ストレスを工学的に捉え直してみる
メンタルの問題の根源である「ストレス」ですが、今回はこれを理系方面の話と関連付けながら、つらつらと書きたいと思います。
ストレス(stress)の語源は苦悩(distress)という言葉から来ています。その頭音「di」が消失したもの。ちなみに、苦悩(distress)の語源は「ひとつのものがバラバラに切り離されること」だそうです。
つまり、ひとつのものが切り離されることが、人間が抱える苦悩でありストレスということです。
実はこのストレスという言葉は、工学方面でも登場します(もちろん先程の意味とは異なります)。表面上の意味は異なりますが、視点を変えれば、お互いの関連性を感じれると思います。
工学方面のストレス
材料力学と呼ばれる物体の変形を理論的に扱う学問がありますが、そこで主に登場する用語に「応力」があります。英語ではストレス(stress)と書きます。
先ほど紹介した医学方面の「ストレス」と同じ表記なのです。両者に直接的な関係こそありませんが、以下の説明で雰囲気が似ていることは分かると思います。
応力とは、固体の内部で外力から生じる変形に抗うように働く力のこと。変形の度合いのことを「ひずみ」と言いますが、応力とひずみには相関関係があります。
材料力学では「応力ーひずみ線図」と呼ばれる、応力とひずみの関係を表すグラフがよく登場します。
固体の特性次第で、同じ変形量(ひずみ)でも発生する応力が違います。応力が高いほど、外力に対して変形しにくい(強い)と考えられます。
上記の左側の2つのグラフのように、変形しやすい/弱い、変形しにくい/強いと分けられるのです。
人間の心の問題に置き換えると
先程の応力(ストレス)の話を人間の心の問題に置き換えてみます(あくまで個人的な解釈です)。
人間は社会生活の中で、良いこと悪いこと何かしらの刺激を受けます。この刺激に対して、心の中では抵抗する力、つまり「ストレス」が生じます。
これを良い方向に活かせれば、自身の成功体験に繋がります。一方で、ストレスに負けて心が壊れると、うつ病などの精神的な病気に発展してしまいます。
先程お見せした「応力ーひずみ線図」ですが、グラフの先端(x印で示した部分)は物体が破断した点を意味します。人間に置き換えるならば、心が壊れた点に相当するのではないでしょうか。
その過程を極端に表した例として、上記の図の中央側にある「延性材料」と「脆性材料」の話をします。脆性材料は基本的に変形しにくい/強いです。一方で、ある程度のひずみが生じた段階で一気に破断します。
実際にこのようなタイプは一定数いると思います。我慢強い一方で柔軟性に欠けてしまい、あるところで一気に心が壊れてしまう。脆性材料は、見方を変えればそのような人間を模倣した特性だと言えるかもしれません。
レジリエンスを知ること
昨今では「レジリエンス」という言葉が流行りです。レジリエンスとは、困難や脅威に直面している状況に対して、上手く適応できる能力のこと。ストレスを跳ね返すようなイメージで言われることが多いです。
ただ、ストレスに対して跳ね返すことだけがレジリエンスだとは、私自身は考えていません。ストレスをうまく受け流す。つまり、先程の延性材料のように柔軟性を持たせることも一手だと思うのです。
レジリエンスを知り、人間的な「脆性材料」から「延性材料」に変わること。それはストレスフルな社会で生きる上での処世術のひとつなのかもしれません。
ひと昔前は我慢が美徳とされていました。それは単に材料の強さだけを見ているようなもの。これは、それだけではダメだということを、警鐘として示した話でもあると私は個人的に思います。
おわりに
今回は材料力学の話を持ち出しながら、医学的な「ストレス」を工学的な観点で捉え直してみました。
現代でよく言われる「レジリエンス」についても、同様の観点で言及してみましたが、このような考え方に触れてみるのも、たまには面白いですね。
私も実践できるように、心に留めておきたいです。
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