無意識な差別と中途半端な配慮

私の住む寮の近くには某コンビニがある。

それに加えて喫煙スペースとベンチが店の片隅にあるものだから夜のコンビニ前はいろんな人の溜まり場になる。

もちろん私も数日に一度タバコをふかしに店前へと足を運ぶ。

大抵、私がタバコをふかしている時間帯は私の貸切状態で、誰にも気を遣わずに煙を楽しんでいた。

ところがある日、いつものようにタバコをふかそうと足を運ぶと、背の高い黒人の男性と、2人の東南アジア系の男性がビール片手にタバコをふかしていた。
路上飲酒がダメなのはおいておいて...

一瞬いずらさを感じたものの、吸いたい気持ちには勝てず声を掛けることにした。

「smorking ok?」

少し申し訳なさそうな顔をし、タバコを吸うジェスチャーを交えながら声を掛ける。

英語で談笑していた彼らに私なりに気を遣っての拙い英語だった。

すると彼らは一瞬顔を見合わせ、少しの間の後に英語で捲し立てて来る。

『何か彼らの琴線に触れることをしてしまったのだろう』

『やはり声など掛けずひっそりといれば良かった』

などと絶望感に飲まれそうになる頭を必死でフル回転させ、かろうじて聞き取れた「understand ?」に苦笑いをしながら「わからないですねぇ...」と答える。

すると黒人のにいちゃんが

「なんで英語使ったの?」

と流暢な日本語で話しかけて来る。

言葉に詰まっていると彼はさらに続けて

「オレたちここ(近くの工場?)で働いてる。家もそこのアパート。日本語書けないけど日本に10年くらい住んでるからわかるし話せる。」

私はハッとした。

以前、学校の授業の中で「この地域は外国の方が他の地域と比べて多い」という話を聞いていた。

確かにそうだ。普段行くスーパーにも、バイトの通勤途中にも、至るシチュエーションで外国人の方々が生活していたということを思い出した。

もちろん日本で暮らしている外国人全員が日本語をわかるという理論も危険ではあるが、少なくともこの地域に住んでいる人であると勘付いていたのなら、まずは日本語で声を掛けるべきだったと後悔している。

最終的には私の意図も理解してもらえて、次は一緒に酒飲もうと口約束を交わす程には仲良くなれました(路上飲酒は以下略)。

彼らがそのような差別を受け慣れてしまっているのか、底なしにいい人なのかは分からないですが、漠然とした不安から避けようとしたり、距離を置こうとしたりすることは、本当に勿体無いと感じる。

周りにいる日本人でも同じことが言えるが、日常的に関わりのない人と関わる機会があった時は積極的に話を聞いてみるべきです!!

勿体無いという表現は傲慢に見えるかもしれないけれど、それくらい自分と全く違う人生を歩んできた人の話は、一般的に名作と言われる小説と同じくらい面白いわけで...

つまりは、知らないということを原点に、無自覚な偏見や差別が生まれ、中途半端に気を遣うせいで相手に不快な思いをさせたという単純なものなので特段面白いというわけではなかったかもしれません。けれど私にとっての最近の衝撃的な体験だったので書き起こしてみました。

あとがき

日本人か否か、自分と同じ立場か否か、といった似た話はそこら辺に溢れかえっているのに気づきませんか?

かく言う私も仲良くない人や学校の教師への苛立ちの大部分が相手への無理解によるものなのかと感じています。

だから「何に対しても苛立つな」という話ではなく、「何かしら事情があるんだろうか」や、「自分が似た立場だったら」なんて考えることができれば、偏見は減るかもしれません。

だからこそここまで読んでくださった方には、この話を他人事としてではなく、自分を見直すための一助として読んで欲しいなと思いました。

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