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1/6~1/10の振り返りと来週の展望, 10年債利回りが上昇高止まりする大きな理由はタームプレミアム値が5年来最高値にあるが為、短期的に利回りが下落してもこのプレミアム値が下がらないと元に戻る可能性が高いです。

今週1/8(水)(日本時間1/9(木)AM 4:00 )12月FOMCの議事要旨が公開されました。(インフレは)長期的には2%台に向かうとするながらも以前の予想よりも時間が掛かる可能性があると考える参加者が多くいらっしゃいました。またFED高官の大半は次期大統領(Donald Trump氏)の関税政策による影響もあり、インフレ見通しに対する上方リスクが高まったと判断したもようです。

FRBのエコノミストスタッフが作成した経済予測には、2025年にインフレ率が以前の予想よりも高くなり、その後最近の低下を再開する関税の変更に関する当初の仮定も組み込まれていました。

1月20日に就任するトランプ氏による政策変更の可能性をめぐる不確実性に加えて、FRB当局者は、経済を刺激も減速もしない「正常」または中立的な金利が果たしてどこにあるのかを探っておられます。
昨年のほとんどの期間、FEDのベンチマーク金利は5.3%と20年ぶりの高水準に維持され、ほぼすべての当局関係者が金利は制限的な領域にあると考えていました。

しかし、過去3回の会合で9月以降、合計100bp政策金利を引き下げた後、10年債利回りは上昇を続け遂には4.7%を伺う点まで上昇してしまいました。
この観察不可能な「中立」の水準に対して金利が相対的にどのような位置あるのか、FED高官は確信を持てなくっているように思えます。

先月の会合後の記者会見で、FRBのPowell議長は金利を1%ポイント引き下げた後、(トランプ次期大統領の)政策スタンスがどの程度制限的になるかが不透明なため、当局者は利下げを遅らせる準備ができていると述べました。

FEDは経済のバランスを取ることを試みています。
彼らは、物価と賃金の伸びが冷え込んだ今、過去2年間の積極的な利上げが経済活動を不必要に減速させるのを防ぎたいと考えていますが、最近のインフレの進行を元に戻すことはもちろん望んでおりません。

ここでFED高官の方々がコメントを発表しておりますのでいくつか記事を転載させていただこうと思います。

FRBのバーキン氏、長期金利を動かすのはインフレではなくターム・プレミアムと指摘

Thomas Barkin Photographer: Christopher Goodney/Bloomberg

最近の長期金利の上昇は、インフレ懸念とは対照的にリスクプレミアムの上昇を反映している、とリッチモンド連邦準備銀行のトーマス・バーキン総裁が語った。(バーキン総裁は今年投票権を持っていない)

「より多くの連邦債が市場に出回り、それが時として需要を圧倒し、それが利回りの上昇を生み出していることに疑問の余地はない。
インフレではなく、ターム・プレミアムだと思います。 ターム・プレミアムはリスクと関係しているが、私はそれが長期的な需給バランスに関係していると感じている。
長期債の利回りは今週、1年以上ぶりの高水準まで上昇しており、20年債利回りは水曜日に一時5%を超えた

スーザン・コリンズ ボストン連銀総裁、2025年の利下げ鈍化は不透明と指摘

Susan Collins Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

ボストン連銀のスーザン・コリンズ総裁は、米国経済の先行きをめぐる「かなりの不確実性」に直面している今、金利調整にはより緩やかなアプローチが必要だと述べた。
コリンズ総裁は、木曜日にボストンで開催されるイベントのために準備された発言の中で、経済は「良い場所」にあるとしながらも、インフレ抑制の進展は今年、これまでの予想よりも遅れる可能性が高いと指摘した。

トランプ次期政権と新議会による新たな経済政策が経済の軌道を変える可能性もあるが、それがどうなるかを正確に予想するのはまだ早すぎるとコリンズ氏は述べた。
コリンズ氏は、「FRBの政策は、変化する状況に応じて、インフレの進展が少なければ現在の水準を長く維持し、必要であれば早期に緩和するというように、必要に応じて調整することができる体制が整っている」と述べた。

