離婚物語5

その翌日、私は決断を下すためにもう一度冷静になろうと、娘を保育園に送った後、近くのカフェに足を運んだ。静かな空間で、カフェラテを片手に、ここ数ヶ月のことを頭の中で整理する。悠斗との関係、美奈のこと、自分自身の気持ち。どこかで答えはもう出ているのかもしれない。

一人で座っていると、思い返されるのは過去の幸せな瞬間だ。初めて悠斗と出会ったときのトキメキや、結婚式の日の輝かしい思い出。娘が生まれた瞬間の幸福感。それらの思い出は決して色褪せることはないし、私の中で大切なものだった。でも、今その思い出にすがることが、自分の幸せにはつながらないのだと理解していた。

私はもう、今の結婚生活に心の安らぎを見つけられなくなっている。そして、その現実から目を背け続けることで、美奈にも影響が出てしまうだろう。母も加奈も、皆同じことを言っていた。私が幸せでなければ、娘も本当の意味で幸せにはなれない。

「もう、決めるしかない」

私はカフェを出て、まっすぐ家に向かった。決断する時が来たのだと、自分でも分かっていた。部屋に戻ると、リビングのソファに座り、悠斗が帰ってくるのを待った。

夕方、玄関のドアが開き、彼が帰宅した。いつもと変わらず、無表情で「ただいま」と言い、靴を脱いでリビングに入ってくる。私はその瞬間、心を落ち着けて彼を見た。決意が固まった瞬間だった。

「悠斗、ちょっと話があるの」

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