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「ホジュン 宮廷医官への道」

韓国時代劇「ホジュン 宮廷医官への道」

BSで放送してる「ホジュン」を見て、次の回が待ちきれなくなり、アマプラで全話64話みてしまった。ところどころカットされていて少し残念だったが、やはり圧巻のドラマだ。人生ベスト1のドラマに輝くと言っても過言ではない。

このドラマにハマったのは、20歳ごろ、学生時代の時。薬剤師だった母親と友達に勧められて、なんだか古臭いドラマだなぁ、おしんみたいだなと思っていた。
しかしどんどんハマっていき、いつの間には最後まで見入っていて、深く深く感動したものだ。その思いは25年経っても忘れない。
しかし、20歳の僕と46歳の僕では、その感動の質が全然違った。

16世紀の朝鮮。妾の子として生まれたホジュンは、最も低い身分として幼少期を送り、グレにぐれてしまうが、鍼の名医ユ・ウイテに出会い、その神技と、患者を救う姿勢に感激して、医員を目指していく・・。
BSで1話を観て、なんだか胸が熱くなってしまった。感想はいろいろとありすぎる。(BSでは68話)。

「心医」を目指していろんな困難に向かっていくホジュン。彼には「目の前の苦しむ患者を救う」という、最もシンプルな「道」をただひたすら歩んでいく。心に決めた誓い。
彼はかつて悪人として極刑の寸前まで追い込まれ、時代を呪い、運命を呪って絶望した。そこで出会ったのが、母の船酔いを見抜き、適切に対応したユ・ウイテ医だった。彼はそこに、救いの光を見たのだろう。もはや、彼の生きる望みは、そこしかなかったとも言える。人の役に立ちたい・・。しかし、それはあまりに厳しい道のりだった。

このドラマは、心理学や神話、古今東西の物語に通じるヒーローズジャーニー(英雄の旅)を踏んでいる。

1、Calling「天命」  
主人公に天命が下り、自分自身のミッションを自覚する

2、Commitment「旅の始まり」旅に出る際に葛藤が生じるが決断を下して旅立つ

3、Threshold「境界線」 
最初の試練を乗り越える

4、Guardians「メンター」 
サポーターや師匠に出会う

5、Demon「悪魔」 
最大の敵、障壁が現れる

6、Transformation「変容」 
悪魔、または自分の中の悪を打ち払い、主人公は英雄に変容する

7、Complete the task「課題完了」 
課せられたミッションを終え、これまでの体験や意味を整理する

8、Return home「故郷へ帰る」 
旅を終えて故郷へ帰る
ーーーー
多かれ少なかられ、わたしたちもこの物語を辿っているところがある。それは何かの啓示なのかもしれない。

ホジュンは「医学で人を救う」という志=ミッションを持ち、持ち前の才能が開花され、たくさんの師や仲間に出会い、挫折しながらも、自分の志を強靭にし、貫いていく。その王道の生き方に、最後は人間のエゴやしがらみ、怒り、憎悪や悲しみが浄化されていく。
前半の「科挙」(国家試験)までのストーリーがメインのように思えるが、本当の人生の本番は、その後のストーリーなのだろう。「目の前の患者を救う」だけではどうにもならない、王宮社会の混乱に巻き込まれていく。この21世紀であっても、「人を救うこと以上に大切とされていること」が、世の中で最も価値を持っている。それは「自分が一番」ということだ。
そして、それは長い歴史や、集合的意識や、戦争までも含まれている。ここまで来れば、「まずは私の幸せ、半径2mから」とも言っていられない。それを目指すなら、ユウイテや僧侶のように、権力や国家から離れた世界で生きるしかない。

ホジュンは、その渦中にいながらも、「正しさ」を見失わない。医師の心、人間としての尊厳をもっとも大切にする道。そこから逸れそうになったら、師匠への誓いを思い出す。そしてそれを理解する伴侶がいて、仲間がいる。
そして、心医の道におけるもう1人の生涯のパートナー、イェジンの存在も。
このドラマに出てくる登場人物は全て当たりどころだ。月並みの表現だが、「本当に400年前に存在してたんだろうなぁ」というリアリティ。放映当時、韓国での視聴率64%は伊達じゃない。

46歳にもなると、さらに人生の機微というものが見えてきて、染み渡るように物語が僕の心を通り抜けていく。その先に、大切な琴線に触れる。
「道」とは何か。
「救う」とは何か。
「赦す」とは。 
「貫く」とは。
「手放す」とは。
「孤高」とは。  
「愛する」とは。

あまりにも伝説的なラスト。
ホジュンは、鍼を持ちながら息途絶える。

最後は眠るように

僕も、敬意を評して、真似てみた。
携帯の加工ツールでお絵描きしつつ。

いつかこんなふうに

絵筆を持って、孤独に旅立ちたいものだ。

ラストのラスト。
イェジンと少女のシーンが、黄泉の国のようで美しくて泣いてしまう。

ホジュンはイェジンを愛してたのか


「さぁ、私がお墓に入って、水の流れになったら聞いてみようかしら」。

ホジュンは愛していた。間違いなく。ダヒの愛とは違う次元の、確かな愛を。

また続きます。

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画家・ペーの日記
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