水曜日にブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じたコリンズ氏は、数ヶ月前に予想していたよりも今年の利下げは少ないと述べた。 コリンズ氏の金利見通しは、12月のFRB理事会後に発表された、今年4分の1ポイントの利下げを2回行うとした当局者の予想中央値と一致しているという。

個人的にバーキン総裁が言う現在の長期債利回りの上昇はインフレよりもタームプレミアムによる影響が大きいという論調に同意をしております。
現在タームプレミアム値(先週末時点で0.7pt)は2022年の数字も上回る直近5年以内で最高の数値であり、市場がいかにトランプ次期大統領の関税政策に対して警戒をしているかを表しているものと思われます。

10年債利回りのタームプレミアム値は過去5年来で最高の数値

これは2022年の数字をも上回るものですが2022年と現在で大きく違う点は政策金利の方向性です。2022年当時はインフレがどこまで上がるのか予想が付かず、FEDも困惑を極めていた為株式市場は大きく下落しましたが現在は当時に比べFEDも市場も経験を積んできた為耐性が付いております。

こういった意味では今回の10年債金利高騰による2022年のような株式市場全体が長期で大きく下落をするシナリオは考えにくいと思われ、全体的な下落があったとしても一時的なものではないかと個人的に想像しております。

しかし今年の相場は2023年、2024年と違う点として少数の銘柄に集中的に資金が集まる相場よりも、裾野が広がり資金集中度合いは幾分マイルドになる展開を市場としても見ている為、かなり難しい相場展開になる事を予想しております。

現在の長期債利回りがここまで上昇しているメカニズムを個人的な解釈ではありますが説明させていただきました。
この市場金利というものは人為的に操作できるものではなく、市場が方向性を決めるものですので経済のバランスを取りながらインフレや雇用を安定させることの難しさを改めて知る思いです。


12月雇用統計指標

1/10(金)に発表された12月非農業部門雇用者数は予想164Kに対し結果256K(前回212K)と大きく上振れる指標でした。
同月の民間雇用者数(政府関連雇用を除く)も予想135Kに対し結果223Kとこちらも予想を大きく上振れる結果となりました。

Employment by industry, monthly changes, with confidence intervals

雇用が増加した業種内訳を見て行きますと、やはりサービス業が大半を占めており264000人の増加。そのサービス業の内訳として・・・

・Private education(民間の教育や医療サービス)が80000人増加
・Leasure and hospitality(宿泊サービス、飲食サービス、劇場、映画館、フィットネスクラブ、動物園、テーマパーク、遊園地など)が43000人の増加
・Retail Trade(小売りサービス業)が43400人の増加
・Professional and Business Servicices(専門職)が28000人の増加

注目されていた平均時給は前月比+0.3%増と予想と変わらずでした・・・が、以下に注目すると様相が違って見えます。

Employment and average hourly earnings by industry

雇用が増えた職種は主に時給の低い職種が多く、平均時給が増えていない点はこの点にあると思います。今後トランプ次期大統領の移民政策で強制送還される移民が増えて来るとこの辺の時給バランスに変化が生じると思われ、結果的にインフレを助長する方向に進んでしまう事が予想されます。

これはあくまで個人的な予想ですが現在のインフレ懸念はこういった細かい要因がいくつも重なり合って形成されている為、簡単に解決されるような問題ではありません・・・。その為株式投資家としてこの点を念頭に置き、インフレは長期化する前提でポートフォリオを組むように意識しております。

今週(1/6~1/10)の株式市場、債券市場の振り返り

今週は1/9がカーター元大統領の追悼式の為株式市場は休場、債券市場は14時閉場の時短週間でしたが主要4指数は1%を超える大幅下落に見舞われました。中でもRussell2000は週間で-3.78%、NASDAQ100も週間で-3.27%といずれも高金利を嫌ったリスクオフのターゲットとなりました。

DJI, SP500,NASDAQ100,NASDAQ総合,Russell2000 週間パフォーマンスチャート

現在の株式市場の下落と債券市場のパフォーマンスの関係や見通しについて私個人的に常に参考にさせていただいておりますWSJのジェームズ・マッキントッシュさんという方のコラム記事を転載させていただき、最後に意見を述べさせていただきたいと思います。

