コインランドリー
日本の住まいでは洗濯機があるので、コインランドリーを使うことがない。日本のコインランドリーの状況自体よくわからないのだが、大きな違いは、アメリカは一般的に日本のように服を干すことがないので、サンフランシスコのアパート住まいの人はコインランドリーで洗濯機も乾燥機も使う。コンドミニアムや一軒家の場合は家の中にランドリールームがあって、それを使う場合もある。アメリカでも田舎では家の外に洗濯物を干したりする場合があるが、やはり都会では盗難を恐れて外には干さない。干しているのは中国系住民位だろうか。滑車のような器具を使って器用にアパートの壁から壁にひもをかけて干している。
日本のコインランドリーは人が常駐していない場合もあり、ただ洗濯機を使いに行く、という意味で、コインランドリーという言葉を使うが、アメリカ英語ではlaundromat(ランドローマット)と言って、「洗濯屋」のような意味があり、コインで動く洗濯機と乾燥機があり、場所によっては、プレスと言うアイロンがけやクリーニングも追加サービスでやってくれる。日本のコインランドリーとクリーニング店を兼ねた感じ。オーナーさんも客の服や私物の盗難の見張り役とコインの両替屋も兼ねて常駐しているところもある。アメリカの洗濯、乾燥機は、クォーターコインで動くが、店によって値段が違い、入れるコインの数が違ってくる。両替機もあるが、壊れていたり、コイン切れだったりすることも多い。店に誰もいないところだと、誰かが他のお客が洗っている服を持って行ってしまう場合があるので、店の人がいてくれた方が安心する。
安いのはラテン系のランドローマット。お客さんもラテン系の人が多く、オーナーさんですら英語をあまり話せないことがあるので、ちょっと不安になる。でも慣れて来ると親切に応対してくれる。こちらもアジア人なので、「マイノリティー同士」、みたいな感覚になるのかもしれない。大きいところはケーブルテレビでラテン系のチャンネルがかかっていて、スペイン語のニュースやドラマが流れている。みんな洗濯、乾燥が終わるまで1時間以上はそこにいるので、テレビを見たり、ご近所さんと話をしたりして時間を過ごす。残念ながら私は、少ししかスペイン語がわからないので、そこのテレビは時間つぶしにはならなかった。本や雑誌や学校の宿題を持参して、時間をつぶしていたが、周りの人達を観察するのも面白かった。入り口の壁には「車を売ります」とか「英語教えます」といった広告が貼ってある。ランドリーは情報交換、コミュニケーションの場所でもあるのだ。例えば、引越ししたてで近所に知り合いも誰もいない時、ランドリーにいる人に声をかけて顔見知りを増やす、というのもありだ。ランドリーで会った人が、道で歩いていると(ああ、ご近所さんなんだな)と確認することが出来る。
丁寧に応対してくれるのは中国系のランドローマット。中国人はさすが商売上手な人が多いのか、アイロンがけやクリーニングサービスをしてくれるところは多い。お客さんが並でいる間に、ちょっとの間アパートに戻っていたりとかして、店から出ている間に、洗濯や乾燥が終わっている時があったが、気を利かせて、乾燥機から服を出して、畳んでおいてくれたことがあった。その辺はアジア人の細やかさなのかな、と思う。次に待っている人がいる時は、礼儀として、待っている人が服を出してカゴに入れておいてくれる事もある。両替機もあるが、中国系、ベトナム系のオーナーさんのランドローマットでは、昭和の日本の電車の車掌さんのような黒い大きながま口を首からぶら下げて、両替を受け付けてくれて頼り甲斐がある。(笑)
去年サンフランシスコに行った時、ホテルやシェアハウスで、新型の機械を使っているところがあって、以前住んでいた時は、どこに行っても古い洗濯機、乾燥機だったので驚いた。街じゅうのビルの建設ラッシュだけではなく、インテリアや電気機器迄全てが新しく、おしゃれになっている感じだ。以前の乾燥機だと、長時間乾かしてもちゃんと乾かなくて、湿った感じがあったが、新型乾燥機は、ちゃんとぱりっと乾いていた。サンフランシスコ市内では不動産が高いのでシェアルーム、シェアハウスが当たり前になっている。夢はアメリカに(?)マイホームを持って、コインランドリーではなく、自宅に新しい洗濯機と乾燥機を持つ事だ。
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