百合小説【第14話】上級生の幼なじみ
『さっちゃん久しぶり』
『久しぶり』
中等部からの付き合いの瑞稀ちゃん。同い年だけど私が留年しているため2年生である。
『学校同じなのにねー!ほんとあそこ無駄に広いんだから』
『あはは…』
高校なのにも関わらす学系が棟によって分かれている。国際は理系は校舎奥で隣同士だが、美術学系は少し離れた中央にある。そのため、帰り通っても校舎に入ることはまず無いし、交流の機会は学祭を覗いてほぼない。
『ここ楽器屋なんだけど、カフェが併設されててね、先輩が教えてくれたんだ〜』
楽器屋の地下にあるライブハウスのような部屋、スツールが数個と机が数個並べられている。
『暗くて狭くて落ち着きつく…』
「夜はクラブとかだからねー」
「ヒェッ…」
「あの…相談なんだけどね」
「さぁどうぞ?」
デコられたカルトンバックからメモ帳とシャーペンを取り出し聞く姿勢に入る。
「なんでメモ取り出すの」
「文を生業にしたい私としては、些細なことでも役に立つから」
「正直な回答ありがとうございます?」
美術学系だよね…と受験予定も東京美大のデザイン科だったはずだけど…???
「敬語やめてよぉ」
「その、もしもの話なんですけど」
本題に入る
「友達だと思ってた女の子からそその…」
「まさか」
「え、うそ、可哀想に」
「それで私…その人とどう接すればいいか分からなくって」
「いくら取られたの?」
「えっと?」
話がすれ違ってた、そうだ、瑞稀は割とこういう変なとこがある…真面目な時は真面目なのにふざけるところはとことんふざける、アイスブレイクのつもりなのだろうか。
「最近P〇yPayでカツアゲなんてあるんだって〜」
「どんな気持ちなんですかね」
「警察×不良っていいなぁ…中学生ぐらいの少年が新人の弱そうな警察官を舐めてたら後ろから巨体な大男の警察官が現れて力でも体でも分からre」
ひとりの世界に入り始めた…たまに何か思いつくと1人ごとを話しながらこうなる。今日のことを思い出して頭がショートし始めて空っぽの胃から吐き気がしてきた…これ以上は
「あぁ…脱線するなら私帰りますね」
「待ってごめんて、私が悪かった」
「今そういうの無理なんで」
多分不良のカツアゲ→警察→警察×不良とまぁこれだろう。
「…もしかしてそれ関連…嘉陽田って人?」
「あぁ…幸代さんから?」
「だいたい察しが着いた…詳しく聞かせておくれ」
メモ帳をしまい話を聞く体制になった、なんだったんだそのメモ帳は
「それでね…」