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第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展/日本館を考える/(2024年のartを振り返る)
第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展/日本館を考える
ヴェネツィア・ビエンナーレは
(註)ヴェネツィア・ビエンナーレは、世界最古の国際的な美術展のひとつであり、2年ごとに開催される国際的なアートイベントだ。
国際展のテーマは「どこにでもいる外国人(Foreigners Everywhere)」
2024年度の国際展のテーマは「どこにでもいる外国人(Foreigners Everywhere)」。これはフランス・パリ出身、イタリア・パレルモを拠点に活動するコレクティヴ、クレール・フォンテーヌ(Claire Fontaine)の作品に由来しており、その作品はまた、2000年代前半にレイシズムやゼノフォビア(外国人嫌悪)と戦ったトリノのコレクティヴから採用されているという。
2024年4月20日から一般公開が始まったヴェネチア・ビエンナーレで、Golden Lion Awardをはじめとする賞が発表された
2024年度は、毛利悠子氏が手がける日本館の展示。
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2024年4月20日から11月24日にかけて開催される、第60回ヴェネチア・ビエンナーレの国別パビリオン日本館の出品作家に美術家の毛利悠子、キュレーターにイ・スッキョンが選ばれた。
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日本館は、アーティストの毛利悠子がパイプや廃材で構成された仕掛けの数々を発表しており、今年のビエンナーレで最も風変わりなパビリオンを用意した国だと言えるだろう。武骨にくみ上げられた水によって、装置に取り付けられたシンバルやチャイムが不定期に揺さぶられる。展示スペースに設置された扇風機やフライパン、蛇口、ウッドテーブルをはじめとするものはすべて、ヴェネチア近郊の店から調達した。-毛利悠子
完成されたシステムが誤作動し始めた際に現れる亀裂に喜びを感じる毛利は、綿密に作られた外観を維持するために必要な資源や労力に焦点を当てている。(実際、彼女が今回手がけた作品は、漏水した際の被害を最小限に食い止めるために東京の地下鉄の天井に施される一時的な対策に触発されたという)
このため毛利は、長いワイヤーに取り付けられた電球をパビリオンの床の近くまで垂らし、訪れる人々が日本館に入る前に目に付くように設計している。
毛利悠子-経歴概要
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毛利悠子は1980年神奈川県生まれ。2006年東京藝術大学大学院美術学部先端芸術表現科修了。
主に、日用品や、道具等、機械の部品など様々なものを組み合わせ、磁力や重力、空気の動きといった目に見えない力を感じさせるインスタレーションを制作する。
毛利悠子は果物やビニールなど身近なものを素材にし、コンポジション(構築)へのアプローチではなく、環境などの諸条件によって変化してゆく「事象」にフォーカスするインスタレーションや彫刻を制作している。
国内での展示に加え、「第23回シドニー・ビエンナーレ」(2022年)、「アジア・アート・ビエンナーレ2021」(台中、2021年)、「第34回サンパウロ・ビエンナーレ」(2021年)、「グラスゴー・インターナショナル2021」(2021年)など、国際的に活動しており、最近では、5月に開催された「第14回光州ビエンナーレ」でのインスタレーションが話題になった。
水という素材/毛利悠子、イ・スッキョン(日本館キュレーター)のインタビュー
自然の物質ということでいうと、毛利さんの作品は水を物質として扱うものですが、水という物質はヴェネチアという土地とも関係しています。ヴェネチアは何度も洪水を経験してきましたし、街の至る所に井戸があります。水とヴェネチアの関係について・・・
毛利悠子 「Compose」 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館展示
2024年4月20日から11月24日まで開催される第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館では、毛利悠子が「Compose」と題した展示を行います。毛利は、環境などの諸条件によって変化してゆく「事象」にフォーカスするインスタレーションや彫刻を制作している。
