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『薄透紅(うすべに)』
春の朝の空気を感じながらに歩いていた。
路の脇には水路があり菜の花が咲き
わずかだが、桜の並木のようになっている。
薄いピンクのドレスを着て
両手を広げているような桜の木があり
光を帯びて美しかった。
向こうから女子学生が自転車に乗って来る。
紅色のスカーフが風に泳ぎ
かごに赤いバックを入れている。
部活に行く少女はこれから
少しずつ大人の色香を持つ女性となる。
けばけばしい不透明さではなく
透明感を持つ薄い紅の風を運ぶ少女と
同様の透過する光に舞う桜が、
なぜか私には特別な出会いのように見え
私の歩行と時間を止めたのでした。
セヌリエコットン紙 交響水彩 400×470
個人所蔵
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