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あの夏は、夏かったな。
高校生っていうのは、あれはなんなんだったのだろうか。
戻りたいとか、ずっとあの場所に居たいなんてことは思わないんだけど、校門をくぐり抜けて教室へ向かう夢は、今でもよく見ている。
別に面白くない授業。特に何も起こらない毎日。朝学校へ行って、授業受けて、弁当食って、部活をして、こんなとこじゃ言えないようなくだらない話をいっぱいして、帰る。
今から思えば、何もない場所なんだ。でも、確かなものが潜んでいた、特別な場所。
夏にはよく、学校の自販機にタンサンを買いに行った。2年の頃、ある大会に出ることになってほとんど毎日練習をしに学校へ集まった。沢山歌った。歌っていただけだ。
特別な感情はべつになかった。ただひたすら目の前の課題と向き合っていた。何回もビデオを見直した。暑かった。軽音楽部は肩身が狭かった。歌は上手く歌えないことが多かった。ただ、それだけだ。
たったそれだけの、夏。でも今となってはあの夏なのだ。他の何にも耐え難い、たった一度の夏だったんだ。
そしてこれは、この現象は、僕たちにとって希望になるんじゃないだろうか。
特別な日なんてなくていい。ただ必死だったり、もがいたり、虚無に揺られていたり、そんな目まぐるしい毎日でいいのだ。
なぜなら、今日という日もいつかはあの夏になるのだから。
インスタグラムに載せられない毎日が、僕たちの宝物なのかもしれない。
そうやって今日も、かき氷の角度をきにしている。
これで、いいのだ。
さくら