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左近山アートフェスティバル! (株)スタジオ・ゲンクマガイ(STGK Inc.)

横浜は、異国情緒あふれる港町、みなとみらいのビル群の風景としてよく知られていますが、郊外にいくと古墳や宿場町といった旧跡があり、鉄道沿線に住宅が立ち並び、森や川、広々とした公園など自然が豊かで四季折々の風景があります。

YokohamArtLifeは、こうした横浜ならではの環境を生かして、アートプロジェクトを実施し、地域と共に芸術体験を深めていくことを試みました。その結果、予期せぬコロナウイルス禍のなかでも、各地で芸術と住民の出会いを生みだし、寄り合える居場所やそこで行われる芸術活動の大切さを地域と共有することができました。

このマガジンでは、すでに発行したYokohamArtLifeの「2019年度-2020年度 横浜市芸術創造特別支援事業リーディング・プログラム YokohamArtLife ヨコハマートライフ報告書」(PDF:28MB)から、実際の活動や仕組みづくりに協力してくださった学識者の言葉を抜粋して、ご紹介します。
TOP画像 2020年左近山散歩フェスティバル! 撮影:菅原康太


2019-2020年度YAL(ヨコハマートライフ)採択プロジェクト「左近山アートフェスティバル!」(STGK Inc.)の取り組みをご紹介します。


アートが日常にある暮らしとは


STGK Inc.は、旭区左近山団地で「毎日アートと触れ合うことができる環境」を目的に、文化的活動のサポート、多世代の交流、団地の新しい価値の創出を目指して「左近山アートフェスティバル!」に取り組みました。

2019年11月30日に開催した「左近山アートフェスティバル!」では、STGK Inc.が2017年に改修のデザインを担当した団地の広場「左近山みんなのにわ」を活用して、37組の参加アーティストによる様々なアート展示やワークショップ、ライブイベントを開催。左近山ショッピングセンターにアート拠点「左近山アトリエ131110」(以下、アトリエ)を開き、アーティストの展覧会やワークショップなどが開催できたり、いつでも立ち寄れるカフェとして機能する「場」の提供も始めました。

※上記 YouTube
制作企画:左近山アトリエ131110
撮影編集:江部公美(2019 フェス動画)
出演アーティスト:https://131110.art/artfes + 左近山団地の皆様方


▶ 2019年度のプロジェクトのインタビューはこちら



2020 年度、新型コロナウィルスの影響によって、アトリエは休業を余儀なくされましたが、新型コロナウィルスの中でも、人々がソーシャルディスタンスを保ちながら交流したり活動できる機会を創出しようと、2020年11月3日「左近山散歩フェスティバル!」(以下、散歩フェスティバル!)を開催しました。


※上記 You Tube
制作企画:左近山アトリエ131110
撮影/編集:江部公美
音楽:シイナアキコ
出演アーティスト:https://131110.art/fes2020/ +左近山団地の皆様方



この散歩フェスティバル!では、参加アーティスト達による、散歩をもっと楽しめる様々な仕掛けを、開催エリアの随所に配置し、どんな人でも楽しめる工夫をしています。さらに、開催前にはアトリエのウィンドウを活用して、地域の方から左近山の「自分の散歩スポット」を自由に書き込んでもらう取り組みも行いました。

(左近山チャンネル!「クレヨン先生・らくがき 左近山商店街 夏祭り」 )



アトリエは、2020年6月の営業再開以降、人数を制限しながらの営業や、オンラインでのワークショップなど、新型コロナウィルスに対応した形での活動を継続することで、左近山団地におけるアートを通じた様々なコトが起こる「場」として、地域に定着しつつあります。


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左近山アトリエ131110とスタッフ:スタッフ撮影(2020年)


2020年度は、散歩フェスティバル!とアトリエ以外にも、配信プログラムである「左近山チャンネル!」(配信プログラム)も開始しています。

ここでは、散歩フェスティバル!との連動企画の他に、アトリエに関わってくれたアーティスト、クリエイターのインタビューや、アトリエの周辺で起こっているコトを広く発信しています。ぜひご覧ください!


ひとりひとりの多様な価値観を引き出すための場づくりとは? 

