Micron Technology(MU)決算前注目ポイント, 韓国の巨頭2社を相手に更に収益を伸ばす事はできるのか!?
24年1月~5月期の決算シーズンもいよいよこのMicronやNikeで一旦のピリオドになります。Micronは現在大注目の企業でHBM3eの供給がBlackwell B200の生産キャパの鍵を握っている程、重要なサプライヤーとして認識されております。しかし現在Micronの2024年供給可能なHBM3eは既に完売してしまっており、2025年分も割り当てがほぼ決まってしまっている様です。
これは良い面、悪い面両方あり、供給面での限界が浮き彫りになってしまっている事でもあります。しかしMicronは技術面では韓国勢2社に引けを取らないだけでなく、寧ろ上回る様な開発データも公開しており今後のHBM供給から目が離せません。
また先日NVIDIAが発表した次世代AIプラットフォーム'Rubin'はHBM3eよりも更に進化したHBM4の技術が検討されており、Micronがこの先端技術投入に名乗りを上げている記事も散見されます。
サプライヤーとしての供給網は韓国の巨頭2社には及ばないながらも技術面では引けを取らないという何とも米国企業らしい立ち位置で奮闘しているMicron、6/26(水)※現地時間 の決算発表前に注目しておくポイントをまとめたいと思います。
※個別銘柄に言及する内容が含まれますが筆者の経験と知識を基に見解を述べているもので売買を推奨するものではありません。この先に進まれる方はこの件に同意されたものとみなさせていただきます。
収益成長の回復が進行している
2022年~2023年にかけてMicronだけでなくSansungやSKHynixのメモリー企業は需要減速の影響を受け、多大なる損失を被っておりました。
まずはMicronの24’1Q決算、2Q決算内容からDRAM、NANDメモリ市場の回復に乗じているか見て行きたいと思います。
上表から、マイクロンの2024年上半期の売上成長率はDRAMとNANDの両方で好調を維持し、合計で38.9%の大幅な伸びを達成しています。
これに対して、現在の通期予測は56.9%とさらに高い数字を見込んでいますが、価格の回復に伴い成長率は徐々に上昇すると予想されます。
四半期ごとの業績を見ると、2024年第2四半期の前年同期比成長率は第1四半期と比較して大きく上昇しています。
DRAMに関しては、2023年上半期の業績は価格上昇よりも出荷枚数の増加によって牽引されました。
ウェーハの着工枚数の減少が計画されているにも関わらず、DRAMの出荷枚数は前年同期比で66.1%増加しました。
この増加は、既存在庫の取り崩しによるものと見られます。
しかし、在庫残高は2023年の83.9億ドルから2024年第2四半期には84.4億ドルへとわずかに増加しました。
これは、2023年上半期のメモリーチップ価格の下落により14億3,000万ドル、通年では18億3,000万ドルの在庫評価損が発生したことによるものです。2024年上半期にはメモリーチップ価格が改善し、同社は在庫の再評価を行い、9億8,700万ドルの在庫増加を記録しました。
これは、供給能力の増強なしに売上高の増加を実現した金額です。
今後の展望
AIサーバー向けHBMに関して、経営陣は商業生産を開始した新しいHBM3Eメモリに対する強い需要を確認しました。
同社は、Nvidia(NVDA)が2023年に発表し、2024年第2四半期に発売が予定されているH200 Tensor Core GPUに同社のHBMが搭載されることについて、Nvidia(NVDA)との最近の顧客合意を強調しております。
前回のエヌビディアの分析では、AWS(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、グーグル(GOOG)などの主要クラウドパートナーがエヌビディアのGPUを採用し、データセンター分野の成長急増に貢献した、エヌビディアのHopper GPUに対する旺盛な需要を取り上げました。
さらに、マイクロンは次世代のBlackwellアーキテクチャにおいて「HBM3Eの含有量を33%増加させる」と強調しています。
経営陣によると、FY2024の生産能力は既に完全に予約されており、FY2025の供給もすでに割り当てられています。
また、HBMの市場シェアが以前の予想を上回りDRAM全体の市場シェアに匹敵すると見込んでおり、Nvidiaとの顧客契約が市場シェアの拡大をさらに推進すると期待しています。
HBMによる収益の可視化
マイクロンの第3四半期の業績は、HBM3Eの量産出荷が初めての四半期を迎えるため、HBM3Eの貢献がより顕著に反映される見込みです。
マイクロンの第2四半期の業績アップデートによると、同社は2024年度のHBM3Eの供給を既に完売し、今後1年間で数億ドルの収益を確保しています。特に、マイクロンのHBM3Eの価格プレミアムは、短期間における重要な利益増加の要因となります。
歴史的に、マイクロンは連結レベルで約60%のピークマージンを達成してきました。HBM3Eの市場シェアが来年までにDRAMの水準に近づくと予想されているため、そのプレミアムASPは、短期間において大きな利益の追い風となり、評価を支えるキャッシュフローにも有利に作用するでしょう。
