見出し画像

【速報】まさかあの作品がゴールデン・グローブ賞受賞???

アメリカ現地時間1月5日に第82回ゴールデン・グローブ賞の授賞式がありました。アカデミー賞の前哨戦として毎年注目されている賞レースの1つです。

2024年のエミー賞(第76回プライムタイム・エミー賞)でも25部門にノミネートされ史上最多の18冠に輝き、注目を集めた『SHOGUN』でしたが、なんと今回のゴールデン・グローブ賞でも快挙です。

数あるテレビドラマ部門の中で作品賞を受賞した他、主演の真田広之さん、アンナ・サワイさんがそれぞれ主演男優賞、主演女優賞、そして浅野忠信さんが助演男優賞を受賞されたというではありませんか!おめでとうございます!!

真田さんが受賞された主演男優賞での日本人の受賞は初だそうで、同作は飛ぶ鳥を落とす勢いで反響を得ています。日本ではDisney+でのみ配信されているので、ご興味ある方は是非!

と、まぁここまでは前置きでして(笑)。

実は今回のゴールデン・グローブ賞で僕が最も驚かされたのがアニメ映画部門の受賞でした。

昨年度の同賞の受賞作品は宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」でしたが、残念ながら本年度日本作品はノミネートならず。

本年度のノミネート作品が以下になります。

このIMDBのレーティングもそうですが、友人や業界全体の前評判などを踏まえると、個人的にはThe Wild Robot(邦題:野生の島のロズ)とFlowの2択だろうな、という印象でした。

結果を先に申し上げますと、なんとFlowが受賞したとのこと!

これは業界全体としてもかなりの驚きだったようです。というのも、The Wild Robotはディズニー、ピクサーと長年ハリウッドアニメーションを牽引してきたドリームワークス・アニメーションが手がけたメジャーな作品である一方、Flowはラトビア、フランス、ベルギーの映画協会等の支援を受けて制作された完全なインディー作品なのです。

予算で言うと、The Wild Robotの制作費が7800万ドルと言われる中、Flowはたったの3.5 million euro(≠ 360万ドル)と監督が明言しています。また、制作人数もメジャースタジオでは何百人というアーティストや制作スタッフが関わる中、Flowに関わったのは40~50人程度だったそうです。

出典元:https://www.animationmagazine.net/2024/08/flow-director-gints-zilbalodis-sets-adventure-adrift-in-an-animal-waterworld/

過去にも『ぼくの名前はズッキーニ』『ゴッホ 最期の手紙』『FLEE フリー』『アノマリサ』など、アメリカ国内外で制作されたインディー作品のノミネートはありましたが、これまで大手の作品の壁を越えることはできていませんでした。

日本のお笑い賞レース、M-1での優勝が芸人さんの将来を大きく広げてくれる可能性を秘めているのと同じように、ゴールデン・グローブ賞のようなハリウッドの大きな賞レースでの受賞はこれからのインディー映画、インディーアニメーション作品に希望を与えてくれたような気がします。

ディズニー、ピクサー、ドリームワークス作品はどれも子どもの頃から馴染みがあり、期待を裏切らない素晴らしい作品が多い一方、その巨大な影に隠れ、陽の目を浴びづらい中小スタジオ作品やインディー作品が多くあるのも事実です。

『SHOGUN』の真田広之さんが日本人で初めて主演男優賞を受賞したことからもわかるように、”初めて”何かを勝ち取るのは目的遂行のために課す自身の鍛錬だけではなく、長年の”当たり前”を変える、”環境”を変えるために想像の何百倍、何千倍もの努力が必要だったのだと推察します。

今回Flowが受賞したことによって、その”当たり前”の門戸が広がったのではないでしょうか。長いものに巻かれなくとも、個々の創造性が押しつぶされる事なく、ただ単純に素晴らしいもの・好きなものを創りたい、そんなクリエイターにより寛容で、それが受容される業界になっていくといいなーと感じた次第です。

↑日本では3月14日に公開です。早く観たい!!

では、また!


いいなと思ったら応援しよう!