Kotaro Okuyama@1 BANCHI TALK
Artist|奥山 鼓太郎
1BANCHIに作品を展示した奥山 鼓太郎さんに、【制作をする上で大事にしていること】を伺いました。コロナウイルス感染拡大防止のため、テキストベースでのインタビューを行っております。
奥山くんの作品には、空だったり、何か見上げるようなモチーフが印象的です。制作において共通のテーマは設定していますか?
自分は一貫したひとつのテーマを構えての制作と言うよりは、ひとつひとつの絵ごとにその時考えていることを扱っていると思います。けれど、絵を描くときに大事だと感じる事や画面の構成において重視している要素は自覚的にもあるので、そう言った部分から共通性を持った絵を描いているとも思います。また、制作は身の周りの物や景色にモチーフを求める事が多く、空や海は特に好きなのでよく登場していると思います。
たしかに、奥山くんの作品って実家に帰ったらありそうな、懐かしい匂いがするものとか、生活に溶け込んでいて見えてないものが登場してきたりするところがとても面白いなと。
身の回りや景色にモチーフを求めるのには何か理由はありますか?
そーですね…制作は普段の生活から地続きというか、日常の発見とか発想から展開してるので必然的にそうなっているのかなと。あとは、見る人になにか、少しでも共感があれば嬉しいと思って、空だったり身近なものをさらに無個性に編集してモチーフとしたり、より共有しうる要素を用いているかなと思います。
なるほど。
昨今の現代美術は、鑑賞者を置き去りにしがちな作風が多い印象です。
しかし話を聞いていると、奥山くんの作品は、見る人を無視せずに、逆に同じ立ち位置に立とうとしてる印象を受けます。
そこは、奥山くんが大事にしてる要素の1つなのでしょうか?
置き去りというか、確かに現在は、そのレベルに差はあれ前提の知識が必要になる作品が多くあります。それは、ある部分で芸術作品の本質的な要素で、作品は読み解くものであると思います。自分の制作の場合でも、自分の絵は実在のモチーフを扱う為、そのモチーフが何であるかという認識が見る人に無ければ成立は難しいという側面があると考えています。ですが、扱うモチーフとして空や自然物、身近なものを用いている点で見る人と共有する情報のレベルを高めず成立させる事が出来るという部分はあると思います。
>価値や評価は作品をつくる人と見る人の心の振幅の取引が成立すれば決まる。
以前、村上隆さんがこのように述べていたのですが、奥山くんが今使った「成立」という単語が芸術の本質的な要素の1つかもしれないと思いました。ゆえに作家と作品と鑑賞者の間に生まれる独特な緊張感があるのかなと。
自作が成立してる…って言いきれるかというと、正直まだまだ自信持てない部分もありますが…恐縮です。
1 BANCHIに展示される作品には共通して大事にしている要素があって、まず、絵として純粋に楽しめること。その後に、いろいろな発見が時間差で生まれること。この2つをとても重視しています。
奥山くんが制作をする上で、大事にしている要素を教えてください。
ひとつ挙げるとすると、制作がなんというか、独白みたくなりすぎない様に意識する事があります。本当に美術制作のめちゃ基本かも知れないのですが…人に見せる事、他者を意識しながらまた、自分の考えについて考えることを大事にしているつもりです。
ありがとうございます、見る人がいての美術という側面も制作において意識しているんですね。次回、奥山くんの作品を見るときは、その独白のバランス感覚的なところも楽しみに見てみたいです。
近日中に展示会を予定してましたよね?
よろしければ、詳細を教えて下さい。
原宿THE blank GALLERYにて行われるグループ展「EPIC PAINTERS vol.7」に展示をしています。まだまだ難しい状況の中ですが、ご覧頂ければ幸いです。
展示会の詳細
会期|2020年6月20日(土)〜 2020年7月5日(日)
時間|平日 13:00 ~ 19:00 / 土日 12:00 ~ 19:00
休廊|水・木曜
住所|東京都渋谷区神宮前3-21-6 大崎ビル3F THE _ GALLERY
※ 初日は17:00開場 / 最終日は18:00まで
※ コロナウイルス感染拡大の防止のため、ご来場の際はマスク着用をお願いいたします。感染状況次第では、営業日程が変更されることがあります。
ありがとうございます、奥山くんの他にも様々なアーティストが展示するのですね。とても楽しみです。
忙しい中、ありがとうございました。
また期間を空けて、お話聞かせてください!
奥山くんが好きな作品などのお話も伺いたいので。
本日は、ありがとうございました。展示会楽しみにしています!
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編集後記
芸術が成立する瞬間はいつか。
作品を通して、作り手と鑑賞者がつながったときか。
それとも、作品自体が、その関係そのものを超越したものになったときか。
奥山くんの言う「独白になりすぎない」という言葉からは、芸術が成立する狭間のせめぎ合いから生まれる緊張感を感じ、それこそが芸術の源となるように感じます。
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Chrome(クローム)ブラウザ上で、現代アート作品を鑑賞できる、アートのストリーミングサービス、1 BANCHI。
招待制で募ったアーティスト。
展示作品は1作品だけ。
それぞれの会期は3日間。
以下のChromeストアからインストールいただけます。