まついりょうすけさん(感想)
流れと所感「うしつよはゆめ、よるのゆめこそまこと」
所感と並ぶ言葉は江戸川乱歩の言葉ですが、まついさんのファッションショーをぱっと表すに適しているのではと思っています。
ショーが始まる前、まさしくイチゴの果汁をぶちまけたような、真っ赤な空間。
その色に気圧されたものの、高揚感は安定して残っていました。
直感的に「"いつも"、と違う場所に入ったんだな」と思わせる雰囲気。
さあ、悪夢はなんだろ。
ほわっと、幕の向こうで光るもの。
光るまで気づかなかったので驚きました。
始まったファッションショーは小さな子がおもちゃ箱を洗いざらいぶちまけて、パーティーのために大忙し。
というようにも
不思議の国のアリスやハーメルンの笛吹男をメロディーに置き換えたら、こんな感じだろうか。
そのようにも観れました。見えるムービーの、隙なく重なる色の切り替わり、萌えゆく画像と共に流れるメロディーから想起しました。
すす…。
ステージ中央の幕の重なりが映像の勢いとは違って、ベッドに寝ている誰かを起こさないよう控えめに開き、
継ぎ接ぎのパイプを繋ぎ合わせたような、ごつごつとした造形のある光る椅子が、ぽつり。
ムービーが終わり、帳が落ちた空間にある椅子は悪夢の道先案内人のように感じました。
ほどなくして、モデルさんが開きから出てきた時に我に返りました。
悪夢の始まりだ。
特に、布のひらめきが特徴的な作品ではモデルさんが裾を持って広げたり、体を半転してくださったり。
これまでのha | za | ma作品に必ずあった、人を虜にする布の揺れが今回もあると証明していました。
(他にも一連の作品にある魅力的なポイントはいくつもありますが、自分から特筆するポイントは揺れです。)
秋冬新作、シリーズの新作、もしくはそれらによる組み合わせの1人1人の披露が終わるとメロディーの雰囲気が変わり、今度は止まらず順々に並んでの披露。
後日、1番手で歩かれた方の設定を知り、悪夢を見ていた、作っていたのは設定の人物自身だったのだろうかと思いました。
映像にあったカトラリーの乱舞、墓標にも見える十字架のようなもの、飛んでいく顔つきのハート、幕の中心に投影された王冠、鼻歌のような雰囲気からの一瞬の正気を戻してしまった雰囲気。
個人見解として、命が過ぎた後のもの、取り戻せないものを基に形作り、安楽を得た「悪くない悪夢」のような気もしました。
改めて
「悪くない悪夢」というのは
まついさんが、初めてのファッションショーをするにあたって抱いたことでもあり、かつ感想のような気がしました。
沢山の人の先に立ち、お金をどんっと使い、更には作品を作り、動くポジションに自分がなるであろうことは始まる前からわかっていて、
でも、やることはやっぱり面白くて大変。
それを凝縮させたものではないかと思いました。
勿論、洋服のテーマにあたると思うので、天秤にかければ、テーマが強い意味合いだと思います。
「悪くない悪夢」、
洋服のこと、今回の感慨深さ、ない交ぜにした言葉として受け取ることもできそうです。
あえて脈絡なくまついさんの至言を。
言い切りかっこよすぎる。
末筆に。
復活難しいことは承知の上で、もしこの洋服が出た時にブランドを知っていたら買っていた洋服を紹介して締めます。
いやでも、もしまた出されるなら真面目に買いたいです…!!!だって素敵過ぎる…
乱文を挟みましたが。
今回も最後までお目通しくださり、ありがとうございます。
読んでくださった皆様同様に、中心のまついりょうすけさん並びに、ショーに携わった沢山のスタッフの方々、誠にお疲れ様でした、そして大変ありがとうございました。
ご感想などありましたら、ぜひともよろしくお願いいたします。
改めて、今回のファッションショーで披露された作品の受注・展示会と、カツセマサヒコさんのnoteをおすすめして、これにてどろん。
*会にあたってご本人からご連絡出てましたのでぜひこちらも。
アートサイダ
追記6/24