こわがりやさんのための処方箋
シリーズものとして出ていると、ついついまとめて読んじゃおうかなと思ってしまう。
でも、今回はそれをしませんでした。立て続けに読むと余韻がそこなわれてしまい、この気持ち、感想はどちらのものだったのか区別がつかなくなるからです。
要はたっぷり一冊ずつ味わいたかったのです。
今回手に取ったのは「かいじゅうたちはこうやってピンチをのりきった」。
今回も大人にばっちりささる内容で、Amazonレビューも大人の皆様の感想で溢れていました。
シリーズタイトルに、「かいじゅうとドクターと取り組む1」とあります。
前回の絵本の感想記事で書いたものは「2」でした。その時のテーマは、怒り。
怒りの方がデリケートかつなおざりにされがちと思われますが、不安やこわいきもちを「1」にした意味。ここが源泉、根本、基盤、だからかと。
怒りを含め、溢れ出るエネルギーの源となるのは、この、不安な気持ち以外の何者でも無いと思っています。
例えば、赤ちゃんはお母さんのお腹から出てくる時に泣きながら生まれます。あれは呼吸器系統が切り替わった合図だというものだけだろうか、ほんとにそれだけ??とモヤっとしいました。
でも、このタイトルを見た時に「未知なる世界はこわいだろうに」という気持ちを思い出したのです。
初めての世界への、はじめの一歩。こわくないわけがない。
そのスタートラインに立った時の不安を全身で表現できる赤ちゃんて、なんて偉大なんだろうか!と。
ひるがえって、自分って偉いんじゃん!臆することなく不安がっててスゴイじゃん!と、、褒めておこうかと。
もちろん世界中の元々は赤ちゃんだった皆様もおんなじです。
力の限り泣きながら、みんな偉くて、みんないい。
ピンチの乗り切り方は人それぞれ
これまでどうやってピンチを乗り切ってきたのか。かいじゅうのこどもたちははてさてどうしてた?というお話から始まります。
「かいじゅう」ならではの展開にページをめくる手がはやります。
今この本を読んでいる人たち。私が大人なので、大人の目線で進めますが、今までの人生で、何がしかの形でそれぞれの「ピンチ」を脱してきたのだと思います。
ちいさな子どもかいじゅうがピンチの局面をかいじゅうっぽさ全開〜!で乗り越えるさまを見ていると、「人間の私はピンチへの対処、どうしてたっけな?」と、ふと過去の出来事がよぎります。
不安をかわいらしく見える化、分析!
ピンチにぶち当たった時、「うひゃーどうしよう?!」と不安になります。そのときのゾワっとした身震い、気持ち、嫌な感覚を、ここでは
ゾワゾワちゃんという、なんとも可愛らしい名前が与えられています。
いやこれ、めちゃ可愛いので見てみてください。
「怒り」が生まれる時のおなじく、この本でも「ゾワゾワちゃん」が生まれる「こわい」瞬間はどんなシチュエーションなのかを教えてくれています。
私が印象に残ったのは、「ゾワゾワちゃんなんか、いらない!」というかいじゅうの意見にたいして、
「いっとくけどさ、こわがるきもちはいいものなんだよ」とサラッと書かれたこのセリフ。by きょうふのかいじゅうゾワゾワキング。
確かに「こわがるきもち」がないと、私たちはコンフォートゾーンを抜け出せません。
心地用ぬるま湯のような習慣を見直すことで、未来は良くなる。でもわかっちゃいるけどやめられないのが楽ちんな生活なんですよね。。
例えば、歯をていねいにケアせず虫歯になるとどんなに怖いことになるか?健康な食事をしないとどうなってしまうのか?痛くて辛いことになると思っても、なかなかちゃんとできなくて、楽ちんでテキトウな方に逃げてしまうんだな…なんて思ったり。
で、テキトウにしているとどうなるかを直視してみます。(コンフォートゾーンを抜け出す決意)
次に、歯磨きの本を読んだり、楽しむための食事ではなく、健康を保つことに比重を置いたクッキングの本を調べたりします。(頭で納得する時間)
実際に、歯磨きと食事を少しずつ変えていき、習慣にしてみる。できれば楽しくなる工夫もしてみる(行動と習慣化)
実はこの二つ、歯のケアと食事については、実際にやってみています。
たしかにゾワゾワちゃんと少しは仲良くなったんじゃないかなぁなんて思います。
もんのすごーく生活感あふれる例をだしてしまいましたが、
例えばこういう場合にも不安の見える化は役に立ちます。
初めての業界で仕事をする時、夢に向かってチャレンジする時。その世界での第一人者とか、大活躍している人を目にすると気後れしてしまうことがあります。
ただ、どんなに大活躍している人でも、まばゆい光を放つような存在感のある人でも、自信満々いつでもどこでも100パーセント!な人はいないんじゃないかと思っています。
緊張いっぱいで気が気じゃない時は、何をするにしても小脇に不安や怖い気持ちをかかえて、それでも前を見て歩いていく。だから、その姿に感動して勇気をもらえるんじゃないかななんて思います。
不安は、「こわい!」「逃げたい!」という場面で生まれるけれど、ちょっと考えて、「ゾワゾワちゃん、そこにいる?」と声をかけてみようと思いました。
キラキラ輝くゾワゾワちゃん。名前はこんなんですが、キラキラと絵本を通して「実は大切なもの、必要なもの」ということを教えてもらいました。
絵本を読み終えて気づきました。全編をとおしてゾワゾワちゃんのキラキラが引き立つような彩色計画もとてもいいのです。
不安というとネガティブに捉えがちだけれど、まるで暗闇に灯るあかりのようです。
そんな思いで背表紙を閉じました。
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