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定期的に話題になるアーティストとギャラリーの取り分について

日本には何故か50%50%の取り分で対等だよね、と決めつけられる慣習が、以前からあります。
アーティストとギャラリーの取り分のお話です。

いろいろツッコミドコロが多いので、一つひとつ噛み砕いていくと、、、
まずこの形式は海外のやり方が誤訳されたモノが何故か続いてしまっているものです。

海外でも、コマーシャルギャラリーとアーティストの取り分が50%50%の場合があります。

ただ、これは日本の場合とは大きく違い、諸々の経費をまずギャラリーが負担した上で(アトリエ代・画材費・作品運送費・アーティストの交通費・宿泊費・その他)、

さらにそんなに額は大きくはありませんが
最低限の暮らしはできる生活費もアーティストに保証して、なお50%の取り分をアーティストに渡しているのです。

だから、日本でよく聞くギャラリーがアーティストに諸々の経費を押しつけて、取り扱っていながら、いざという時は何も助けない、保証しない契約?とは、まるで違うのです。

日本のアート業界は間違って輸入した方式を間違ったまま運用しているから、ギャラリーで売れていても食えないアーティストが量産されているのです。

ちなみに、海外のギャラリーがこの契約内容を実現できているのは、そのギャラリーに所属されている先輩アーティストが高値で取引されているからです。

そこで大きく上がった利益を若手でまだ価格は高くはないが、将来が楽しみなアーティストのために、ギャラリーが投資をしているのです。

そうして若手アーティストが育ち、キャリアを積み上げていった時に、今度は自分が若手アーティストを手助けする番になるという好循環で成立しています。

この契約システムの素晴らしいところは、あがった利益をしっかり次へ投資できていること。

それぞれが恩恵に預かられるため、互いにリスペクトの気持ちが生まれて、アーティストも良いコンディションで制作に励めることです。

こういった足元を固めるための、契約の質を高めることをしないまま、アートに興味を持った小金持ちに「アートは投資になりますよ~」
と日本のギャラリーが発信しているのは、ちゃんちゃら可笑しい。

【隗より始めよ】という言葉があるように、まずギャラリーはパートナーであるはずのアーティストに投資をするべきでしょう。

自社内で先行投資できないままでは、規模を大きくすることも、ギャラリーの商圏を広げることにも、すぐに限度がきてしまいます。

それが見え透いた状態で、お客様に投資を謳ったところで白けてしまうのは当然の結果と言えます。

以上、土台が大切というお話でした。


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