豊田市美術館作品ガイドボランティア自主グループ「アートフレンド」 『とよたまちさとミライ塾+2023』参加報告 「豊田市美術館で開催中の展覧会を知う‼」 (「吹けば風」展覧会見どころ解説と対話型鑑賞)
2023年7月29(土) 14:00~15:30
豊田市民活動センター研修室 参加者8名+スタッフ5名
①14:00~
挨拶、資料確認・メンバー紹介、豊田市美術館・アートフレンド紹介ビデオ<担当は佐孝さん>
②14:10~
豊田市美術館展覧会「吹けば風」の見どころ紹介をスライドをもちいて〈担当は土田さん〉
「吹けば風」のチラシの4種類とホームページの動画は風に吹かれている様子が表現されています。ぜひご覧下さい。
参加作家は30才代の4人。新進気鋭の若手作家が今の時代をどう受け止めたかを、おもに新作で表現しています。タイトル「吹けば風」は明治生まれの高橋元吉の詩(注1)からきています。おおらかな気持ちで、ささやかな幸福を楽しむ様な、散歩をするようにリラックスして回る展覧会です。
(注1)『なにもそうかたを……』高橋元吉
なにもそうかたをつけたがらなくても
いいのではないか
なにか得体の知れないものがあり
なんということなしに
ひとりでにそうなってしまう
というのでいいのではないではないか
咲いたら花だった
吹いたら風だった
それでいいではないか
《展1》関川航平《夊(なつのあし)》
巨大な坂を展示に設置しました。作家がパフォーマンスを不定期に行っています。パフォーマンスに出会ったお客様は、二度こない今を感じて欲しいです。奥に文字 23.4度に傾いたの文字と、階段の途中の文字にも注目です。23.4度は地球の地軸の傾きです。
《展2、3》川角岳大 23点の絵画
展示に作家の意見が強く反映されています。展示2の入口にカーブした面を取り付けました。輪郭線のないぼやけた感じの絵です。淡い優しい色合いで描かれています。思い出しきる前に、記憶の中の濃い部分と薄い部分を描く絵画と言えます。壁だけでなく展示3のすりガラスの窓にも飾られているのを注目して下さい。ベンチの下に気が付かないドローイングが隠れています。
展4に入る前に展1を見て、手すりの角度にも注目してください。
展4》澤田華 《漂うビデオ(ナイト・オブザ・リビングデッド)》はスマホで撮った映像はホラー(ゾンビ)映画と重なっています。《漂うビデオ(移動 裂け目 白い影)》は、自分の影も映し出される空間で、映像は何かに映らないと見られない。見るということは、動画を見ているようで、映し出されたスクリーンそのものを見ていることなのでしょうか?
澤田華さんは、スマホなどで簡単に写真や動画が撮れ、映像が溢れた今、私たちは一体何を見ているのか?という疑問をなげかけます。
図書館の入っているビル参合館にも澤田華さんの作品展示があります。
《展5》船川翔司 「なんだかわからない」という声が聞こえてきそう(笑) 天気を作品にしている作家さんです。何が天気と関係あるのか?気象観測装置が豊田市美術館の屋上に取り付けられています。展示室2の窓から見えます。リニアタイムで天気を感じる作品に繋がっています。説明に困るものばかりですが簡単な気象装置がいくつもあり天気のデーターと作家の船川さんお天気の思い出などが作品となっています。
以上が「吹けば風」展の見どころ紹介です。
暑い毎日ですが、思いがけず感じるそよ風や、ふとした時に目にする道端の小さな花等、普段生活で見過ごされそうな小さな発見を大切にし、日常を見つめ直す展覧会です。
③14:38 対話型鑑賞会〈担当は佐孝さん〉
川角岳大の展2の作品2点を対話型鑑賞しましす。
参加者の発言は「 」とします。
《海の上》(題名は伏せる)何か気になることや第一印象を話してください「ピンクの物と下の物がつながっているのか」 「ピンクの物は何だかわからない」 「下の方は人のよう」「絵がボケている」「波のようなので海みたいだけど、空なのかヒトデ?」「ピザの斜塔?」「ピンクが印象的です。実はもう美術館で見ていますが、この絵は印象になかった。形はゴジラの頭のよう宇宙船から出て、宇宙遊泳しているかな?」「子供の絵のようだが、子供には描けない絵のように見える」「飛行機の窓から主翼を見ているように見える」 「私も美術館でもう見ました。その時孫が船で魚を釣っていると言ってました。」「イヤホンを着けている子がいる。イヤホンだとピンクの物は飛行機の前の席に付いたビデオか?」「宇宙の未確認飛行物体と交信している 」
あえて題名をお知らせしませんでしたが、皆さん自由でユニークな考えや感想がたくさん出ましたね。
もう1つ鑑賞しましょう。隣に掛かっているこちらの作品見てみましょう。二つの絵は同じころに描かれているが、対ではありません。
「1個は染色体みたいで、後は破片」「上のほうの背景は半透明の和菓子のよう、下は小豆」
「飛行機から見たのなら夕日の時間にも見える」「気になる物ばかり描いている?エンジンがつながっているようなので飛行機か?最初の絵は機内から見ているようだが、この絵もそうかも」「ヒマラヤとか?地表の雪山の岩?」
先程スライドの展覧会見どころ紹介でも解説がありましたが、川角さんは記憶を思い出しきる前に描く。風景になる前に描いている作家です。展示室3は縁側で見ているような気持のいい空間展示となっています。 展2の入り口が湾曲していて、少し身をかわしながら展示室にはいります。いつもと違う感覚での鑑賞の仕掛けがあります。
今回2点とも作品の題名を知らないままで、鑑賞を進めてきましまが、題名発表します。《海の上》と《雪山》です。
一人で見ているとわからないが、みんなで一緒に見てみると見えてくるものがありましまね。皆さんが見て、感じて、話して頂くことで作品に近づきました。「砂山のよう」「太陽が沈む風景かも」川角さんの記憶の中にある風景ですが、思い出しきる前に描いた絵画。全て思い出して描けば遠近法の普通の風景画ですね。
正解がないのがアート鑑賞です。いろんなものを手掛かりにして、それぞれが感じること、考えること、それを言葉にして伝えることが大切です。
豊田市美術館で実物を是非見に来て下さい。日常の小さな発見や、気持ちの変化が起こるように、散歩をするように会場をめぐって下さい。
15:12※他に気になることはありませんか?「展5の作品が気になる。なぜ映写機の線が乱雑に置いてあるのか?」はっきりは分かりませんが、気象観測の装置が作品。あえてそうしているのかなかもしれませんね。
長時間ありがとうございました。
15:20 アンケートの」お願い
15:30 終了
以上
荒川さんのメモを元に再構成しました
鈴木比呂子
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