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ノアスエリシュア 第四話“共鳴”
夢からの導き…
月光が広がる幻想的な空間の中、結城 明日香は不思議な夢を見ていた。目の前に立つのは、黒髪に艶やかな着物を纏った女性。彼女は静かに微笑みながら、堂々と明日香に話しかけた。
「妾(わらわ)は月姫。この駿河台の地を守りし者じゃ。」
明日香は戸惑いながら問いかける。
「月姫…さん?どうして私に?」
月姫の瞳が優しくも鋭く輝き、明日香を見つめる。
「そなたに頼みがある。光咲 希と共に、妾の霊廟に来い。この地に眠る力を受け継ぐがよい。」
その言葉を残して月姫の姿は消え、明日香は目を覚ました。
駿河台市への旅路。
翌朝、明日香は夢で見た内容を希に打ち明けた。
「月姫っていう人に呼ばれた気がするの。駿河台にある霊廟に来いって…」
希は驚きつつも、明日香を優しく見つめた。
「夢だとしても、明日香が何かを感じたなら意味があると思う。行ってみよう。」
二人は駿河台市の山中にある霊廟を目指して歩き始めた。険しい山道を進む中、明日香は希の背中を見つめながら、その凛とした姿に強さを感じていた。
月姫の霊廟。
古い石造りの霊廟にたどり着いた二人を迎えたのは、月姫の声だった。
「よく来たな、光咲 希、結城 明日香。」
柔らかな光と共に現れたのは、夢の中と同じ女性――月姫。彼女の姿は堂々としており、どこか威厳が漂っていた。
「妾は駿河台の城主、月姫。この地を守りし者じゃ。そなたたちをここに導いたのは、妾の果たせなかった使命を託すため。」
希が前に進み、真剣な表情で尋ねる。
「果たせなかった使命って、どういうことですか?」
月姫は静かに語り始めた。
「かつて妾と旭丘の麻姫は、この地を守るためにノアスエリシュアの力を引き出そうとした。しかし、妾たちは心を一つにすることができず、その力を完全に引き出せなかった。」
明日香が息を呑みながら口を開く。
「私たちには、それができるんですか?」
月姫は頷き、言葉を続けた。
「そなたたちの心が真に共鳴すれば、合体変身という究極の力を目覚めさせることができる。その力こそが、絶望に抗う鍵となる。」
影武者の襲撃。
その時、霊廟を揺るがす衝撃が走った。暗い霧が立ち込め、冷たい笑い声が響く。
「希望だなんて、滑稽ね。」
現れたのはシャドウレギオンの幹部「ヴァニティ」に酷似した影。彼女は冷酷な笑みを浮かべ、二人を見下ろしている。
「あなたたちが何をしようと、絶望の支配からは逃れられない。」
希は明日香を守るように立ちふさがり、エリシュア・コアを握りしめた。
「ノアスエリシュア!」
眩い光が霊廟を包み、オレンジとシルバーに輝くノアスエリシュアの姿が現れた。
双星の覚醒。
ヴァニティの影武者は巧妙な攻撃で希を追い詰めていく。その冷酷な声が希の心を揺さぶる。
「あなたの力なんて未熟。希望なんて幻想よ。」
希は一瞬迷いそうになるが、明日香の叫びが響いた。
「希、あなたならできる!私は信じてる!」
その言葉が希の中に灯をともす。エリシュア・コアが光を放ち、月姫の声が再び響く。
「よいぞ。その共鳴が、双星の力を目覚めさせるのじゃ。」
希の手元に光が収束し、巨大な薙刀が具現化する。
「これが…双星!」
薙刀を振るい、放たれた光の衝撃波がヴァニティの影武者を包み込む。影武者は闇に飲み込まれ、静けさが戻った。
次への旅路。
戦いが終わると、月姫は満足げに微笑みながら語りかけた。
「よくやった、光咲 希。しかし、この力はまだ完全ではない。双星と対をなす閃光を会得せよ。そして双星閃光を完成させるのじゃ。」
さらに、月姫は明日香に向き直り、意味深な言葉を告げる。
「結城 明日香よ、そなたの覚醒がすべてを繋ぐ鍵となる。その時は近いぞ。」
明日香は驚きながらも、その言葉を胸に刻み込んだ。
霊廟を後にし、二人は次なる目的地――旭丘市へ向かう。険しい道のりを歩きながら、明日香が希に声をかけた。
「希、私も一緒に頑張る。絶対、負けないよ。」
希は微笑みながら答える。
「ありがとう、明日香。私たちなら、絶対にできる。」
こうして、二人は新たな旅路を歩き出した――。