The Stock Market Embraced Higher Yields. Now It Fears Them.
(株式市場は利回り上昇を受け入れた。今はそれを恐れている。)
The fundamental message is that we’re close to the limits of growth
(根本的なメッセージは、我々は成長の限界に近づいているということだ)
By James Mackintosh

10年債利回りは水曜日の朝、昨年4月の高値まであと一歩のところまで迫った。これは、過去1ヶ月間の投資家によるスイッチの一部である。

投資家たちは、国債利回りの上昇はドナルド・トランプ次期大統領が約束した成長力強化の歓迎できない副作用に過ぎないという考えから、借入コストの上昇は結局は非常に重要な意味を持つのではないかと心配するようになった。 もしその懸念が正しければ、2025年は波乱含みの展開になるだろう。

話は選挙前と選挙直後の興奮から始まる。 投資家はトランプ新政権が規制緩和と減税で成長を促進し、関税で他国から譲歩を引き出すという、良いことずくめを期待したため、株価も債券利回りも急上昇した

規制緩和や減税で成長を促進し、関税で他国の譲歩を引き出すなど、投資家はトランプ新政権から良いことがたくさんあると期待していたのだ。

米国10年債利回り(現在は4.76%まで上昇しております)

現実が見えてくるのに数週間しかかからなかった。
トランプ大統領は、約束された国外追放や、交渉可能ではなく恒久的な関税によって、成長率を押し下げ、インフレ率を上昇させるなど、良いことばかりをするわけではないかもしれない。

それと同様に、経済が良いことの多くに対応できないリスクが高まっている。 経済が持続可能な成長を上回るスピードで成長した場合、その結果はインフレか金利上昇、あるいはその両方となる
債券利回りはそれを見越して上昇した。

クリスマスには、小型株とS&P500の均等配分銘柄(ピップスクイークを通常の株価指数の主役である大型ハイテク株と同じように扱う)は、ともに選挙前の水準を下回った。 一方、国債利回りは急上昇し、今週4.7%を記録した。
大きな疑問だ: 債券利回りが高いから株式が苦戦したのか、それとも単に短期間に急上昇したからなのか。
もし利回りの水準が問題なら、株式市場には問題がある。
変化のペースが問題なら、株価の下落は単なる消化不良であり、投資家はそれを待つことができる。

株式が苦しんでいるのは、債券からのファンダメンタルズ・メッセージのせいであって、変化のスピードのせいではないと思う。 しかし、これらを区別するのが難しいのは事実だ。

基本的なメッセージは、我々は成長の限界に近づいているということだ。
経済が過熱しすぎると、インフレを引き起こすだけで、連邦準備制度理事会(FRB)は金利を引き上げて経済を冷え込ませなければならない・・・が
はっきり言って、まだその段階ではない

先物トレーダーは、今年FRBが1回利下げを行う可能性が最も高いと見ている。 しかし、2回以上の利下げが行われる可能性は16%しかないと考えている。 今年は減額なしと予想するファンドマネージャーも増えている。

株にとってさらに悪いことに、供給問題もある
トランプ米財務省がイエレン財務長官の短期借り入れ重視から脱却すれば、たとえ財政赤字が膨らまなくとも、より多くの債券を発行しなければならなくなる。 企業も、パンデミック時代に満期を迎えた債務の借り換えのため、多額の借入を行っている。

成長力強化による利回りの上昇は、成長力強化は利益拡大を意味するため、通常、株式にとっては問題ない。
しかし、成長なくして利回りの上昇は痛みを意味する

11/5 大統領選後の株式指数パフォーマンス推移

J.P.モルガン・アセット・マネジメントの債券部門国際CIOであるアイアン・スティーリー氏は、債券は利回りの高さと景気後退局面での保護的な特質の両方において魅力的に見え始めていると述べた。
予想以上のインフレと新政権によるインフレ政策の可能性にもかかわらずだ。 しかし、彼はまだ債券を買い込んでいない。
利回りはまだ上がるかもしれない。 「目先、利回りは間違いなく上昇する。

