見出し画像

もっと終わりを愛せたらいいのに

何かをはじめる時、何かがはじまる時、必ずいつも僕は"終わる"ことで頭がいっぱいになる。

ライブの日、支度をして家を出て、電車に乗って最寄り駅について、少し歩いて会場入り。
その時には「リハーサルして本番歌ったら今日が終わっちゃう」っていう気持ちになってる。

オフで遊びに行く予定がある時もそう、制作作業のあと友達とご飯に行く時もそう、これから楽しいことをするぞってなるはずのところで僕は全然そうならない。
「あ、楽しい時間が始まっちゃったな、いずれ終わっちゃうな」って思っちゃう。

考えてみれば1/18に開催した単独公演もそうだった。
リハーサルの序盤、楽器隊の音作りや音確認をしている最中、僕はフロアに降りてフラフラ歩きながら「あー、はじまっちゃったなー」って言ってた。
終わる頃になってそういう気持ちになるのはわかるけど、はじまりやはじまる前にそんなことを考えるだなんて本当理解できない(自分のことだけど)。

そんなだから、その楽しんでいる最中もちくいち"終わり"を思い出しては寂しい思いに襲われて、楽しい気持ちに自分で水を差したりしてる。


"終わりがあるからこそ美しい"

これは映画『トロイ』で主人公アキレウス(アキレス)が口にする有名な台詞。
終わりがあるからこそ、人はそこに向けて頑張っていける。
永遠と続く終わりのない、キリのないものを全身全霊でやり続けていくことはとても難しい。
だからこそ、終わりに向けて命を燃やしている人の姿はとても美しい。
僕の好きな台詞のひとつで、曲の制作をする上でも命をテーマとして書く時には前提にある考え方。
それ以外をテーマにする時にも物事の"終わり"をネガティヴに捉えないようにという部分は、きっとこの考え方が影響しているんだと思う。
だからすごく理解はできる。


だけどそれとこれとは別!笑

やっぱり楽しい時間は永遠に続いたらいいなって思うし、終わってしまうことは寂しい。
「終わりがあるから楽しいんだよ、理解しなさい」だなんて言われても、それは今の僕には難しいんだと思う。
歌もそうだし、それ以外のこともそう。
いつか終わりが来てしまうことはわかってる。
永遠にずっと続けていくことができないことも知ってる。
だからこそ全力でそこに臨めていることもわかってる。
その終わりが明日かもしれない、そんなことを考えたら今日のライブは集大成でなければいけないという気持ちもゾッとするほど感じてる。

だけどその裏側でその終わりをずっと恐れてることも事実で、その終わりの時に納得できるかもすごく不安だ。
それにきっとその時、僕は納得なんてできない。
想像することはとても容易い。


終わりが来ることを完全に愛することはできない。
今も考えてるととても不安になる。
でもそんな不安になる気持ち、これはこれで僕らしいと思うし、頭の中では終わりに向かう美しさをわかっているからいいのかなと思う。
今は無理でも、いつかはその美しさを作る"終わり"をもっと好きになれるのかななんて、そんなことも思ってる。

限りがあるから。
そしてそれがいつ来るかもわからないから。
今日も命を燃やして、今までこの世になかったものを僕の手で作っていこうと思う。

でもやっぱり。
"終わり"は嫌い。


#エッセイ
#終わり
#トロイ
#アキレウス
#嫌い

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?