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暁の影(シャドウ)最終話序章・Ⅲ“覚醒する光、最後の戦い”

騒然とする研究所の外

駿河台の研究所は異様な空気に包まれていた。
外からは警報が鳴り響き、上空ではヘリが旋回している。
警察と特殊部隊がすでに周囲を封鎖し、あらゆる脱出口を塞いでいた。

研究所の奥深く、装置のあるホールに立つ丹部栄角は、異変に気づき焦りを滲ませる。

「な、なんだ…!?外が…?」

ざわつく空気の中、静かに足音が響く。
薄暗いホールの奥から、赤いスカーフを翻しながら現れたのは――セレナ。

「貴方はやり過ぎた…そして私欲のために多くの人間を犠牲にした…貴方は裁かれるべき存在よ。」

丹部の顔が険しく歪む。

「くっ、大臣まで登り詰めた儂が?笑わせるな!儂は…まだ…」

その時、もう一つの影が駆け込んできた。

「それがもう…終わってるのよね、丹部栄角さん!」

凛だった。彼女はゆっくりと歩み寄りながら、一枚の書類を丹部の前に突きつける。

「丹部大臣、これなーんだ?」

そこには、総理大臣の直筆のサインが記された辞令があった。

丹部の顔が一瞬で青ざめる。

「そ、そんな…儂はもう…?」

「そう、貴方はこの時点で大臣でも議員でもないわけ。観念しなさい!」

凛の言葉が突き刺さる。
セレナと凛はゆっくりと丹部へと歩み寄る。

2. 突然の襲撃

だが、その瞬間――!

「ククク…そう簡単に終わると思ったか?」

背後から、黒い影が素早く飛び出してきた。
偽の大門龍星――その正体は、丹部の指示によって作られたアンドロイドだった。

「ちっ…!」

凛とセレナは一瞬怯む。
その隙を突き、研究所のガードシステムが起動。無数の防衛機構が二人に向けられ、警告音が鳴り響く。

「くっ…!」

セレナがすんでのところで回避し、凛は柱の陰に身を隠す。

だが、その時――!

「偽物風情が何をしてるわけかなぁ?」

場内に響く、軽妙な声。

「本物は僕。こんな甘いプロテクト、余裕で変えられるんだよ。」

ホールの天井から降り立ったのは――本物の大門龍星だった。

偽の龍星が驚愕した瞬間、本物の龍星がキーボードを手に取り、素早くプログラムを入力する。

「はい、アクセス完了。」

瞬時にガードシステムが停止。警告音が消え、ホールが静寂に包まれる。

「……ちぃっ!!」

偽の龍星が歯ぎしりするが、龍星はすでに勝ち誇った表情で手を組んでいた。

「さて、これでお前はただのプログラムってわけだ。」

3. 最後の決断

追い詰められた丹部栄角は、震える手で額の汗を拭う。

「くそ……くそぉぉっ!!」

すべての計画が崩れ去り、大臣としての地位も失い、秘宝も奪われる――。
だが、丹部はまだ諦めていなかった。

「ならば……せめて儂だけでも――!」

そう叫びながら、丹部は装置へと飛び込んだ!

セレナと凛の目が見開かれる。

「しまった!」

最後の秘宝が装置にセットされた瞬間、眩い光が研究所内に満ちた――!

次回:「運命の決戦、未来への選択」へ続く――。

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