利回りが上昇し続ければ、2023年10月に利回りが5%に急上昇したときのように、株価は大きく下落する可能性がある。
「チューリッヒ・インシュアランス・グループのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ガイ・ミラー氏は、「いつ利回りが上昇し始めるのでしょうか? 「10年債利回りがさらに50bp(ハーフ・パーセンテージ・ポイント)上昇するかもしれない

私のように、高いバリュエーションを心配する投資家や、注目株に群がる投資家は、今すぐ債券を買った方がいいかもしれない。
確かに、目先の利回りが上がればすぐに損失が出るだろう。

しかし、ゴールドマン・サックスのアセット・アロケーション・リサーチの責任者であるクリスチャン・ミューラー=グリスマンが指摘するように、今日購入した債券の利回りが5%に上昇した場合の価格損失でさえ、債券から得られる6ヵ月弱の収入でカバーできる。

株式にこだわる投資家は、利回りが再び低下することを祈るしかない。

この記事を読んでみてまさに現在の株式市場の思惑や期待、そして投資家が直面する現実を専門家としての局面から語られておられると感じました。
金利というものはそもそも人為的に操作する事が難しく、短期的に上下に振れる事も多い為経済全体がどの方向に向かっているのかを常に考えておかないと価格の変化に右往左往してしまいます。

2022年の私がまさにこれで ”木を見て森を見ず“や鳥の目、虫の目、魚の目の考え方を痛感させられた苦い経験があります。
言い換えればこの経験が現在の相場に対して私に警笛を鳴らしてくれており、例えファンダメンタルズが良好な銘柄でも経済の逆風にさらされる様であれば売る覚悟を与えてくれました。

ポジションを全売りする事は現在の相場に於いてもしかしたら一番安全な方策なのかもしれませんが、現在は特需系に絞って銘柄を保有している関係もあり、運よくたまたまではありますがYTDでプラスを維持できております。

ですが金利(10年債利回り)が5%を超えて来る水準になってくると、それどころではなくなってくる可能性がありますので売る時は売ると覚悟を決めて臨みたいと思います。

来週の経済指標、決算発表企業紹介

来週も重要な経済指標が発表されます。物価はインフレに直結する指標ですのでこの数字で相場が動く可能性があります。

  • 1/14(火)12月生産者物価指数(前月比)予想0.3%(前回0.4%)

  • 1/14(火)12月生産者物価指数コア(前月比)予想0.2%(前回0.2%)

  • 1/15(水)12月消費者物価指数(前月比)予想0.3%(前回0.3%)

  • 1/15(水)12月消費者物価指数(前年比)     (前回2.7%)

  • 1/15(水)12月消費者物価指数コア(前月比)予想-0.1%(前回0.3%)

  • 1/15(水)12月消費者物価指数コア(前年比)    (前回3.3%)

  • 1/15(水)1月NY連銀製造業景気指数 (前回予想6.40に対し0.20)

  • 1/16(木)新規失業保険申請件数、失業保険継続受給者数

  • 1/16(木)12月小売売上高(前月比)予想0.5%(前回0.7%)

  • 1/16(木)12月コア小売り売上高(前月比)予想0.4%(前回0.2%)

  • 1/16(木)1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(前回-10.9)

  • 1/17(金)12月鉱工業生産(前月比)予想0.2%(前回-0.1%)

  • 1/17(金)12月鉱工業生産(前年比)    (前回-0.90%)

  • 1/17(金)12月住宅着工件数 予想1.310M(前回1.289M)

  • 1/17(金)アトランタ連銀GDPNow(Q4)予想2.7%(前回2.7%)

と、ざっと並べても相場を動かす可能性がある経済指標が多く並んでおります。特に14日のPPI、15日のCPIは月末のPCE指標につながる指数ですので、予想より高い数字が出てくれば利下げ期待はさらに遠のき、株式や債券はさらに売られる展開が見えてきます。

