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ノアスエリシュア第二部 第三話“希望”

廃墟と化した大央市

風鏡湖での激闘から数日。希と明日香は焔と灼から託された言葉を胸に、大央市へと向かっていた。焔が最後に告げたのは、**「大央市役所の地下に最後の封印がある。だが、そこにはシャドウレギオン本人が待ち構えている」**という重要な情報だった。

大央市に到着した二人を待ち受けていたのは、荒廃し、静寂が支配する街並みだった。黒い霧が空を覆い、人々の気配は完全に途絶えている。

「これが大央市…?こんなにひどく…」希が声を落とす。

「シャドウレギオンの仕業だね。」明日香が険しい顔で答える。「一刻も早く止めないと、さらに犠牲が増える。」

二人は重い足取りながらも、大央市の中心にそびえる役所へと向かった。その地下深くには、四つ目の封印が存在するはずだった。

市長との対面

大央市役所の広間にたどり着いた二人。そこには、大央市の市長、大門剛志の姿があった。彼は堂々たる佇まいで二人を迎える。

「光咲希君、結城明日香君…よく来てくれた。」大門は落ち着いた声で語りかけた。

「市長!無事で何よりです!」希が駆け寄る。

「封印が破壊されたと聞いて、急いで駆けつけました。」明日香も声を張り上げる。

しかし、どこか違和感があった。大門の声や仕草が妙に機械的で、冷たさを感じさせるのだ。

「玲奈学長が言っていたこと…」希が小さく呟く。

その瞬間、大門の表情が歪み、口元に不気味な笑みを浮かべた。

学長の登場と正体

「それ以上近づいてはだめよ!」鋭い声が広間に響く。天城玲奈が現れ、二人を制止した。

「学長!どうしてここに?」希が驚く。

玲奈は険しい表情で大門を指差した。「その男は本物の大門剛志じゃないわ。正体は…シャドウレギオン本人よ!」

その言葉に、明日香が息を呑む。「本人…だと?」

「その通りだ。」玲奈は冷静に続ける。「私は以前から大門市長の動向を調べていた。異常な行動、そしてこの街の異変…全ての謎が繋がった。そして、彼がシャドウレギオン本人だと確信したの。」

「気づくのが遅かったな、天城玲奈。」不気味な声と共に、大門の身体が黒い霧に包まれ、巨大な怪物の姿へと変貌した。無数の目が体表に浮かび、不気味なエネルギーを放つ。

「私がシャドウレギオンだ。大門剛志は地下深くに囚われている。だが、お前たちがここへ来た時点で、邪神復活の計画は完成した!」

シャドウレギオンとの戦闘

シャドウレギオンは黒い霧から無数の分身を生み出し、広間全体を覆った。分身たちは霧のように形を変えながら、次々と攻撃を仕掛けてくる。

「これじゃ、本体がどれかわからない!」希が叫ぶ。

「落ち着いて、希!必ず本物がいるはず!」明日香が冷静に指示する。

その時、希の胸に宿る焔と灼の力が反応し、強い光が放たれた。それは「風嵐地獄」の力だった。

「行くよ、明日香!」希が叫ぶ。

「準備できてる!」明日香が頷き、二人は変身の構えを取る。

「コア…クロス!」光に包まれた二人は、ノアスエリシュアへと姿を変えた。

「風嵐地獄!」二人の力が融合し、巨大な竜巻と雷がシャドウレギオンを包み込む。分身たちは霧散し、本体に渦が直撃する。

「これで終わりだ!」二人の叫びと共に、竜巻が炸裂し、シャドウレギオンの体を完全に浄化した。

本物の市長と一族の技

戦いを終えた二人は、玲奈と共に役所の地下へ向かった。暗闇の奥、頑丈な鉄格子の牢に囚われていたのは、本物の大門剛志だった。

「助けに来てくれたのか…」大門は弱々しい声で微笑む。「ありがとう。君たちが来てくれたおかげだ。」

玲奈の魔法で牢が解放され、大門は解放された。その後、二人に向けて静かに語り始めた。

「君たちがここまで来てくれたことに感謝する。しかし、邪神ネクロディアスの復活は、もう間近だ。」

「私たちが止めてみせます!」希が力強く言う。

「そのためには、君たちが一族最大の技であるシャインスパークを完成させる必要がある。」大門は険しい表情で続けた。

「シャインスパーク…?」明日香が疑問を口にする。

「そうだ。シャインスパークは、ノア一族が持つ全ての力を結集させた究極の技だ。それは、太古の昔、邪神ネクロディアスを封印するために用いられた。一族の希望そのものとも言える技だ。」

「でも、どうやってその技を覚えるんですか?」希が問いかける。

「それは、君たち自身が探し、完成させなければならない。」大門は厳しい表情で言った。「シャインスパークは誰かに教えられるものではない。君たちの絆と希望の力が完全に一つとなった時、初めてその技が形になる。」

決意

「私たちの絆が試されるってことですね。」明日香が静かに頷く。

「その通りだ。」大門は優しい目で二人を見つめた。「邪神は絶望そのものだ。その絶望に打ち勝つには、君たち自身の希望を具現化するしかない。ノア一族の歴史を背負い、君たちはその力を生み出す責務を負っている。」

希は目を閉じ、深呼吸した。そして、力強い声で言った。「私たちならやれる。絶対にシャインスパークを完成させてみせます!」

「そうね。私たちがこの技を完成させて、邪神を倒す!」明日香も力強く頷いた。

大門はその言葉を聞いて微笑み、静かに言った。「君たちに全てを託せて良かった。本当にありがとう…」

次回予告

「ノア一族の究極の技、シャインスパークを完成させるため、二人は新たな試練の地へ向かう!」
最強の技を手にするための絆と鍛錬、そして邪神ネクロディアスとの決戦が迫る!希望を掴み取る彼女たちの運命とは!?

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