登っていく夢
父の故郷、宮崎・青島に帰っていた。
僕は、駅に着いたものの、実家がどこにあるか、全然わからなかった。記憶を頼りにあるいても見つからない。近くのおばちゃんに聞いて、まるで逆を歩いてることを知った。
しばらくすると、父の実家があった。父はソテツの木に水をやりながら、おお、どうした?と言った。若かりし頃の父だった。僕と同じ歳くらいだ。
この先に、大きな山があるから行ってみろと言われて、また歩き出す。すると、北海道のモエレ公園にあったピラミッドのような山が見えてきた。近づくと、モエレ公園の何倍もの高さのように感じる。
ずっと天まで続いてるようだ。僕は心細かった。なぜだろう。不安でいっぱいだ。門番がいる。僕は頂上に行かねばならないと伝えた。門番は、こちらを睨んで、道を通した。
階段を登っていく。1時間くらい登ったら、ある人に呼び止められた。震災のボランティアで大変お世話になって、ここ数年はご時世と子育てでだいぶ疎遠になってしまった女性だ。お姉さんと呼んでいる。
お姉さんは、どうして最近連絡なかったんだと、空を見上げてながらいった。僕は謝罪した。そしてお姉さんの師匠の他界にお悔やみを伝えた。僕もお姉さんも泣いた。
僕は先に行きますと伝えて、また登っていった。お姉さんも後からついてきた。何時間登ったことだろう。頂上が見えてきた。そこは山小屋のような建物があった。高い山の頂上のはずだが、周りは森に囲まれていた。
こんにちは!と声をかけた。中は静かである。お姉さんは、数段下がって様子を見ていた。僕しか入れないようだ。
しばらくすると、白い髪と髭がモジャモジャの丸メガネをかけた偉丈夫のお爺さんが出てきた。
「なんだね」
「はい、ここを訪れるようにと言われました」
きょとんとしたおじいさんは、首を傾げ、「私は用事があるから中で待ってなさい」と伝えて、階段を降りていった。
その後で、若い女の子が小屋から出てきた。彼女はやはり不思議そうに首をかしげ、慌てておじいさんについて階段を降りていった。
僕は小屋に入った。そこはまるで、祖父の神社の境内のようだった。
そこで目が覚めた。
実際の話、宮崎の青島に、先祖代々の神社があった。小さい頃は父と二人で山を登って、境内にいる祖父を訪ねていた。景色や登場人物は変われど、そのような思い出を追体験しているようだ。
頂上の山小屋のいた白い髭もじゃの丸メガネのお爺さんは、祖父とは似ても似つかないし、後から出てきた女の子も心当たりないなぁ・・と考えていたら、その昔、祖父の祖父、曾曾祖父が神主だった頃、親戚の女の子(僕の叔母さん)を、その霊的な感覚をみそめて巫女のお手伝いをさせていたのだという。祈祷の病気平癒のお守りや薬を作っていたとかで。
そんな話も関係しているのかなと不思議には思ったところだが、やはり親戚の叔母さんの面影とも違う。どちらかというと、僕の娘に似ていた。目の当たりとか。
夢はいろんな情報や記憶が複合されて物語を作るとフロイトは伝え、また別の学者はもっと霊的な兆しだと伝えた。僕にとって、夢とはなんだろう。不思議な夢だった。
おしまい。