マクロ環境が金利や景気にシビアな時は、企業のファンダメンタルズはほぼ関係なく売られる場合が多いですので、利益が出ていない小型株はできるだけ避けた方が現在のパフォーマンスは良くなる可能性は高いです。
しかし私もそうですが時間軸を長めに取り、現在の損失を受け入れる代わりに1年後の反発を狙う銘柄もありますので、そこはご自身の戦略次第ですね。

1/13~1/17の4Q(10月~12月期)決算発表予定企業

昨日のDelta航空の決算は強かったですね、旅行よりも特にビジネス部門や法人関連での需要が増え2025年も引き続き好調とのCEOコメントもあり、株価は+8.9%と大きく上昇しました。
懸念された燃料費の高騰の面は4Qの時点ではそこまで大きくなかった様ですが、この問題は25’1Q以降でしょうね。

デルタ航空はUberとの提携を発表し、より効率的にマイルを貯める事ができるようになりました。CrowdStrikeによる損失部分は4Q決算には含まれていないようで、この点は訴訟中という事もあり明確には報道がありませんでした。

1/13~1/17 4Q決算発表予定企業

さて来週15日にはFinancialセクターのJPモルガン、CityBankCorp、BlackRock、WellsFargo、Bank of New York Melonの24’4Q決算発表があり、16日にはTSMC、GoldmanSachs、MorganStanley、USbancorpと続きます。

銀行関連の決算はその期の決算シーズンの幕開けでもあり、その後に続く企業決算へのヒントになる面もありますので、どういった点に着目して大手銀行の決算を見たらよいかをピックアップしてみます。

  1. Net金利収入(NII)の動向

    1. 背景として高金利環境が継続している為、融資金利の上昇が銀行の利ざや拡大に寄与しているかどうかを見る

    2. 注目点として

      1. 高金利の恩恵をどれだけ享受したか

      2. 貸し出し需要が現在の景気状況の中でどの程度維持されたか

      3. 預金金利上昇によるコスト増加がNIIに与える影響を見る

  2. 貸倒引当金の増加を見る

    1. 高金利による景気減速懸念や商業用不動産リスクの増加により、銀行が将来の信用コストに備えて貸倒引当金を積み増す動きを見ておく

    2. 注目点として

      1. 引当金の増加額とそれが将来の景気見通しをどう反映しているか

      2. セクター別(商業不動産、消費者ローンなど)のリスク評価を見る

  3. 投資銀行部門の収益を見る

    1. 2024年後半からはIPOやM&Aが活発になり始めました。トランプ次期大統領就任後は更なる需要が見込まれ、規制の緩和も相まって金融セクターには追い風が多いとされております。

    2. 注目点として

      1. M&A アドバイザリーや株式発行関連の収益改善の見通しがあるか

      2. 債券市場での取引量増加(特にジャンク債や高利回り社債など)による収益への影響(2025年は高金利を利用した各企業の資金調達が活発化される事が予想され、社債を起債する企業が増える予想になっております)

  4. 資本規制への対応

    1. バイデン政権下でFEDが大手銀行に対する資本規制の強化を進めておりました。トランプ次期大統領はこの規制に関して緩和の方針を打ち出しておりますが、具体的にはまだ発表はありません

    2. 注目点として

      1. バーセルⅢ規制やその他の資本要件に対する準拠状況

      2. 資本配分の方針(自社株買いや配当の増加有無等)

  5. 消費者セグメントの健全性

    1. 高インフレと金利上昇が消費者の信用リスクに影響を与える可能性が高くなっています。延滞率の増加などの懸念点も多いです。

    2. 注目点として

      1. クレジットカードや住宅ローンの延滞率や不良債権比率動向

      2. 消費者ローンの需要動向

      3. 消費者の購買力や貯蓄率への影響

  6. 景気見通しに関するコメント

    1. 金融セクターは景気の先行指標となることが多く、経済全般の方向性を示す発言が注目されます。

    2. 注目点として

      1. 経済のソフトランディングへの期待や景気後退リスクに関する見解

      2. 金融機関が企業や個人向け貸し出しで感じる現場的感覚

私自身が金融系企業の決算内容を見る時に主に注目する点を列挙してみました。これら全てがCEOやCFOからコメントされるわけではなく、どちらかというと悲観的な話はほとんど出てこない事の方が多いです。
その為同様の数字(投資銀行収益とか純金利収入とか)を基に割合をChatGPTやGeminiで調べたりして比較してみたりします。

