ネイピア数は何に使うの?
友人より「ネイピア数」について書いてほしいというリクエストがあり、リクエストに応えることにした。
トップ画像にある数式はオイラーの等式と呼ばれ、15年前に映画化された「博士の愛した数式」に登場する。この式にある「e」がネイピア数である。
オイラーの公式に限らず、こんな変わり種の数式が何の役に立つのか。よくわからない人も多いだろう。
少なくとも、私は高専時代にかなりお世話になった。ただそれは特殊なことであり、初めて聞く人には理解しがたい世界かもしれない。そこの橋渡しとして、私の記事が使われたら、とても嬉しいことである。
今回は「ネイピア数」に焦点を当てて書き、高専時代にお世話になった話は後編に書くことにする。
ネイピア数とは
ネイピア数(e)は円周率(π)と同じ無理数である。これは万人受けする答えのひとつだが、それではブログにする意味もない。特殊な世界を経験した者が真実を語るからこそ、初めて橋渡しとして機能するのだ。
詳しくはノートを見ていただきたい。グラフに描いた関数に対して無限(∞)の極限を取ることで、収束する値を求めたのがネイピア数の始まりである。数学者のヤコブ・ベルヌーイが、複利の計算で見出したのがスタートだそう。私も初めて知った。
中段にはネイピア数にまつわる、少し変わった話題を書いている。くじ引きの例で、単純な想像(期待値で計算したもの)と事実が異なる良い題材である。
ネイピア数の特異な性質
ネイピア数には特異な性質がある。そのひとつが、指数関数を微分しても同じ形の関数として残ること(ノートの下段の赤字で書いている)。その結果として、数学や物理など様々な理工系の場面で登場する。
もうひとつ。ネイピア数を底にする対数関数は「自然対数」と呼ばれる。高校で習う「log」のことである。これも何かと登場するのだが、参考書によっては「ln」と書いたりもする。理工系ならばぜひ知っておきたいところである。
後に紹介する「オイラーの公式」も理工系で度々登場するのだが、その辺は次回の記事で書くので、お待ちいただきたい。
オイラーの公式
この公式は、物理学者のリチャード・ファインマンによって「我々の至宝」かつ「すべての数学のなかでもっとも素晴らしい公式」と評されたことで有名である。
ノートの下段にオイラーの公式の証明を書いた。そうは言いつつも、大学レベルの数学の理論を使うので、ここは無理なら飛ばしていただいても構わない。
ひとまず、トップ画像に書いた「オイラーの等式」について証明をしておこう。上記の公式に「θ=π:ラジアン表記」を代入する。このラジアン表記「π」は弧度法表記「180°」と同等なので、cosθ=-1・sinθ=0となる。最後に右辺「-1」を左辺に移行することで、オイラーの等式の完成である。
おわりに
今回はネイピア数に焦点を当てて説明してみた。他にもネイピア数の活用事例はあるようなので、調べてみても良いかもしれない。
・1/nの確率で当たるくじ ← 今回紹介
・2つのトランプのカードが一致する確率
・正規分布やポアソン分布
・放射性物質の半減期
・化学反応における物質濃度の半減期
・お湯の冷却温度の変化
・マルサスモデル(生物の個体数などの増減)
・対数螺旋(カタツムリ・台風など)
また、ネイピア数の話題からオイラーの公式に発展させた。オイラーの公式は、見た目として美しい公式のひとつとされている。また、何かと便利な公式なので、理工系でよく使われるのだと思う。