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秩父三十四ヶ所観音霊場 三番・岩本山 常泉寺 “居場所”

“車でハイキング”をした私は泥だらけになった女将さんの車を近くのガソリンスタンドで洗車をした後巡礼を再会した。

四萬部寺と真福寺前の入り口に戻った私は大通りに戻って来た。秩父市という都市はとても親切で道路標識にそれぞれの札所の行き方を表示してあるから目的地への行き方はかなり楽だった。女将さんの車のナビは結構文字だらけで秩父の札所全部が登録してあったのも運転には役に立った。大通りを進み、途中の案内の標識を右折し、直進すると駐車場があったので入ったのだが私はズルをした。駐車場からさらに道があり山門手前に集会所らしき建物があるのだが、そこに車を停めたのだ。それをお寺の住職に見られていた!

常泉寺山門前。本当はいけないのですが、手前右に集会所らしき建物がある。


住職様が中に入ったのを見計らって車を出た。本堂は山門から入って左側にあり読経をする。私の声が静寂の中響くのだが気にせず読経する。本堂に一礼をし、階段を下り寺務所に。すると“はいはーい”と声がする。先程の住職様だ。車の事言われないかな…と思いつつ、彼は口を開いた。

『どちらから?』

と、彼は墨を磨りながら私に尋ねる。私には家がないし、住み込みで働いている為現住所は旅館だ。ただ私の実家は長野県で生まれたので…長野県です!善光寺近く、と言ったら…

『長野から…?それは随分遠くから…善光寺の近く?』

と彼は言った。彼も光明寺の住職と同じく、気難しそうな感じだが、話しかけると雰囲気が良さそうで話が弾んだのを覚えている。善光寺の話が出たので私は質問をしてみた。
秩父のお遍路をネットで調べていた際にあるキーワードがあった。

“巡礼を結願(全ての寺を回りきり願いをしたこと)したら善光寺に行くべき?”

と。そういえば女将さんも言ってたな…。これは公式見解とかない。

『善光寺?行く必要はないですよ。そもそも行く目的もないですし。』

との事だった。彼の言う通り、この時点で善光寺に行く理由もないし、私にはわからなかった。でもネットの記事では善光寺に行くべきとある。それは多分巡礼をしていく事で理由がわかるはずだ。

常泉寺の本堂。山門を入り、左側にある。


『お気をつけて』

と住職は最後に見送ってくれたのだが清々しい気分だったのを覚えている。人を見た目で判断してはいけないな、と私は思った。

三番・常泉寺の納経印。達筆で綺麗!

《札所・三番 常泉寺情報》
本尊:聖観世音菩薩
宗派:曹洞宗
御詠歌:補陀洛は岩本寺と拝むべし
峰の松風 ひびく滝津瀬

住所:埼玉県秩父市山田1392
電話:0494-23-2050


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