金融ショックに対する炭鉱のカナリヤというよりどちらかと言うと、IPOだったりM&A事業の需要を見る事の方が直近だと重要かもしれません。
前記しましたがトランプ政権移行後は銀行の規制緩和やM&Aの規制が緩和されると見られている為、大型テック企業が様々な企業を買収するやもしれません。この点に目を光らせておく方が投資家として有利に事を運べる可能性が高まります。

来週以降の相場見通しとまとめ

相変わらずまた長くなってしまいましたので来週の相場見通しを検証しながらまとめに入りたいと思います。

まず相場展望ですが私個人的には現在金利が高止まりをしている背景は、冒頭に記載したとおりタームプレミアム値が過去5年以来最高値に座っている事が大きな要因だと思っております。

2年債のような短期債利回りは近未来の経済政策の影響を大きく受けますが、10年債のような長期債は景気の先行きを表しているのでタームプレミアム値の上昇はまさにこの景気先行き感に市場がリスクを感じている証拠でもあります。
(タームプレミアム値は投資家が通常の債券利回りに対してリスク度合いに応じて要求する追加プレミアム値の事で、これが高いという事は景気先行きに対する不透明感が高いという図式になります)

タームプレミアム値はこの後のトランプ政権の政策見通しが明るいと市場が判断すれば下落し、不透明感が増したと判断されれば現在よりもさらに上昇します。つまりこのタームプレミアム値が高い状態で一時的に債券利回りが下落しても、また高利回り状態にもどる可能性が高いという事なのです

関税政策による世界貿易の不均衡、DOGEの不発(先日Elonは$2Tの政府支出削減は厳しいかもしれないと発言)による政府債務の膨張、国債発行による既存債券価格の下落(利回りの上昇)と、ざっと並べただけでもこれだけの懸念事項があります。これら一つ一つの懸念がタームプレミアム値の上昇につながっているわけであり、これが市場金利を高止まりさせている大きな要因であると個人的に思っております。

その為期待値が高い小型株ですらこの高金利下においては逆風になりかねない為、短期的に一旦下りる事をおすすめしたいと思います。
債券に関してもまだ金利がここで止まる保証はなく、債券投資家が買いに向かっていない背景を見ても、10年債利回りがもしかしたら5%を超えて来るシナリオを見ている様に思えます。

また現在高バリュエーション銘柄も危険な状態かもしれません。
今まで何故高バリュエーションでも株式が買われて来たかというと、growth銘柄においては利下げの恩恵からくる通常以上のプレミアム要因があり、これが期待できない現在では自力で来年の決算で現在の利益の数倍の成績を出さないと現在の株価が正当化されません。
だから売られるのです・・・(-_-;)。

昨年指数を牽引してきたMagnificent Seven銘柄の中でSP500の平均PER倍率を下回っている企業はありません。AI特需の恩恵や期待から数百億ドルの先行投資を経ても株価が買われてきた要因の一つに黄色信号がともってしまう可能性も見ておいた方が良いかもしれません。

AppleやNvidiaが今週2%~3%も売られた理由の一つはここにあると思います。その為現在の株式市場では多くの銘柄の上値が重い状態であるという事は認識しておきましょう。
その上で攻めるのであれば今まであまり買われてこなかった銘柄や敬遠されてきたセクターに注目してみるのも一つかもしれません。

もしくはコモディティ関連である素材系、金、銀、銅などは底堅い値動きをしておりますので一度チャートをご覧になってください。

Gold,Silver,Copper,USoil 価格比較チャート

長期としてとらえられておられる方は現状のマクロ環境は気にせず、継続して積み立てて行く形でよろしいかと思いますが経済の状況だけは気にする様にしていただきたいと思います。(ご自身の考えが変わる可能性もある為)

長くなってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございます。
厳しい相場環境ですが現実をしっかり見据えて冷静に行きましょう。
読者の皆さまやフォロワーさんにとって有益な情報になりますことを心よりお祈りしております。

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