見出し画像

受け継ぐこと、について。


「エンターテイメント」と名がつくお仕事では、あまりそういうことは無いのですが…(今まで周りで無かっただけかもしれませんが…)
「アート」と名がつくお仕事では、「何かを受け継ぐ」というテーマを持っている企画を、結構目にします。
技能の継承、戦争体験の継承、失われる文化的アイデンティティの継承、故人の思いの継承。

どうしてかな、と考えてみたのですが、おそらくアートは「お金では測れないこと」を繊細に掬おうとしてきた歴史があるから、かもしれません。(*1)

作品の外側とうまく連携して、高い粗利を出すことが求められるエンターテイメントに対して、アートは神性との繋がり、社会との繋がり、自分自身との繋がりに重きを置きます。

「山に、生きる。」で使われている表現の技法には、商業演劇=エンターテイメントの世界で発展した技法も多いですが(*2)、Circleの中で「この作品はアートだ」と思っていたのは、上に書いたような理由かもしれません。

公演日、舞台上の様子


そもそも、作者のMURAOKAさんも越境的な感覚を持っていて、「自分のやることをジャンルで綺麗に分けないようにしている。」という作家です。このエンターテイメントとアートが混じり合って、手を取り合っている。そんな感覚が作品を通して、お客様に伝わっていけたらいいなと思っています。

さて、この記事を書いている本日は8月14日。お盆の中日です。
しいたけハウスのもとの所有者である、MURAOKAさんのおじいさん(おじいちゃん)も、きゅうりの馬で帰省をされているかもしれません。

おじいさんご本人が生きていらした頃と比べると、しいたけハウスは木がボロボロになり、部分ごとに少しずつ崩れてしまっています。

ステージを作るのに並行して、MURAOKAさんは「倒立バー」を作りました。
しいたけハウスの中で、まだ長く使えそうな木を使って、自分の仕事道具を作ったというわけです。

倒立バーで演技するMURAOKAさん

おじいちゃんの生業にしていた原木しいたけ栽培は、しいたけ農業の中でも高い技術や手間が求められる仕事。農家に転職したとして、数日、数ヶ月、数年の技術では身につけられず、また全国的にしいたけ農業も簡単な技能にシフトしていて、他の農家さんにそのまま譲ることと、おじいちゃんの姿や思いをそのまま継ぐことを両立するのは難しいと判断しました。

でも、しいたけハウスの一部を、自分の仕事のために借りられたなら。

それはやはり、「継承」に違いないと思います。

今日は作品の裏話的な内容になりましたが、しいたけ栽培で表彰もされた彼のおじいちゃんの真摯な仕事への思いが、MURAOKAさんの演技にも継がれている様子を、上映会で分かち合えたらと思います。

2024年9月14日。ぜひ中野区の古民家でお会いできたらと思います。

###
2024/9/14(土)
アートイベント「あの夏、河原沢の山の中で。」

美しい自然と古き良き暮らしにインスパイアされ、創作された作品をお届けするアートイベントを開催!映像作品の上映、トーク、作品展示、グッズ販売など、多くの催しをお楽しみいただけます。
会場は東京都中野区の住宅街に、突如現れる古民家「くまから洞」。手作りの暖かさ溢れる会場にて、どこか懐かしい、素敵なひとときをお過ごしください。

【イベント概要】
日時:
2024年9月14日(土)①11:30 ②14:30 ③16:30
*イベント時間 1時間程度の入替制です。
*受付開始・開場はともにイベント開始の30分前となります。

会場:
古民家「くまから洞」( 東京都中野区野方6-40-19)
西武新宿線「野方駅」北口および「野方駅」北口バス停から徒歩5分

入場料金:
一般 ¥1,500
中学生以下 ¥1,000
(前売・当日精算。当日券は各+500円。乳幼児の膝上鑑賞は無料。)

【前売券ご予約】
Google formにてご予約をお願いします。

【物販】
CIrcle 新デザインのTシャツ、キャップを販売いたします(デザインは近日公開)。また、既に販売中のTシャツ、缶バッジ(緑のみ)、ショッパー(手提げ袋)もお求めいただけます。
2024/7/14に公開予定のチケットお申込みフォーム内でのご予約をいただいた場合、イベント当日会場にて直ぐのお受け渡しが可能です。ぜひこの機会にご活用ください。

企画:まちとひととをつなぐ芸術プロジェクト Circle
主催:一般社団法人ジャパンエンターテイメント東京


【お問い合わせ】
まちとひととをつなぐ芸術プロジェクト Circle   (担当:惡澤/アクザワ)  
〒177-0051 東京都練馬区関町北2-22-15-401  
TEL:050-5359-1554    
MAIL:artprojectcircle★gmail.com (送信時は★を@に)
WEB:https://circle.je-tokyo.com/

###
(*1) アートとエンターテイメントについては定義がものすごく難しく、色々な国や時代での考え方があるため、色々な考え方が生まれると思います。これを見ている方もぜひ、「自分はこう思うな…」というご意見を持ってくださると嬉しいです。

(*2) アクロバット、ジャグリング、映像技法など。

###
文責:惡澤仁美
「まちとひととをつなぐ芸術プロジェクト Circle」の制作/コーディネーター担当。
舞台を中心に、エンターテイメントとアートのジャンル分けを超えた創作を伝える役割を担います。
時にプロデューサー、時に当日運営、時に広報、時に進行管理。作品研究の役割も。
青山学院大学英米文学科卒。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?