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【北海道開拓の思い出】#20 素人相撲

兄・幸雄は運動神経が抜群だった。戦前は男も女も青年団はそれぞれの部落で運動競技をやった。走る、飛ぶ、投げる、それに相撲。部落で1、2になると穂別連合運動会、そこで勝ったら胆振大会、そこで勝ったら全道大会に行った。兄は短距離は3位、相撲は2位だったと云って喜んで帰ってきた。

その頃は仕事から帰ってくると早速父と兄が裏の畑に作った土俵で相撲をとっていた。兄が全道大会で2位だったというのに、父は今の若いものは弱くなったなと云う。そんなふうに云うのだから父の若い頃はどんなに強かったかと思う。よく賞品で米を貰ってきて、米を買うことはなかったと母が云っていた。母の帯の芯はほとんど兄の相撲の廻しになった。

母は髪結いをしていたので衣装をずいぶん持っていた。女の子が3人いたから、その衣装も次々と私等のもんぺや服になってしまった。良い品ほど薄く、破れてしまう。糸がないと縫物はできないが、無いと云ったら本当に無い。母は文句を言いながら直していた。着物をほどいて糸を抜き、それを大事に取っておいて次に使った。

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