しかし、AIワークロードに特化した同社の主要メモリ製品は、今後の需要と価格の上昇にもかかわらず、容量と供給の可用性が依然として制約となっています。
マイクロンの2024年度のHBM3Eは既に完売し、3月の最新情報によると2025年度の供給も大部分がすでに予約されています。これは、ハイパースケーラーがAIインフラに対する投資を継続しており、サーバーGPUへの業界需要が強いことを反映しています。
マイクロンの生産能力の制約が、同社の基本的な事業と評価見通しに重要な影響を与えると考えています。
特に、マイクロンのHBM3Eは、エヌビディアが最近量産を開始した次世代GPU「H200」にとって重要な部品です。
エヌビディアのデータセンター向け売上は今後半年間で500億ドルを超えると予想されていますが、マイクロンは2024年度のHBMによる売上を数億ドルと見積もっています。
さらに、HBM3Eの価格プレミアムは、今後数ヶ月でNvidiaのH200の供給量に応じて大幅に減少する可能性があることを示しています。
Micronの製品は電力効率において30%も優れているにも関わらず、SK HynixやSamsungといった競合他社に市場シェアで劣っている状況が明らかになっています。
加えて、限られた容量が市場シェアの拡大を抑制しているとされています。Nvidiaの新しいBlackwell GPUは、H200 GPUよりも33%多くのHBM3Eメモリを搭載しており、これがAIによるメモリ需要におけるMicronの市場シェアのさらなる低下につながる可能性があります。
MicronはHBM製品ラインの容量要件の改善に取り組んでいますが、短期間の課題は残ります。
HBM3Eの生産は資本集約的であり、DDR5と同じビット数を得るためには3倍のウェーハが必要とされています。
経営陣は2025年にサンプル出荷を開始し、Nvidiaの次世代Rubinプラットフォームをサポートするために2026年に大量出荷を予定している次世代HBM4において、取引比率の非効率性がさらに増すと見込んでいます。
最新情報として、NvidiaはSamsungのHBM3およびHBM3Eコンポーネントを自社のGPUに組み込むための認証取得を進めていることが確認されました。
同時に、Samsungは今年、2023年の水準と比較してHBMの供給量を3倍に増やす計画を立てています。
この計画が実行されれば、業界の供給制約が緩和される可能性が高まります。これにより、マイクロンのHBM製品の短期的な価格競争力が低下し、株価が現在の水準から倍増する可能性が低くなるリスクが生じてしまいますが私自身の現在の考えは、株価を形成しているものは現在の収益に対する未来の収益がいかほどかなので決して後ろ向きではありません。
Micronは米国CHIPS・科学法に基づくおよそ61億$の政府補助金を獲得しており、現在アイダホ州ボイジーとニューヨーク州クレイに最先端のメモリ製図施設を建設する計画を進めております。
このプロジェクトの総投資額は2030年までにおよそ50B$(500億$)に達する見込みであり、米国内での製造を後押しする連邦政府もさらなる施策を打ってくる可能性も考えられると思います。
Micronの今後の業績の方向性を裏付ける一つに下記カンファレンスでスミト・サダナCEOのコメントを載せます。
2024年5月30日に開催されたGoldman Sachs Global semiconductor Conferenceでスミト・サダナ氏は 自動車部門での運転支援機能に利用されるHBMやスマートフォン、AI搭載PCに関してインフレの影響で市場が横這いだとしても各機種、車種のコンテンツ販売数が増加する事によるMicronの収益は底上げが期待でき、更に25年はHBMで数十億$(24年は数億$)の収益を上げることができるだろうと述べております。
まとめ
ここまでプラス面、マイナス面共に見てきましたので私の考えをまとめたいと思います。
マイクロンのアップサイクルを見据えると、ハイスペックチップの販売増加が大幅なマージン向上とキャッシュの生成をもたらすと予測されます。
また2025年3月期にはAIインフラがさらに強化されることが期待されるため、評価の上限をさらに引き上げる事ができるのではないかと思います。
MUの株価は前年同期比で67%の上昇を遂げましたが、メモリとストレージチップの次の周期的な上昇期に入るにあたり、さらなる株価の上昇が見込まれます。
これらの点を考慮すると韓国巨頭には及ばないものの、現在の株価153$からの更なる上昇はまだ見込めるように思えます。私自身も深堀りできたおかげで懸念が払拭できましたので、買いに向かいたいと思います。
最後に24’3Qの各アナリストの予想収益を載せたいと思います。
Beatしてくる事を期待したいですね。
Revenue Est 6.67B(66億7000万$)Y/Y+77.77%
EPS nonGAAP 0.52$ Y/Y+52%
最後までお読みいただきありがとうございました。6/27(木)早朝の決算発表とカンファレンスコールを読んでから決算記事も上げたいと思います。