思考は階段を上がる

立方体を描いてください…と言うと下のような順番で描く人もいるかと思います。

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(ヘタクソでごめんなさい🤭美術の先生なのに…)

どう描いても自由なのですが、どこか変ですよね?この描き方は立体的に見えない結果につながり易いのです。

それは『立方体=四角い』そんな連想で、先ず平面的な四角を描き、その頂点を起点にして棒を3本足し、最後に立方体に見せるために、各棒を繋いで完成させるからです。つまり起点が平面的な思考になっているので3Dとしての立方体に結び付き難いのです。コレがひとつの「私、絵心がないから…」の正体です😅

このような描き方は、以前の美術教育の発達段階でいくと幼児期〜小学校低学年の欄に分類されていたものですが、今は高校生でも、6割〜7割以上がコレです。それだけ平面的思考しか出来ていないということでしょう。

そこで、もう一歩上の階に進んだ段階としては、下記のような描き方です。

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全体を3D空間の中の立体として捉えて、平行の関係性を持つ辺同士を共通のモノとして描いて行き、奥行きも意識して描く。この方が、垂直性と奥行きを表すパースを意識し易いので、より3D感のある立方体が描けるのです。この思考の重要性に気づいて欲しいです。

生徒たちがイラストを描く時もそうです。先に『自分の好きな顔』を描き(コレが四角だ)、手足をくっつけていく(コレが3本の棒)。背景など描かない。その思考経路は、全体を考えず、つじつまを合わせをしているだけなので、最後には『巨大な目で笑う骨折した宇宙人』を大量生産していくのです。

組写真の場合も、『自分の好きな写真』を選び(コレが四角)、そこに無理矢理、物語を(3本の棒)くっつけようとするので「1枚目は◯◯を表していてぇ…2枚目は◯◯を表していて…」と出て来た順番に、つじつま合わせなお話しを聞かされることになるのです。…けれど、観る人からするとそれは何が言いたいのかよく判らない作品になるのです。

先に全体のイメージを把握→前提を踏まえながら共通項で配置していく→それぞれの関係性を意識して完成させる。

このような思考経路を辿るのは、問題解決するどんな場面でも必須なのですが、ほとんどの生徒ができていません。しかしアートやデザインの世界では、基本的に昔からこの思考経路の反復学習をやっていたことに注目して欲しいです。

今、小中高と美術の授業が減っていく現状は、思考を平面化させ、文章構成力、学力、問題解決能力に大きく響いているのです。

全体を見通す事もなく、場当たり的モグラ叩きをしている社会は潰れて行きます。我田引水な話しで美術の授業が減るのがいけないというより、多角的な視点を持って社会が教育を捉えるなら、何かでこの思考経路を定着させることを子ども達に補填しないとヤバイなと思うのです。

毎回、同じようなお話しで申し訳無いけれど、誰かがコレを発信して、外に知らしめないと本当に日本という国は滅びてしまうと思うのです。

頭の中で即興で発表したり、自己表現する事を重んじている欧米型の教育を受けている国の人々に簡単に日本人は丸め込まれて行くでしょう。

すでにそうだ?そうかも知れません。



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