいの徒歩30分圏内で芸術を楽しめる環境があり、地域の多様な人々が安全に安心して集まれるコモンズ(広場や図書館などの共有地)があることの大切さが見えてきました。
テアトル図書館へようこそ! 鶴見図書館:おおたこうじ撮影(2020年度)
これは、コロナウイルス以降に起きている「芸術は不要不急か?」という議論にも通じます。芸術活動をマネジメントする人たちが「必要だ」と意見することも大事ですが、「どうしたら全ての人に自分たちの活動を身近にできるか」を実践することも大切ではないでしょうか。芸術が必要不可欠と考え、その力を信じるのであれば…。
YokohamArtLifeは、”芸術と地域”、”実施者と支援者”のコミュニケーションを充実させるためにアートプログラムの公募、プロセス、実施、報告の各段階において施策と一環する評価を予め組み込み実施しました。このnoteでは、その活動の様子、評価の考え方を報告書から抜粋してご紹介します。
YokohamArtLifeと参加各団体の挑戦の詳細については「2019年度-2020年度 横浜市芸術創造特別支援事業リーディング・プログラム YokohamArtLife ヨコハマートライフ報告書」(PDF:28MB)にまとめられています。
この報告書に載せきれなかった詳細は、別冊に掲載しています。詳しいデータや分析などは、こちらから別冊をご覧ください。(PDF:4MB)
▶すべての取り組みの報告書は、こちらから(ACYウェブサイト)