動画では、毛利悠子、イ・スッキョン(日本館キュレーター、英国ウィットワース美術館館長)のインタビュー、現地での滞在制作の様子、展示風景をご覧できます。
フィールドワーク「モレモレ東京」着想
毛利は今回の選出にあたってのコメントで、近年頻発した環境活動家のアートアタックについて触れつつ、地球上で起こっている気象危機に言及。「危機は逆説的に、人々に最大の創造性を与える」と、東京駅構内で起こる水漏れに日用品を用いた「(不)器用仕事(ブリコラージュ)」で立ち向かう駅員たちに注目したフィールドワーク「モレモレ東京」着想の根源と言う。
そして、「2019 年に『50 年に1度の』洪水に見舞われたヴェネチアにて、アートの近傍(近所)で起こる世界的問題を剔抉(てっけつ:暴く、明らかにするなどの意味)し、創造的なヴィジョンを提示したいと思う」と抱負を語る。
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最後に(私見)
2024年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に毛利悠子氏が選出。その「アートの周辺で起こる問題を明確化に・・・」
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その登用は、明快さに欠けると言われる。それは、日本と海外の国別の展示方法に違いがあるからだ。
第60回(2024年)のヴェネチア・ビエンナーレ・日本館の代表が毛利悠子に決まり、合わせて日本館初の外国籍キュレーターとして韓国人のイ・スッキョンがキュレーションを担当することが発表された。アーティストが先に決まり、その後、アーティストの希望もありキュレーターが指名されるという形式となった。
第58回(2019年)までの選出プロセスが完全な透明性を持っていたとはいえないが、少なくとも指名された5名前後のキュレーターによるコンペ形式によって競争性があり、また提出された展示プランも選出されなかったものも含めて国際交流基金のウェブサイト上で公開されていた。突然の選出方式の変更は、これまでの状況からブラックボックス化を進めるものともとらえられ、議論を引き起こしていた。
ヴェネチアと言う地で、の循環系をテーマに毛利悠子女史が選択するのも、理のある事だが・・
ヴェネチアと言う地で、の循環系をテーマに毛利悠子女史が選択するのも、理のあるところだろう。
ただ、日本館だ。 例えば、 国内での世界的な潮流から、(遅れた)事象を扱う事のできる作家もいるのではないだろうか。
テーマは「どこにでもいる外国人(Foreigners Everywhere)」と言う事に沿ってもコンテンツの方向性には、オーストラリ館などともスタンスが異なる。
例えば、70%が森林の日本国においても、、不本意なSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)、地球温暖化問題の真偽、また、太陽光パネルや、EVカーはユーロ圏では、すでに過去の異物(産業遺産にはならない)だと言う視点もある。-産業遺産情報センター
フィールドワーク「モレモレ東京」について考えると・・
批判が続いて申し訳ないが、
上記の「モレモレ東京」のネーミングについては、JR職員(そして、東京メトロ)の大変な苦労を認識していただきたい。
現場の職員は、その「モレモレ東京」と言う(おちょくったような姿勢/ご本人は不本意だろうが)ネーミングには怒りさえも覚えるだろう。
地下ホーム等では、車輌運行を止めず(基本24時間体制で電車は動く)に常に先端工法で工事をしても、漏れに対して緊急工事が必要な場所は発生する。- 取材(artoday)
それは、東京駅の地下ホームの上には、何本かの河川が流れているのをご存知だろうか?
(江戸時代の、その地はなんだったのか考えると、明治の初めから、東京駅や都内の地下駅は、常に水との戦いだった-首都高トンネル部分も同様)
日本の鉄道は、秒単位で遅れを無くし、そして、乗客の安全を第一に行なっている。
例えば、新幹線が出来て、半世紀以上になるが、一人の死亡事故も起きていない。(自死は除く)余談だが過去には、国鉄(JR)一家と言う名称も存在した。
毛利さんが選出された、お気持ちはわかるが・・・
しかし、誰しも、オーストラリア館、NZのメンバーとのギャップは感じるだろう。ハングリー(困難に立ち向かう姿勢)から生まれるアートだけでは無いが・・・このコンテンツはベクトルが異なる。
一般人に、このインスタレーショの評価を伺っても、まずは、「だから・・」と言うだろう。
観る側に批判されないためにも・・・
先人は、いつも批判の矢面に立たされる。私は、毛利さんに本来の先人になって欲しい訳で申し上げている次第だからだ・・
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