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【百合小説】第8話あの頃の、私の知らない嘉陽田さん


久々に日付をまたいだ時間まで起きている。6時のバスに乗るか、それとも7時半の電車に乗るか…今考えれば6時の電車に乗れば空いてるのでは?盲点だったかもしれない。ひ○ゆきの生放送を流したまま布団に入り1時間が経過した。いつもなら寝れるはずなのに、偶然か必然か、嘉陽田さんと今回の性加害問題の質問する人がいて頭の中に情報が巡る。それの回答に「男性は頭が悪いから犯罪を犯すし、性犯罪者はどう頑張っても治りません!」なんて言い切ってしまった。言い切れるのはすごいことだ。私は男性にはなれないし、そもそも性的なことに興味が無いから何故同じ過ちを繰り返すのかが既に分からない。私自身ロボットみたいな感情を持っているようにすら思う。分からないから調べる。心理もそう…気になるなら、気になるから経歴身長血液型生い立ち言動思考T○itterにF○cebookにI○stagram探せる範囲で全て調べたい。
スマホを使いあらゆることを調べた。
「嘉陽田ちゃんは滋賀県出身で…B型、背は168cm…母親の遺伝かな?接触があったのは高橋との接触は初めてかな、名前を変えているのか。最初に手を出したのは13年前で自分よりも背の高い人…年は問わず新人なら手を出してるのか」
遮光カーテンの隙間から光が漏れる。隣のおじいちゃんの部屋でラジオが流れ始めた。どうやら起きたらしい。
「おじいちゃんおはよう」
「出なくていいのか」
「あー…」
時計は7時を指している。
一限は国語総合であるため諦めてバスで向かう。
「ちょっとやばいね」
「はよいけ」
「うん」
いつもなら布団を畳んでから出るがそんな時間はとうに無い。後回しにできるものは後回しにし、支度を進める。
2階のリビングからママの声がする。
「小百合、今日杏里ちゃんと会う?」
「会うと思うけど…?」
「一緒に食べなさい」
「あぁりがとう。」
お客さんから貰ったであろう鳩サブレの缶の中に鳩サブレと瀬戸内レモンのケーキが入っている。
「あとこれ、徹夜でしょ?」
父親が飲んでいる栄養ドリンク、朝と夜で2つのバイトをかけ持ちしていてストックが山ほどある。今は寝ているだろうとママがそれを渡してきた。
「ありがとう?行ってきます。」
家から10分ほど歩き、最寄りのバス停留所に着く。F○cebookに嘉陽田半の映像が残っていて、それは幼少期と今で別人格のうな変貌を遂げている。物静かでどこにでもいる可愛い女の子だった。小学生からは性格が変わり、明るく活発で見てるこっちが元気を貰えるアイドルのような完璧な振る舞いを見せている。今もこうなのだろう。私が今関わっている嘉陽田さんは別人格なのか。それとも本物なのか。少し遅れたバスに乗り、空いている優先席に座る。

調べ物をしていると、嘉陽田から通知が届いた。
「さっちゃん見てこれ、飯田橋にこんな文房具屋あるんだって?知ってる?」
昔友達とよく行っていた所だ。
「放課後どう?寄らない?宿題一瞬で終わらせちゃおう」
「いいよ」
「じゃああそこ集合で」
「どこそれ」
「当てられるかな?」
相変わらずの面倒くささをしている。多分国際学系の教室だろう。
「国際学系の方」
「○」
どうやら合っているらしい。話しててこっちのが面倒くささはあるが、愛嬌はあると思う。だから今の性格なのか。

嘉陽田を一層知る度に、嘉陽田の事を意識する。きっとそう、なんて先入観は外れているのかもしれない。私の見ている嘉陽田さんは演じているのか、それとも素なのか、もうそれすら分からない。

どうしても落ち着かないのでA○rPodsで福○雅治の曲を聴きながらただ静かに、バスに揺られることにした。

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