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人は如何にして体制翼賛へとなるか:リアリズムと政治的正しさの狭間で - 加藤直樹「ウクライナ侵略を考える」を読み解きながら(2)

割引あり

今回は、加藤直樹くん「ウクライナ侵略を考える 「大国」の視線を超えて』に関して色々私の考えを書いていくシリーズの続きです。

前回は:

第3章まで書こうとしたけど長くなったので2章だけです。ごめんなさい(´・ω・`)

今回は、基本的に第2章について書いていこうと思います。本当は3章まで入れたかったのですが、長くなってるので…ただまぁ、前回書いたように

後、一つ一つの「事実」や「デマ」と本の中でされてることに関しては、細かくは触れない予定です。何故ならば、
(中略)
 その危険さ・ヤバさを踏まえた上で、色々と、それこそ「敵」とみなしてる側の主張やプロパガンダ・フェイクニュースと、こちら側のそれらを同じ目線で・物凄い冷めてる上から目線で見回した上で慎重に考えないと本来はいけないのですが、そのやり方や方向性が違うと、単なる水掛け論・レスバにしかならず、話が全然進まなくなるからなんです。
 私も、ネット歴がもう、35年近くなるので、そういういやーな抗争は散々経験してますしね(´・ω・`)

人は如何にして体制翼賛へとなるか - 加藤直樹「ウクライナ侵略を考える」を読み解きながら(1) 2024-05-12, @Artanejp

と言う辺りは、このシリーズでは貫きますので、そこはお許しを。

※この文章は、次の文章が出るか・5月18日あたりのどちらか短い方までは全文無料で読めますが、その後は、後ろの方を有料で読むようにお願いすることにします。
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「思考の歪み」とは?というところから、危機センサーがどう働くかへの注意を払うことの重要さを考えていく。

 第2章『「ロシア擁護論」批判① -- それは大国主義である』では、しょっぱなから「1 思考の歪みをどう見抜くか」と題して、2022年の2月24日に、ロシアが正式にウクライナと戦争を始めるまで関心のなかった自分が、どのようにして、即時停戦論や「ロシア擁護」を言う人達のような「思考の歪み」にならなかったか。ということを書いちゃってるわけですよ。

 これねぇ、一見、もっともらしいことを言ってるんです。そして、人情家で勉強家である加藤くんが、どのようにして一方的なバイアスの情報にのめり込み・それとは逆の情報を拒絶して、エコー・チェンバーに身を投じていったか。ということを、非常に明白に告白してるという感じがするんです。
 これは、右であれ左であれ中道であれ、全ての人達が気をつけないといけないことが何か。ということを身を以って示してもいる。

 もちろんきちんとした勉強をすることで、きちんとしていない話を見抜くことが望ましいだろうが、それと同時に常識的な判断力をフル活用することが重要だ。
 なぜか。専門家は、専門の外でおかしなことを言うことがあるからだ。ここで言いたいのは、専門外のことには無知な、いわゆる「専門バカ」のことではない。専門分野のことであっても、その専門的知見が歪んだ思考の枠組みの上に載せられている(あるいは組み込まれている)ことがあるということだ。

「ウクライナ侵略を考える」加藤直樹、あけび書房、2024、49ページ

 この文章だけだと、まぁ、基本的な手法は間違ってないよね。とはなるんです。でも、重大なところが欠けている。

「常識的な判断力」の限界。それは、戦時プロパガンダの特殊性への注意の払い方によって違ってくる。

 それは、何か。

 戦争にまつわるものや「世界秩序」の維持のような大きな利害とか、宗教的な大義、そして、日本だと表現規制問題や共同親権問題や水着撮影会への攻撃なんかで表面化してるような、イデオロギー的な「大義」の実現という問題が絡んでくると、そもそも「常識的な判断力」では対応しきれなくなるんですよ。

 大きな利害や大義が絡んでる問題では、企業もある種の政治勢力も、長い時間をかけて「専門家」を絡め取り・マスメディアだけではなく場合によっては学会/学界をも取り込み統制して、片方に都合のいい見解で染めてしまう。それに反する見解は、事前に葬り去るような事が、普通に起きている。

 「戦争」に関して言うならば、2011年9月11日のニューヨーク・国際貿易センターへ旅客機が突っ込んだ事件からイラク戦争とアフガニスタン戦争へとなだれ込んだときの日本やアメリカの流れがそうであったし(アメリカなんかは愛国者法などまで作ってましたよね)、そのような事は、シリア内戦で一気に進んでて、片方・要はアメリカやなんや西側の息のかかった人達に都合のいい話ばかりが「戦場ジャーナリズム」の左派の人達に信じられ・アサド政権側が一方的な悪魔としてみなされるという構図に陥った訳ですね。

「アメリカから〈自由〉が消える」 堤未果、扶桑社新書、2010

 例えば、シリアの反政府派支配地域で人命救助に活躍し、シリア政府・要はアサド政権やロシアの非道ぶりを度々伝えつつ、反政府派支配地域での反政府派の人道犯罪行為を無視したり「嘘だ」と主張してきたホワイト・ヘルメットに対する評価が、西側とそれ以外でバックリ割れてたりするのがいい例でしょう。


一番最後に出した記事の一部の自動翻訳を載せますが、

背景

シリア市民防衛としても知られるホワイト・ヘルメットは、シリア内戦の爆撃や砲撃、その他の影響で瓦礫の下に閉じ込められている可能性のある人々の回復を支援するシリアのボランティアグループである。この組織は、シリア全土からのボランティアの散発的な活動として始まり、2014年10月に「原則憲章」5に署名した後、これらのグループが正式に団結して「独立した公平な組織」を設立した。

