観心寺如意輪観音像がリアルに見えた理由
去年の大阪の観心寺如意輪観音公開時に下書きしたものの、発表しそびれて
そのままになっていたコメントに加筆したものであります。
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観心寺の国宝如意輪観音坐像の特別公開に行ってきた。
観心寺は以前も訪ねたことがあるが、
国宝の金堂に入るのも、金堂本尊の如意輪観音像を拝観するのも今回が初めて。
ほぼ等身大の如意輪観音像までの距離は若干遠く、近づいても数メートルほどあったが、かなり大きく見えた。
何だかリアルで面白い雰囲気がするなあと思っていたが、すぐ理由がわかった。
この像は九重ほどの立派な、像高全体の半分ほどを占める台座があるのだが、参拝者にはその部分は見えず、
言わば上半分の仏身だけが、厨子の開いたところから見える形になっている。
(それだけなら、例えば葛井寺の千手観音坐像も寺院での公開時は同じく膝から上しか見えないなど、他でも有る形式だが [ かつて奈良国立博物館の特別展で全体が見える展示が行われ、かなり細かく観られたことはあります ] )
さらにこの如意輪観音のポーズが左膝は結跏趺坐のごとくアグラをかいた形だが、右膝は立てている (輪王坐) ので、
あたかもリアルな人間が (楽な姿勢で) 床に直接坐っているように見えるのだ。
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先日奈良のホテルで展示してあったレプリカを購入したが、
それを眺めていても、予想以上に見栄えのする像だと思う。
六本の腕が各方向に伸びて、片膝が立っているので造形的に華やかで飽きが来ず、
金色の後背が赤色で縁取られているアーティスティックな感じと相まって、
観ているこちらが鼓舞される効果がある。
やはり仏教思想的にも、ビビッドな生命力を肯定するポジションから打ち出されているに違いない。
目が穏やかに見開いている点も、菩薩でありながら守護神的な能動性を感じる。
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近頃奈良国立博物館の展示へ定期的に見学に行っているが、
観心寺から来た菩薩像が目を引く。
本尊の如意輪観音が立ち上がったような、よく似た切れ長の目で、
こちらは、衣に描かれた細かく鮮やかな文様も
かなり近くから観察可能となっているのが意外な感じさえする。
如意輪観音が、立てた膝の衣や蓮弁の一枚ずつに装飾的な文様が描かれているのと
同じ発想が見て取れる。
🔍 観心寺 公式ホームページ http://www.kanshinji.com/
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📷 観心寺門前
📷 観心寺金堂 (国宝)
📷 観心寺金堂 側面