新しい生活の始まり


離婚が成立してから、私の生活は一変した。美奈を育てるために、一人で全てを背負わなければならない現実が重くのしかかってきた。これまでのように、彼に頼ることはできなくなった。毎日の家事や育児に加え、仕事もこなさなければならなかった。

最初の数週間は、何とかやりくりできた。朝早く起きて、美奈を幼稚園に送り出し、その後すぐに仕事に向かう。仕事から帰ると、美奈の世話をしながら夕飯を作り、彼女を寝かしつける。この繰り返しが続く中で、次第に疲労が蓄積されていった。

夜、子供が寝静まった後の静寂が好きだった。だが、その時間もまた孤独を感じさせた。家の中は静かで、元々賑やかだったはずの場所がひっそりとしていた。友人たちに連絡を取る余裕もなく、周りからのサポートも期待できなかった。新しい生活が始まったはずなのに、心の中は漠然とした不安で満ちていた。

美奈との時間は大切だったけれど、彼女の成長を見守りながらも、一人で育児をするというプレッシャーに押しつぶされそうになった。食事を作るのも、遊び相手になるのも、全て私がしなければならない。たまに、元夫と過ごした日々が恋しくなり、涙がこぼれることもあった。

仕事との両立

私の仕事は、離婚後も続けていた。経済的な不安を抱えながら、毎日必死に働いた。しかし、育児と仕事の両立は想像以上に過酷だった。仕事のストレスを抱えながら、帰宅後は美奈の相手をしなければならない。体力的にも精神的にも、疲弊する日々が続いた。

上司や同僚の期待にも応えなければならず、早く仕事を終わらせたい気持ちと、子供を育てる責任の板挟みに悩まされた。特に美奈が風邪を引いたときは、会社を休まざるを得なかった。罪悪感と焦りで心が押しつぶされそうになった。

また、金銭的な面でも厳しさが増した。彼との生活では共に負担を分け合うことができたが、今は全てを一人で背負わなければならない。生活費や美奈の教育費、そして自分の必要な経費も全て考えると、先が見えないほどの不安に襲われた。月末には口座の残高を確認するたびに、頭が痛くなった。

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