見出し画像

“読も” 2022年6月度 第1回|ART HOUSE店主 西本昇平

2020年9月からスタートしましたART HOUSE Online Fan Club【AHO】( https://aho.arthouse.ne.jp/ )内で、沢山の出演アーティストや関係者さま、スタッフたちのご協力を得て一日も欠かさず続けてこれました365日匿名ブログ「読も」ですが、7月31日をもって閉店するART HOUSEへの思いを書いていただこうとなり、それが匿名である理由はないので実名ブログとして公開させていただく形となりました。また、言葉にしていただいた思いをAHO内だけの秘め事にしておくのはあまりに勿体ないので、noteを連携させて全体公開とさせていただきます。

申し遅れました、ART HOUSE店主の西本昇平が初手を担当させていただきます。

二十歳の頃に前オーナーからブッキングの仕事をやらないか?と誘われ、若気の至りで熟考することもなく飛び込んだライブハウス業界。本格的なバンド活動を辞めた三十歳の頃に経営者となり、結局長々と26年間もここに居座っております。

人生の半分以上ART HOUSEに携わってきて、今日だって当たり前のようにART HOUSEに居る日常、でもそれが残り2ヶ月だと思うととても不思議な感覚です。

思えばこの26年間、ライブハウスという物質的なものに対して真剣に向き合ったこともなけりゃ、お金なんて最低限の生活ができりゃええわーくらいの欲しかなく、音楽も一般的に聴くくらいの程度で、ただひたすらに「人が好き」という理由だけが原動力になっていた気がします。

綺麗事に聞こえるでしょうけど、お前が頑張りたいことを応援するために俺もできること一生懸命頑張るわ!ってことの繰り返しを日々続けていただけで、たまたま自分がライブハウスの仕事をしていたのでその相手がミュージシャンだっただけというのが正解かも。

とても恵まれていることに音楽シーンの第一線で活躍するアーティストを送り出すことができて、そんな彼らが今もART HOUSEを大事に思ってくれることや、地元・県外問わず日々出演してくれるアーティストたちのおかげで、全国的に認知してもらえるライブハウスになりましたし、無理矢理にでもART HOUSEを存続させることに意味もあったかと思います。

ただ、自分も年齢を重ねてきて、四十歳を越えた頃くらいから現場の第一線にいることへの違和感を覚え出し、現店長の規男に若かりし頃の自分を重ねるようになってきました。良くも悪くも先代たちの築き上げた個性の確立した店を維持していくことの大変さ、またコロナ禍を経験して激減した売り上げを「元に戻す」という目的のつまらなさ、それは過去に自分が向き合ってきたことのなかった部分を強要しているようにも思えて、ビルの退去問題とも相まって新たな一歩を踏み出す決意となりました。

歴史を守っていくことはとても大事だとは思いますが、何をどうしたって私たちはART HOUSEで出会い、沢山の思いを共有し、共に最期を見届けることに変わりなく、私たちが存在している以上はART HOUSEも生き続けると思っています。

Made in ART HOUSEを胸に、残り2ヶ月を全力で楽しんで、また新天地へみんなで手を繋いでいけたらとても幸せです。今まで本当にありがとうございました。そしてこれからも末永く宜しくお願いします!

ART HOUSE店主 西本昇平

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?