最後の散歩道
「最後の散歩道」
一年前、最後の夜。モネはあれほど苦しんでいたのに、いつもの散歩道を、確かめるようにゆっくり歩いていた。この背中を、ようやっと展覧会で描けた。
この絵から表情はわからない。しかし展覧会最終日の朝、ふとモネの表情がわかった気がした。
もう一度絵の前に立つ。相変わらずモネは光の先に歩いている。しかし僕自身は、後ろの闇からではなく、行く先の光から、モネの表情を見ていたのだ。
モネは変わらない。ただ、それを見る僕の心が変わっただけなのだ。
神様から与えられた命を全うしたモネ。その顔が、今はよく見える。
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