5月22日(土)天皇杯 JFA第101回全日本サッカー選手権大会 1回戦
2021 Match Report #5
大 会:天皇杯1回戦 vsおこしやす京都AC
試合結果:3-3(PK4-5)
《前半》相手の圧力に押し込まれ、苦しい展開に
両チームとも、前回のリーグ戦での対戦とは異なり、前線に高さのある選手ではなく、テクニックに長けた選手を起用。試合直前のミーティングでは改めて攻守の設計を確認し、臨みました。
キックオフ。相手のフォーメーションは4-4-2で、こちらは4-5-1。序盤から相手にボールを持たれ、自陣に押し込まれることが多くなります。こちらがボールを奪った瞬間も、京都の選手達は非常に切り替えが早く、なかなかボールを前進させられません。相手の圧力に少し押されるような、嫌な立ち上がりになりました。
また、こちらが自陣からボールを保持し、ゲームを組み立てていく状況では、右サイドで選手間の距離が遠いことからコンビネーションが生まれず、何度もボールを失ってしまいます。
相手のプレスにも苦しみ、なかなかこちらのリズムに持っていけない中、15分にCKから失点してしまいます。さらに、再びCKの流れから失点し、前半で2点のビハインド。非常に苦しい展開になります。
しかし、何度か左サイドでは数的優位を作り出し、チャンスを作れていたので、戦い方を変更する考えはありませんでした。少しの微調整でボールは前進させられるし、チャンスを創り出せる感覚がありました。
少しゲームが落ち着き始めた30分。自陣でボールを奪った奥津がそのまま左サイドを駆け上がり、ペナルティエリア外から左足を一閃。鳥肌が立つスーパーゴールで1点差に。チームを生き返らせる貴重な1点でした。
以降、前線のポジショニングを少し修正し、右サイドの距離感も改善、少しずつボールが循環していきます。後半に向けてポジティブな雰囲気を持ったまま、前半終了。
《後半》試合をひっくり返すも、終了間際に同点弾
前半終了間際、2点のビハインドから追い上げムードに変わった時、おこしやす京都にはプレッシャーがかかっているだろうと感じていました。
ハーフタイムでは、こちらがビハインドの状況だが、精神的にネガティブになりやすいのは京都の方だと選手達に話しました。仮に後半にまた失点したとしても、常に勝つイメージを持ち続けて戦おう、必ず勝てる。こっちがボールを持つんだ。
戦術的には、ビルドアップ時のポジショニングを少し修正し、左サイドに寄せていた戦いから、左右バランスよく攻撃できるように変更。相手の圧力に屈せず、逆にそれをひっくり返してやろう。
後半開始、相手のプレス強度は少し落ちている様子でした。前半よりもさらにこちらがボールを保持する時間が増え、徐々にゴールへの期待も高まってきます。後半10分に高瀬の中央突破からのパスで久保が同点弾。
さらに、28分にはゴールキックからの組み立てで、白が相手のハイプレスをひっくり返す鋭いパスを前線に供給。久保、堀野とつなぎ、最後は中西が抜け出し、ゴール右隅に流し込みます。ついに試合をひっくり返しました。
以降、再び相手にボールを持たれる状況が続き、残り5分となったところで、同点弾を浴びてしまいます。一時的に大きな落胆を感じましたが、それでも最後までゴールを狙い続けます。
アディショナルタイムに大北のパスに青山が抜け出し、チャンスを演出しますが、中央にいる堀野には合わず、後半終了。激闘のシーソーゲームは延長戦に突入します。
《延長戦・PK》
延長戦になり、後半終盤同様、京都に押し込まれ何度もピンチを迎えますが、早川のビッグセーブもあり、なんとか凌ぎ切りました。
PK戦は、私がキッカーの順番を決め、選手達に蹴ってもらいました。
順番は、前日、全員にPKの練習を課し、駆け引きの仕方や性格、蹴る場所を把握したうえで決定。
選手達は緊張感のある中、堂々とキッカーを務めてくれました。
GKの早川は、ほとんどのキックに冷静に食らいつき、ボールに触れていたものもありました。前日の練習ではキッカーとのタイミングが取れずに悩んでいましたが、この試合の中で大きな成長を見せ、PK戦では相手にプレッシャーをかけていました。
5人目の白がゴールを決めれず、今シーズンの天皇杯は1回戦で敗退という結果になりましたが、白がPKを失敗したという表現は正しくないと思います。枠を外していれば失敗ですが、彼は勇気を持って、ゴール右隅枠内に蹴りました。止められてしまったのは、彼の失敗ではなく、相手GKの成功です。勝負には負けてしまいましたが、120分を通じて、全員が素晴らしいプレー、振る舞いを見せてくれました。選手達には胸を張ってもらいたい試合です。
好ゲームを演じられたという自負はあります。ですが、それ以上に勝たせられなかった責任を感じています。ここ数年、歯が立たなかった相手に、今シーズンは90分で負けていません。しかし、それで良しとしては、ただの好チームで終わってしまいます。私たちがなりたいのは勝つチームであり、結果の出せる集団です。昇格するチームになるために、我々はこの負けから学ばなければなりません。
決してラッキーではない、練習で準備してきた再現性を伴った好プレーを多く創り出せました。ですが、序盤に相手に飲み込まれた時間帯、ラスト5分で同点に追いつかれた場面、最後のチャンスで決められないところなど、改善すべきところは多くあります。もっと勝負強いチームになっていかないと、関西のチャンピオンにはなれません。
目標だったJクラブとの対戦、撃破まではたどり着くことができず、昨年は12月まで戦った天皇杯を早々に後にするのは非常に寂しい思いです。今までの試合で生まれた課題が今まで我々を強くしてくれたように、今回の試合で得たことが、さらに我々を強くさせてくれます。また次の試合にはよりいっそう強くなったアルテリーヴォをお見せできるかと思います。
次戦は久々のリーグ戦。ASラランジャ京都は昨年の準優勝チームで強敵ですが、勝ち点3を取れるように準備します。
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