ホワイト・ヘルメットは3,000人以上のボランティア救助隊員6人で構成されており、捜索と救助活動によって115,000人以上の命を救ったと主張しており、7人は「代替ノーベル賞」としても知られるホワイト・ヘルメット・ザ・ライト・ライブリフッド賞を受賞した。この賞は271,184ポンド(約370,979ドル)の価値があり、4人の受賞者に分けられる。8

英国の非営利団体であるシリア・キャンペーンは、ホワイト・ヘルメットを代表して資金を調達しています。英国ではVoices Projectとして登録されており、Voices Project Germanyという名前のドイツ版もあります。シリア・キャンペーンへの寄付は、米国の関連会社であるVoices Project USAを通じて処理されます。9
(中略)
Salonによると、米国国務省は2017年以前にホワイト・ヘルメットに2300万ドルを提供した。
https://www.salon.com/2017/05/25/yet-another-video-shows-u-s-funded-white-helmets-assisting-public-held-executions-in-rebel-held-syria_partner/

「White Helmets」 Imfluencewatch.org, 2024-05-14閲覧。
自動翻訳にはNICTの「みんなの自動翻訳@TexTra」を使用。

 この延長線上に、ウクライナ・ロシア戦争を巡っての左派の「認知の歪み」ができてると思うんです。

「反米をこじらせてる」というディスりの言葉が、まさに「認知の歪み」「思考の歪み」を象徴している。

 戦場ジャーナリストの志葉玲氏が、開戦直後、ウクライナやアメリカの極端な経済制裁に対する批判や早期停戦論に対して「反米をこじらせてる」とえげつない言い方をしていましたが、それは、まさに、そういう、「認知の歪み」そのものだった。

https://twitter.com/reishiva/status/1498822637254221828
以降:
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あえて指摘するが、シリア内戦では反米をこじらせた人々が現地での凄惨な虐殺を容認、或いは見てみないフリをしたことが、反戦機運が高まらず民間人被害が拡大した要因の一つかと。何が平和だって?
#ウクライナ 侵攻には各国政府が対応しているけど、市民レベルでは反米こじらせ根深いものがあるね。


反米こじらせ問題について指摘すると、「志葉はCIAの広報」だとか、馬鹿げたことを書く、イカれたヒトビトが湧いてくるが、どの国、勢力であっても人権侵害を許さない、そういうスタンスであるだけ。ちゃんと、こういう記事↓も書いているしな
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ffe06548c79c188d7401b2e4c984d29cc364f368

なお、反米こじらせとは、米国が憎くてたまらず、現地の独裁政府やロシア、中国等が深刻な人権侵害も「米国のプロパガンダだ!嘘だ!」とエクストリーム擁護すること、と志葉は定義。一部のトランプ支持層も反米こじらせだよね。既存の米国政界への不信感で、トランプを祭り上げている。

☓現地の独裁政府やロシア、中国等が深刻な人権侵害
◯現地の独裁政府やロシア、中国等による深刻な人権侵害
字数制限あって直してるうちに、てにをはが変になるね(ーー;

志波玲 @reishiba , twitter.com, 2022-03-02 09:48(JST)

※件の志葉氏ツイート「など」についての、私のツイート:

https://twitter.com/Artanejp/status/1682243859437477888
から:
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なんか、ロシアとウクライナの戦争でロシア側の動機や戦略に一定の合理性を認めること自体が「反米をこじらせてる」「反米が自己目的化してるからだ」と言う話で「左派やリベラル」が片付ける病が蔓延するの悪化してるの見て、ちょっと吐きそうになっております(´・ω・`)

東欧とか旧ソ連諸国がソ連崩壊以降、アメリカやネオコン(各国)や西側大企業の思惑に翻弄されて政情不安定な状態を長年強いられたり・経済的に西側企業の植民地状態になった国も珍しくなく、マフィアが野放しな場合すら多い。と言う辺りの現代史を見てるなら、そんなん言えるわけがないと思うのですが

もともと親米ベッタリの類の右派がそれいうならわかるし、世界情勢にあんまし関心持ってこなかった普通の人達がそれ言うのも、まぁ、すごくわかる。

でもねぇ…(´・ω・`)
でもねぇ…(´・ω・`)

世界情勢に関心払ってきてた左派やリベラルの、それもインテリがその世界観はどうなのよ?(´・ω・`)

愚民Artane.🦀サルに、謝れ。🇷🇺☭🇺🇦@Fランωツイッタラー/コロナは風邪じゃない @Artanejp , Twitter.com , 2023-07-21 13:19(JST) からのスレッド

加藤くんも、志葉玲氏と同じラインで、2章以降を書いている。

「ウクライナ批判者は反米をこじらせてる」論を踏まえて、もう一度、本の内容に立ち返っていく。

※5/19 02:21: ここから先は、ご購入の上でお読みくださいませ。
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予告

近日公開予定である次回(5/19の未明時点で本番稿を書き始められてません!!)では、第3章+第4章(予定)を批判的に読み解いていきます。
この2つの章ではエマニュエル・トッドなどの「リアリズム国際政治学」を加藤くんがけちょんけちょんにディスり・「原理主義的反戦論」をメッタ斬りにしてる…ように読めるのですが?

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