“よりより”になりたい①志望動機
インタビューとしてのアートコミュニケーション
2023年10月。この投稿を見た時点で、もう心のどこかで「よりより」になりたいと思い、申し込む決心がついていた。アートに興味はありつつ全くの素人で、これまで人に何かを教える機会も乏しく、おまけにボランティア活動とはめっきり縁のない人生を送ってきた。そんな自分が興味をそそられたのは、アートを言葉にするという共同作業に、生業としているインタビューのような深みと可能性を感じたからだ。
公式ホームページから詳細をチェックしてみると、今回は2種類の募集となっている。一つは、美術情報収集や広報サポート、教育プログラムの補助などを通して美術館運営を支える“アートボランティア”。そしてもう一つは、主に学校団体で来館する子どもたちを対象に「おしゃべり鑑賞」と「館内ツアー」を行う“アートコミュニケーター「よりより」”だ。今回は迷わず後者を希望することに。特に興味を惹かれた活動は「おしゃべり鑑賞」だ。説明文は以下の通り。
この募集を見かける約2ヶ月前、様々な縁が重なり初めての著書を発売するに至った。画家・イラストレーターとして活動するアジサカコウジさんへのロングインタビューをまとめた「そぞろに描く」という一冊。何度も何度も繰り返し描くことについてお話を伺う中で、こんなやりとりがあった。少し長いがこちらも引用したい。
作者を前にするとつい「この絵には、どんな想いを込めたんですか?」なんて聞きたくなるが、アジサカさんはそうした書き手側の意図を重要視していない。それが“そぞろに描く”ことであり、生きることも描くことも地続きとなっている。むしろ「どの絵が好きやった?」と、こちらの捉え方を聞いて楽しむのが常だ。
芸術の解釈は多様であり、そこに正解はなく、だからこそ面白い。それは実のところ、長年気持ちを向けて継続しているインタビューもある意味では同じでないかと、自らの経験から感じていた。例え同じ言葉であっても、話し手と聞き手でニュアンスや温度感は繊細に異なり、その差異にこそ新しい表現や可能性が生まれる。そんな風に考えている。
話が大きく逸れた気がする…。とにかく、普段は“喋らないで静かにすること”が当たり前のようになっている美術鑑賞を“対話によって展開させていく”お手伝いをするアートコミュニケーターの役割。それに強く関心を持つとともに、その行為自体を広義のインタビューとして、もっと認識や経験を転がしていけるのではないか。そんなワクワク感を感じて、申し込むことにした。
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