団地の中は、住空間、年齢構成などが似ており、学校や買い物など生活圏が同じです。このことは均質的な価値観を生み出しがちで、それが苦手と感じる人もいます。そこで、住民一人一人が持っている多様な価値感を引き出せるような場づくりをおこなったら、もっと団地住まいが面白くなるのでは?と考えたのがきっかけです。

その核となるのが「アート」で、町の外からくるアーティストにも協力いただいていますが、この場では住んでいる人の思い、誰もが持っている表現したい気持ちを大切にしながら場の運営をしています。


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左近山アートフェスティバル!:菅原康太撮影(2019年11月30日)


2020年は、残念ながら新型コロナウィルスの影響で3月からアトリエでの活動は一時休止しました。でも、その間に人々が緑豊かな左近山を散歩することで気を晴らしていることに気づきました。同じ道を歩いていても、世代ごとに見ている世界は異なります。

そこで散歩をしながら認知が変わるようなきっかけをアートで作れないかと考え、コロナ禍でもソーシャルディスタンスを保ちながら開催可能な「左近山散歩フェスティバル!」を企画。団地の価値ある未来の一幕を描けたかもしれないと思っています。


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左近山散歩フェスティバル!:菅原康太撮影(2020年11月3日)



多様なものが集積し人と文化が集まって街ができます。もし、そこでアートが多様性を生み出す補助線となるならば、STGKが表現するランドスケープデザインに対してもフィードバックが拓けるかもしれません。

プロジェクトを通して「多様な価値観を包摂する左近山の未来のためにアートに何ができるのか?」この問いの答えを探して試行錯誤を続けています。

このnoteは、株式会社スタジオ・ゲンクマガイ(STGK Inc.) 代表・ 熊谷玄さんへのインタビューを元に、事務局で執筆しました。


左近山アトリエ131110スタッフ日誌


アトリエでの日々を書き綴ったスタッフの日誌を一部ご紹介します。アトリエに憩う人たち、コミュニティが生まれる様子、世代を超えた人々の関わり。左近山の雰囲気を少しでもお伝えできれば幸いです。
(人物名、固有のストーリーなどは適宜改編しています)

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左近山アトリエ131110 日常風景 :スタッフ撮影(2020年)


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常連のCくん(中1)が13時〜17時半まで滞在。水を飲みながら縄跳びの練習やゲームなど。ずっと店員と談話。

8/22
初めて来店の70代女性。前から入ってみたかった。第三集会所の広場を綺麗にしてくれた方達でしょ?と。パッチワークの先生をされており、仲間の方も来店経験があると。BBQをつまみに、ビールを12時前から3本づづ空けちゃう元気な方達。「応援してるわー良いところが出来て嬉しいわー」と帰られました。

9/13
開店前から常連のAさんが友達3人とテラス席で談笑していていい感じ。


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左近山アトリエ131110のウィンドウに描かれた散歩マップ:スタッフ撮影(2020年)


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50代ぐらいの女性、「今日は気持ちが沈んでいて、こんな時にこういうお店があるのはありがたい」とおっしゃって、色々と大変なことがあった様子。お話しして、気持ちもスッキリされたようで、また来ますとの事です。2街区にお住まいの方。

(日付不明)
アート好きなアルバイトの友人たちが、左近山団地外から、アトリエに来店。気に入っている。


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左近山アトリエ131110の様子:スタッフ撮影(2020年)



左近山アートプロジェクトが目指すもの


もともとこの日誌は、2020年度に左近山アートプロジェクトが目指すゴール

・左近山に住んでみたいと思う人を増やす
・「左近山アトリエ131110」が住民にとって大切な場所となる
・多様な価値観を認め合うコミュニティになる

この3点を目指すため、アトリエの日々の物語を集め、活動を振り返ろうと始まりました。スタッフ同士の情報交換の場にもなっており、今後も続けていきます。


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左近山アトリエ131110前:スタッフ撮影(2020年)


▶『左近山アートフェスティバル』の報告書は こちら (PDF:11MB)
▶左近山アトリエ131110のホームページはこちら(外部ページ)
▶左近山チャンネルはこちら(外部ページ)

YALが目指すゴールに向けてどのような歩みがあったのか、そして、各参加団体が自分たち自身の活動をどのように振り返っているのかは、以下の報告書に取りまとめていますので、ご覧いただければさいわいです。
▶すべての取り組みの報告書は、こちらから(ACYウェブサイト)

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